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■夏の日の想い出・高2の初夏(1)

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(c)Eriko Kawaguchi 2012-01-15
 
6月の初旬、ボクは担任から少し面談したいと言われて面談室に行った。
 
「4月下旬の模試の成績が出たんだけどね」
と7組担任の土居先生が言う。
「3科目の合計が280点。うちの学年で2位。偏差値85」
「わあ・・・」
「これ東大理3に通る偏差値なんだけどね。まあ、理科と社会が入れば、この通りには行かないかもしれないけど」
「あはは。まぐれですよ」
 
「君さ、去年の夏の模試で30位だったんだね。当時校内の実力テストではまだ150位くらいだったのに」
「あ、そうですね。あれもまぐれです」
「12月の模試では校内90位だった。当時の実力テストは校内100位」
「えーっと」
「先月の実力テストでも校内70位。それでふと思ったんだけど、今回君ひとりだけ別に受けてるよね」
「あ、はい」
「去年の担任の先生に聞いたら、去年の夏の模試の時も君、申込書忘れたといって別に出してる」
「すみません」
 
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「それ、わざとだね」
「はい。知ってる人が居ないところで超集中して受けたかったので。今回は自分の本当の実力を確認しておきたかったんです」
「なるほどね。じゃ、逆に言うと、それだけの集中力を、周囲に知ってる人がいても出せる訓練を積むと、ふだんでもいい成績が取れるね」
「そうかも知れませんね」
女子制服を着て学校に出てくれば、それが出せるんだろうけどな・・・・とボクは思ったが、さすがにそれは言えなかった。
 
「君、1年の時は名大を志望校にしていたというけど、この春にクラス編成の直前に志望校を変えたけど・・・この実力があれば名大充分行けるし、東大を狙ってもいいんじゃない?」
「実は内心、東京外大を狙おうかなという気があります」
「ああ、いいんじゃない?充分行けるでしょ。この模試の実力が出せたら」
「でも公式見解では、志望調査票に出しておいた大学志望ということで」
 
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「君、面白い子だね。でも経済学じゃなくて外国語にするんだ?」
「ええ。以前は経営コンサルタントになりたいと思っていたのですが、今はむしろ翻訳家になりたいと思っていて」
「なるほどね」
「私、背広着て毎日会社に行ってという生活できそうもないので」
「何かコンプレックスがあるのかな・・・・まあ、とりあえず補習のクラスはいちばん上のクラスに入れておくからね」
と先生は言った。
 

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補習はこの時期は早朝補習だけ、4月から行われていたのだが、クラス分けは純粋に成績別で、1学期の間は基本的に1年生3学期の実力テスト順になっていたが、毎月一部の生徒の移動(基本的に上のクラスへの移動のみ)がなされていた。補習を受けている生徒は150人ほどで4クラスになっていたのだが、ボクは4月当初は2番目のクラスに入れられていた。しかし6月から1番上のクラスに移動された。この最上位クラスではふだんから会話している友だちは琴絵と佐野君だけだったので、琴絵の隣に行って講義を聴いていた。なお、政子はいちばん下のクラスである。
 
「ね、唐本君、政子とはどういう関係なの?」
とある日補習が終わって自分の教室に戻る途中、琴絵はボクに小声で訊いた。
「え?友だちだけど」
「友だち?恋人じゃなくて?」
「えー?それは違うよ」
 
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「だって、ふつうの友だちとは思えない親密さだし、よくふたりだけで話してるみたいだし。以前・・・キスしてたよね」
「うん。キスは今まで4回・・・いや5回したかな。でも親愛のキスだよ。政子を元気付けるのにしただけだから」
 
「政子、あまり花見さんと合わない感じじゃん」
「・・・なんかあの2人微妙だよね。ボクが1年に入ってきた時から思ってたけど」
「向こうをやめて、唐本君に乗り換えるつもりなのかな・・・と思ってたけど、どうもそういう展開になってないみたいだなと思って」
「政子、ボクのことは半ば女の子として扱ってるから。男女の関係にはならないよ。名前で呼び合うのも女の子同士の気安さだって向こうも言ってるし。ボクもそういう関係は快適だし」
 
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「唐本君、確かに女の子っぽいよね。部活で見てても、なんか女子部員の中に埋没してるし。私も時々、唐本君が男の子だってこと忘れてる」
「うん。元々の性格だから。だから政子と恋愛するつもりはないよ。向こうもそのつもりだと思うんだけどな」
 
「まあ、それならいいんだけどね。もし政子が唐本君に気があるんだったら唐本君ももっと積極的になってあげればいいのにって、私ちょっと老婆心」
「そうだなあ・・・・女の子との恋愛って、中学の時に経験したけど、ボクあまり男の子として振る舞いきれなくて・・・もういいかなという気がしてる」
「ふーん。じゃ、恋愛は男の子としたいんだ?」
「いや、男の子と恋をする気は無い」
「そうか・・・・政子とのことは私の考えすぎだったかなあ・・・・」
 
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琴絵は少し考えるふうであった。
 

そんな話をした当日にボクは昼休み、政子から呼ばれて図書館の裏の芝生に行った。ここはあまり人が来ないので、ボクたちにとって、格好の会話の場所になっていた。ただあまりにも人が来ないので、ぶっそうだからひとりではそこにいないようにボクは政子に言っていた。それで図書館で待ち合わせてから一緒にそこに行くのを常にしていたが、並んで図書館を出て、裏手に行こうとしていた時、ちょうど向こうから琴絵が来た。
 
琴絵が笑顔で手を振ってきたので、ボクと政子も手を振ってから裏手の方に行った。
 
「いや実はさ、今日私の誕生日なのよね」
「わあ、それはおめでとう」
「自分が17歳になるまで生きてたというのが不思議な気分」
「なんで?」
「私、小学生の頃は自分は15歳までに死ぬと思ってた」
「それは短すぎるよ。政子はたぶん90歳くらいまで生きるよ」
「そんなに長く生きなくてもいいけどな・・・・あ、それでね。私がひとり暮らしだし、こちらで誕生祝いをするからおいでよって、啓介のお母さんから電話があって」
 
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「良かったね。楽しんできてね」
「それを断ったのよね」
「え!?なんで?」
「女の子の友だちと映画見に行く約束しちゃってたからと言って」
「ふつう、そういう約束があっても、それ断って彼氏の方に行かない?」
「押し切った」
 
「ねえ・・・・花見さんのこと嫌いなの?」
「嫌いじゃないよ。まあ結婚してもいいかな、くらいは思ってる」
「ほんとかなあ・・・・・でも今夜は映画なんだ」
「うん。それでね。冬に今夜付き合ってくれないかなと思って」
「へ?」
「だって、こんなこと頼めるの、冬くらいしか居ないんだもん。
私友だち全然いないから」
「あの・・・その映画見に行く約束って」
「今からでっちあげたいんだよね」
「呆れた」
 
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「JUNO見に行かない?」
「凄まじく等身大の映画だね」
「絶対に男の子とは見に行きたくない映画だよ」
「ボクとはいいの?」
「だって、冬は女の子でしょ?」
「ま、いいか」
 
「映画が19時からなんだよね。とりあえず指定席は電話して押さえた」
「じゃ18時半くらいの待ち合わせでいいかな」
「うん。女の子の服を着て来てね」
「え?」
「だって、私女の子の友だちと映画を見に行くんだから」
「仕方ない。政子のためだから女装していくよ」
「ありがとう。冬、大好き」
というと政子はボクに抱きついて頬にキスした。
 
その時、ボクは政子の肩越しに建物の角を曲がって琴絵がこちらに来るのを見た。琴絵もこちらを見て、驚いたように建物の陰に隠れる。
 
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ボクは政子と離れて
「何か用?山城さん」
と琴絵に声を掛けた。
「えっといいのかな・・・・」と言って琴絵はこちらに来た。
 
「これ、秋田先生から頼まれて。。。。今度の書道部の大会ので書類に漏れがあったって。すぐ書いて出して欲しいって」
「ありがとう」
と言って政子は琴絵から書類を受け取ると
「ああ、しまった。書きもらし。すぐ出すね。ありがとう」
と言う。
 
琴絵は優しい笑顔で、ボクの方を見つめていた。
 

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その日の夕方、ボクはベージュのカットソーに黒い六分丈のスリムジーンズを着て出かけていった。このくらいの服なら家から直接出かけられる。バストはカーディガンを着て誤魔化した。政子はボクを見ると
「わ、今日は元気な女子高生って感じ」
などと言った。ふたりで手をつないで映画館に入る。
 
JUNOというのは17歳の少女の妊娠と出産を描いた映画である。恋人という訳でもない同級生の男の子とセックスして妊娠。一度は中絶を決断するも結局産むことにして、でも自分では育てきれないから里親を探す。幸いにもお金持ちの夫婦が里親になってくれることになるが、JUNOはその里親夫婦の夫の方に誘惑され、妻と離婚するから自分と付き合わないかなどと言われる。迷うJUNO。しかし最後は彼女が納得する結論に辿り着き、彼女にとっても、生まれた赤ちゃんにとっても、それぞれの良き未来が示唆される。
 
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自分たちと同い年の子たちの物語なので、ぜんぜん他人事ではない気がした。4月に政子から一度セックスに誘惑されたけど、もししていて避妊に失敗していたら、ボクと政子がこういうことになっていた可能性だってあるよな、なんて思ったりもした。
 
観ていて心がキュンとする場面がたくさんある。政子がこちらに手を伸ばして来たのでその手をしっかり握る。涙を流していたので、ハンカチを渡した。「ありがと」と政子は小さい声で言った。
 
映画が終わってから一緒にファミレスに入った。今日は映画代を政子が出してしまっていたので、このファミレス代はこちらもちということにした。今日は母から5000円もらってきている。お小遣いのストックも結構残っていた。
 
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「あ、これお誕生祝い」といって政子にケーキを渡す。来る途中絵里花の父の新しいお店で買ってきたもので、ドライアイスをたっぶり入れてもらっていた。
 
「わあ、ケーキだ」
「おうちに帰ってから夜食で食べるといいよ」
「うん。。。でもひとりで食べるのつまらないから、この後うちに寄らない?今夜は少し遅くなってもいいんでしょ」
「うん。今夜は晩御飯、ボクの当番じゃなかったから」
「じゃ、一緒におうちまで来てね」
「いいよ」
 
「たくさん泣いちゃったけど、いい話だったね」
「うん。ボクも実は泣いてた」
「・・・・ね。もし私が冬の子供を妊娠しちゃったりしたら、産んでもいい?」
「それは産んでいいし、政子と一緒に育てたいよ。里子に出したくない。でも、それ以前に、政子を妊娠させるようなことしないつもりだけど」
「そうね」
 
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「でも何でボクとの子供なんて想像するの?花見さんとの子供を妊娠する方が現実にありそうなのに」
「啓介の子供か・・・・そうだなあ。結婚したら産んでもいいかな」
「結婚するつもり無いの?」
「ううん。結婚してもいいと思ってるよ」
「なんか微妙だなあ・・・・嫌いなら別れればいいのに」
「いや、まだ好きだから」
「ほんとに?」
「あ・・・・冬、何か紙持ってる?」
「あ、うん」
 
ボクは持って来ていたトートバッグの中に入れていたノートを取り出すと渡した。政子は自分のバッグからいつものボールペンを取り出し、ノートを開いてその上に詩を書き始めた。
 
ボクはコーヒーを飲みながらそれをじっと見ていた。
 
「今の映画だね」
とボクは政子が書き終わるのを待って言った。
「うん」
政子はタイトルの所に『A Young Maiden』と書いた。
「この詩を見られたら、私自身が妊娠したんだと思われそう」
「政子も物語に入り込んじゃうタイプ?ボクも自分がJUNOになった気分で見ていた」
「冬も妊娠できそうな感じだもんね」
「えー!?」
「冬が妊娠するとしたら、私が父親かなあ」などと政子は言っている。
 
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夏の日の想い出・高2の初夏(1)

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