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■夏の日の想い出・風の歌(4)

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「今は羽田から1時間で能登空港まで飛んでいけるからね。能登空港からは珠洲道路(すずどうろ)というのを通ってレンタカーで40〜50分ほどで飯田に到達できるよ」
「それでも40〜50分か」
 
「それでさ、その珠洲道路ってのが実は地図に載っていない道路なのさ」
「えーー!?」
「だからカーナビに任せていたら珠洲道路を通れず、遠回りで曲がりくねった国道に誘導されてしまうよ」
「なんでー!?」
 
「道路を作るのに、国交省の予算だけじゃなく、農水省の予算とか、県の予算とか、様々な予算を併用しているから、珠洲道路というのは公式には、国道や農道や県道や市道などの寄せ集めにすぎない。実態は高速道路並みの規格で作られているのに」
「知る人ぞ知る基幹道路ですか?」
 
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「地元でもスキルの低いドライバーは怖がって通らない。高速道路を走る技術が無いと走れない道だから」
「へー」
「名阪国道に似てる?」
「そそ、あれに近い存在だよね。田舎で交通量が少ないから、あんなに危険じゃないけど」
 
その話を聞いた時、私はまた唐突に心の中で何かがこみあげてきた。その私の様子を見た奈緒が、さっとメモ帳とペンを渡してくれた。
 
「ありがとう」
 
私がメモ帳にAとかBとかCとかのアルファベットを書き綴っていると麻央が言う。
「今夜これでもう4曲目だよね」
 
「うん。今夜は何だか刺激されるものが多い」
 
「作曲っていつ頃から始めた?」と風帆から訊かれる。
「東京に引っ越してきてからかなあ。初期の頃、友だちができなくて孤独だったから、その頃の心理状態が創作に結びついたのかも」
「ああ、冬が男の子の振りをしていた時代だね」
 
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「今までにどのくらい書いたの?」
「最初の頃のに番号付けてなくて、去年の夏から楽譜の整理を始めたので、漏れているのがあるかも知れないですが、作曲帳にきちんと書いたものは番号が52番まで付いています。今夜の4つで56になるかな」
 
「よく書いてるね〜!」
「でもみんな小さな作品ばかりだから。16小節の唱歌形式が多い。ひとつだけ演奏に10分掛かるのもあるけど」
「大作じゃん!」
 
「ソナタ形式ってのを書いてみたかったら書いてみただけなんですけどね。でも不満があるのでこれまでに何度か改訂していたりします」
「へー。でもたくさん作るといいよ。その内、どこかで発表できるようなものも出来るだろうしね」
「はい」
 
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私はこの飯田の話を聞いて書いた作品に『Far Road Mirage』とタイトルを付けた。リナから「まんまじゃん」と突っ込まれた。
 

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ワゴン車の中で仮眠していた吉田さんたち3人が戻って来たので帰ることにする。私たち5人が先に富山駅まで送ってもらい、それから伯母たちも帰るということだった。
 
「じゃ、そちら運転お気を付けて」
「うん。ゆっくり帰るよ。そちらも電車の中で寝ていくといい」
「ええ。女同士だから、そのあたり気兼ね無いですからね」
「うん。女の子だけで集まった良さだよね、それ」
 
私が頭を掻いているのを見て美耶が笑っていた。
 
「冬ちゃん、私の披露宴の余興には女の子の服で出てくるよね?」
「えー、恥ずかしいです−」
「だけど、聖見ちゃんの披露宴ではドレス着てエレクトーン弾き、俊郎さんの結婚式では振袖着て三味線弾いたんでしょ?」
 
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「じゃ、美耶さんの結婚式では、ビキニを着てエレキギターかな」
「ギター弾けないよぉ」
 
「なるほどビキニの方は構わないんだな」
 

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翌週の日曜日、陸上部の大会があった。
 
私は出るのが2種目だけなので、相変わらず雑用係として走り回る時間の方が多かった。午前中400mの予選があったので出て行った。予選はけっこうな人数がいて、次から次へという感じだったので、私も特に何も言われない。6人で走ったが5位の人に80mくらい離されてのゴールであった。遠く及ばない感じではあったものの、私は全力で走ったのが気持ち良かった。
 
その後もゴールのテープ持ちなどをしていたが、やがてお昼になり、自分のチームの所に戻り、お弁当を食べていた。チームは今の所総合で3位ということで「へー凄い」などと思いながらみんなの話を聞いていた時、チアリーダー部の協佳がやってきた。
 
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「はーい、こちら今どんな感じですか?」
「今、総合3位だよ」と若葉が答える。
「おお、凄い。それではチアを送ろう」
 
「チアって、協佳ひとりなの?」
「チアガールズは現地調達さ」
「へ?」
「はい、若葉ちゃん、この衣装着よう」
と言って、協佳は若葉にミニスカとボンボンを渡す。
 
「ちょっと、ちょっと。ここで着替えろと?」
「そのジャージの下にショートパンツ穿いてるよね?」
「ランニングパンツだけど」
「うんうん。それで構わない。その上にこのミニスカ穿けばいいんだよ」
「なるほどー」
 
「はーい、そこの美枝ちゃんも頑張ってみよう」
「えー?」
と言いながらもミニスカとボンボンを受け取る。
 
「そちら彩絵ちゃんだったよね? 君も参加しよう」
と言ってミニスカとボンボンを押しつけている。
 
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「他に1年女子はいない?」
と言うと、彩絵が隣の子を指さす。
 
「そちらは名前なんだっけ?」
「あ、えっと稀夕ですけど」
「はーい。稀夕ちゃんも参加しよう」
と言ってミニスカとボンボンを押しつけている。
 
「あと1個あるんだけどな。あ、冬がいるじゃーん」
「ボクもするの?」
「何を言ってる、経験者」
 
「へ?冬ちゃん、チアガールの経験あるの?」
「そそ、上手かったから、チアリーダー部にも勧誘したのに、陸上部入るから入れないと言って逃げたんだよね。さあ、頑張ろう」
「へー!」
 
私はポリポリと頭を掻きながらミニスカとボンボンを受け取る。
 
私がミニスカを穿いたのを見て、彩絵が
「冬ちゃん、まだ足の毛とか生えてないの?」
と訊く。
「えっと生えて来たら毛抜きで抜いてる」
と答えると
「なるほど!」
となんだか納得された。
 
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「冬のミニスカ姿、全然違和感無いね」
などと貞子が言っている。
 
「あ−!ボクがしなくても、そこに1年女子いたじゃん」
「あれ?そちらも1年女子? 何か偉そうな雰囲気だったから上級生だろうと思って、声掛けなかった」
と協佳。
 
「いや、私がミニスカ穿くと、男が女装してるみたいと言われるから遠慮しとくよ」
 
などと貞子は言って笑っている。ああ、貞子は麻央と似たタイプかなと私は思った。
 
「冬ちゃんは全然女装には見えないね」と稀夕。
「うん、ふつうに女の子にしか見えない」と彩絵。
 
「はーい。冬ちゃんは私と並んで。若葉ちゃん、美枝ちゃん、彩絵ちゃん、稀夕ちゃんは後ろに並んで、私と冬ちゃんがするアクションを見て真似してね。はーい、行くよ」
 
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と言って協佳は携帯で音楽を鳴らすと、それに合わせてアクションし始める。私はその協佳の踊りを横で見ながら、それと対称になるように動いた。私たちの後ろで若葉たちが踊る。
 
「Go!Go!●▲中!、ほらみんなも叫ぼう」
「Go!Go!●▲中!」
 
そういう感じで10分ほどの即席チアによる応援パフォーマンスが行われたのであった。
 

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午後一番に走り高跳びの予選があった。高跳びの棒やクッションが設営されている場所に行く。待機していたら
 
「あれ、君、今の時間は男子の予選だよ。女子の予選は14時からだけど」
などと運営の腕章を付けている先生に言われる。
「あ、すみません。私、男子です」
と私は男声で答えた。
 
「あ、そうだったのか。ごめん、ごめん」
 
他の選手を見ていると全員背面跳びである。その中で私がベリーロールで飛ぶので、ちょっと注目されている感じもあった。
 
女子の選手の中にはベリーロール派もいることもあり、
「あれ、君、女子じゃないよね?」
などともまた言われたが
「済みませーん。男子です」
とやはり男声で答えておいた。
 
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この日の高跳びで私は何だか物凄く調子が良かった。1m20cm, 1m30cm, を2度目までにクリアし、これまで1度もクリアしたことのなかった1m40cmも1発目で飛べてしまった。きゃー、すごーいと思う。
 
それでも予選通過標準記録の1m45cmを3回とも失敗してしまったので、さすがに決勝には行けないかと思ったのだが、その日は予選通過標準記録を飛べた選手が少なかったらしい。
 
それで、1m40cmを1発目で飛んだ私と、もうひとりの選手の2人が追加で決勝に出られることになった。
 

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チームに戻って予選の結果を報告すると
「おお、凄い、凄い」
とみんなから褒められる。
 
「冬ちゃん、凄いね。練習でも1m40cm飛んだこと無かったよね?」
「ええ。いつも1m25cmくらいが限界で。1m30cmもまだ2回しか飛んだことないです」
 
その時若葉が「あっ」と言った。
 
「先生、冬が1m40cmを飛べた理由が分かりました」
「へ?」
「さっき、冬はミニスカ穿いてチアガールしてたでしょ。この子、女の子の服を着ると能力が上がるから、さっきの余韻が残ってたんですよ」
 
「ああ!それありそう」と美枝も言う。
 
「だったら、冬ちゃんのユニフォームは今度からスコートにしようか?」
と加藤先生は、けっこうマジな顔で言った。
 
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15時から行われた走り高跳びの決勝ではバーが1m50cmから始まったので、私はあえなく3回とも失敗して、戻って来たが
 
「しまった、直前にスカート穿かせるべきだった」
などと言われた。
 
それでもその年は3年生の選手層が厚かったし、絵里花さんや貞子、石岡さんや野村君など、1〜2年も活躍して、私たちのチームはどんどん点数を重ねていき、2位に大差を付けて優勝した。
 
ちょうどその時間に回ってきた教頭先生が缶ジュースをおごってくれて、全員で乾杯した。
 
「加藤先生、これで先生がこの中学に来られてから6回目の優勝ですね。ホントに凄いです」
と教頭は言うが
 
「いえ。私は何もしてないですよ。生徒達が頑張ってくれただけです」
と加藤先生はにこやかに答えていた。
 
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大会が終わった後、私は他のチームメイトと別れ、電車に乗って成田に向かった。その日、ドイツに短期留学していたアスカが帰国するのである。
 
私が成田空港に到着したのはアスカとお母さんが乗る便が到着して少し経ってからのようであったが、入国手続きに少し時間が掛かったようで、結構待ってからアスカたちは出てきた。
 
「お帰りなさい、そして優勝おめでとう!」
「あれ、私のコンテスト優勝知ってた?」
「だって、新聞に載ってましたよ」
 
と言って、私は新聞記事の切り抜きを見せる。
 
「すげー! こんなにでっかく載ってる」とアスカ。
「あら、私もびっくり」とお母さん。
「だって地方の小さな大会なのに」
 
「ヨーロッパの大会で日本人が優勝したとなると、マスコミは騒ぎますよ」
と言って私は微笑む。
 
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「いや、帰国しようと思ってたところで、ここで大会があるから腕試しと大会に慣れるの兼ねて出てみない?と言われてさ、それで帰国の予定を延ばして行ったみたら優勝しちゃって」
 
「アスカさんの腕だもん」
「でも私より上手い感じの人が2人くらい居たよ。それで刺激になるなと思ってたのに」
「コンテストって純粋な技術だけの問題じゃなくて、その演奏の出来具合が評価されるから」
 
「うんうん、私の先生もそれ言ってた」
 
「それにアスカさん、舞台度胸があるし」
「あ、それは自信ある」
と言ってアスカは微笑んだ。
 
 
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