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■夏の日の想い出・新入生の秋(9)

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(C)Eriko Kawaguchi 2011-12-04
 
9月29日と30日、私たちは学校を休んでスイート・ヴァニラズのアルバム録音に参加した。アルバムには12曲収録予定で、その12曲分のコーラスを2日で録ってしまおうという魂胆である。(最初は1曲だけコーラスを入れるという話だったのが、話している内に全曲に入れることになった)
 
今回のスイート・ヴァニラズのアルバムに私たちは『恋のステーキハウス』という曲を提供していた。この曲も演奏や彼女達の歌は既に録られており、残りは私たちのコーラスを加える作業だけであった。
 
仮ミクシングされた音源を27日にもらって私たちは既に聴いており、28日はコーラス部分の譜面もFAXでもらい、私のマンションでふたりで既に練習してきていたので、実際の録音作業はかなりスムーズに進んだ。
 
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初日に8曲済んでしまい、2日目は4曲で終わるね、などという話をしながら、29日の夜、彼女たちと一緒に作業後、居酒屋で食事をした。
 
「えー!?スカイヤーズのアルバム制作にも参加したの?」
「偶然同じスタジオだったんですよ。向こうは最高級の部屋、こちらは最安値の部屋でしたけど」
「出口の所で偶然YamYamさんと会って『あれ?ここで録音やってるの?』なんて話から。それでこちらが向こうの曲にコーラスで入ったし、こちらの曲を1曲、スカイヤーズが演奏してくれたんです」
「なんて美味しいことをしてるんだ。知ってたら、こちらも1曲演奏しに行ってたな」
 
「コーラスだけと聞いていたのに、1曲はメインボーカルで歌っちゃったね」
「なに〜!?」
「じゃ、こちらのアルバムでも1曲歌ってもらおうか」
「え〜!?」
 
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その場で河合さんが須藤さんの携帯に電話をし、話はわずか15秒で決まってしまった。さすが旧友同士のことはある。
 
「ということでケイちゃんとマリちゃん、うちのアルバムで1曲歌ってよね」
「でも録音作業は?」
「明日はコーラス4曲で終わりだから、もう1曲私たちの演奏を録る余裕も作れる」
「あはは。。。。でも曲は?」
「今回のアルバムのために16曲用意して12曲に絞ったからね。予備があるよ」
とEliseは言ったが河合さんが
「いや・・・むしろ次のシングルに使おうかって言ってた『ペチカ』を使おう」
と言い出した。
 
「ああ、あれケイちゃんとマリちゃんに似合いそう」
「えー?そんなシングル用の曲とかいいんですか?」
「うん。その代わり、シングル用にはケイちゃんたちが1曲書いてくれたらいい」
「はい」
「でもあれ、編曲を依頼してないね」
「ケイちゃんに編曲してもらおう。明日の朝までに」
「どんな曲ですか?」
 
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河合さんが鞄の中から楽譜を取り出して見せてくれた。
「わあ、可愛い曲」
「編曲できる?」
「スイート・ヴァニラズの5人で演奏して、私たち2人で歌って、みんなでコーラス入れる感じでいいですか?」
「そうそう」
「編曲させてください」
「今夜中にとかできる?」
「1〜2時間くらいで出来ると思います」
「じゃ、スタジオに戻って、みんな意見出しながらやってもらおうか」とLonda。「あ、いいね」とElise。
 
そういう訳で私たちはスタジオに戻った。政子にどんな曲か知ってもらうために譜面を取り敢えずコピーさせてもらい、私がキーボードを弾きながら歌ってみせた。「わあ、ほんとに可愛い」と政子。
 
休憩室でみんなでお茶を飲んで雑談しながら、私はその曲のスコア譜を五線紙に書いていった。
「スコア譜書くのに楽器使わないんだね」
「ケイの頭の中にはオーケストラが入ってるんですよ。ギターのパートにソの音を書いたら、頭の中のギターがソの音で鳴るんだって言ってます」と政子。「解剖してみたいね」とLonda。
 
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「高校時代の体育の着替えでクラスメイトの女子たちが解剖を試みたことあるらしいですけどね」
「あはは」
「解剖される前に逃げちゃったらしい」
「ケイちゃん、女の子と一緒に着替えてたの?」
 
「ひとりだけ別室で着換えてました。でも、いいじゃん、女子更衣室で着替えなよ。楽屋ではふつうに他の女の子の歌手とかと一緒に着替えてたんでしょ?とか言われて、それじゃと思って、一度女子更衣室まで行って着替え始めたのですが・・・」
「みんなで飛びかかろうとしたら逃げちゃったとか」
「あれだけ殺気を感じたら逃げるって」
 
1時間ほどでスコア譜を書き上げたが、書いている最中もEliseやLondaが、ここはこうしない?などと言ってくるので、その部分は都度修正していた。できあがったスコア譜をコピーしてきてみんなで軽く合わせてみた。
 
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一度弾いた感覚で再度テーブルを囲み、みんなでアレンジに手を加えていく。けっこうみんなバラバラの意見を出すが、それをEliseがうまくまとめていった。このあたりの仕切りはさすがだなと思って私は見ていた。
 
修正を加えた譜面をまたコピーして配り、再度弾いてみる。そしてまた集まってといった作業を4回ほど繰り返した。
 
「だいたい固まったかな」
「じゃ、これ朝までに清書しますね。というかデータ打ち込んでMIDIにして譜面プリントしますね」
「よろしく」
「じゃ、今日はお疲れ様でした」
 
といってその日解散したのはもう夜中2時であった。私たちはタクシーで私のマンションまで戻って一眠りした。
 

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朝5時頃、目を覚ました。政子はまだ隣で寝ていたが、私はそっとベッドから抜け出すと、リビングで譜面をPCに入力していった。
 
6時頃政子が起きてきた。
「おはよー。もう少し寝てると思ったから御飯、6時半に炊きあがるようにセットしてた」
「ありがとう」といって政子は私にキスする。
 
「もしよかったら、もう少ししたら、鮭をロースターで焼いてくれない?」
「うーん。ロースター、私よく分からないのよね。私がそれ入力するから、冬、鮭を焼いてよ」
「いいよ。このプリントしたのに修正を書き加えているところを実際のPCの画面で修正して欲しい。それからまだ歌詞を打ち込んでないから、それを入れてくれる?」
「アイ」と言って政子は敬礼した。
 
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私が人参と油揚げを切って切り干し大根と一緒に煮、それから鮭をロースターに入れて焼いて、その間にお味噌汁を作っていたら、御飯が炊きあがる音がした。切り干し大根を大きな丼に盛り、鮭を政子用に2切れと私用に1切れ皿に載せてテーブルに持って行き、御飯を盛ってから政子に声を掛けた。
 
「もう少しでできるから。でも食べながらやっちゃおうっと」
と言うと政子は「いただきます」と言って御飯を食べながらパソコンへの入力をしていく。やがて「終わった。鳴らしてみるね」といってMIDIの演奏を掛けた。「あ、ここ直そうっと」私はノートパソコンを自分の方に寄せると、何ヶ所か微妙な修正をした。プリントを掛けてから、朝御飯の残りを食べる。
 
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一緒に片付けをし、着替えてから、私たちは抱き合ってキスをして、出かけた。8時にスタジオに入る。スタジオにはまだLondaしか来ていなかった。
「おはようございまーす」
「おはよう」
「みんな疲れてるから少し遅刻かな」などとLondaが言う。
「あれ?マリちゃんとケイちゃんって、もしかして一緒に暮らしてるの?」
「あ、えっと・・・・一応住居は別ですが」
「昨夜はケイのマンションで一緒に寝たね」
「その前の日はマリの家で一緒に寝たね」
「ああ、何となく分かった」とLondaは笑っていう。
 
8時40分頃に全員揃った。スコア譜を再度みんなで確認する。MIDIを鳴らしてみせて、またいろいろ意見を出し合い、多少の修正をする。それを私がパソコン上で再修正し、スタジオのプリンタを使って人数分プリントした。スイート・ヴァニラズのメンバーが楽器部分を演奏して収録する。4回演奏して、結局3回目の演奏を採用することにした。
 
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それを聴きながら、私と政子が歌う。これは3回歌って2回目のを採用した。最後にそれを演奏と重ねたものを聴きながら、スイート・ヴァニラズのみんなと私たちも加わってコーラスを入れた。作業はお昼頃終わり、みんなで近くのピザ屋さんに行って昼食をとった。残りのコーラスは昼食後である。
 
「じゃこれを使わせてもらったので代わりにシングル用の曲何か書きますね」
「うん、よろしくー。11月中旬くらいの音源制作になるから来月中にもらえばいいよ」
「ということで、マリ、作詞よろしく−」と私。
「OK。ケイが私に美味しいもの食べさせてくれたらできるよ」
「じゃ、今夜はビーフストロガノフ」
「あ、あれ好き。オージービーフにして」
「了解」
 
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「ふたりって同棲してるんだっけ?」とMinie。
「いえ、夕食作る手間省くのに、いつも一緒に食べてるだけです。たいてい1日交替でお互いの家で」
「作るのはケイで、私は食べるだけだけどね」
 
「夕食の後はそれぞれの家に戻るの?」とSusan。
「だいたい夕食作った家にそのままかな」
「やはり同棲のような気がする」とCarol。
 
「そういえば、ふたりの創作活動って、マリちゃんが作詞でケイちゃんが作曲だよね」
「だいたいそうですね」
「でもクレジットはいつも『作詞作曲:マリ&ケイ』なのね」
 
「ええ、実は心理的にはけっこう共同作業なんですよね」
「マリが詩を書いている時も、私が曲を書いている時も、お互い相手がそばにいるから書けるんです。物理的にそばに居ない場合でも、心の中では、そばにいる気がするし、電話掛けて会話はしないけどつないだままの状態で書くこともあるし。第三者には各々単独で書いているように見えるかも知れないけど、実は精神的には詩も曲もふたりで書いているんです」
 
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「『作詞マリ・作曲ケイ』で登録したのは、最初に書いた『遙かな夢』だけですね。高2の11月頃、金沢のホテルに一緒に泊まった時、こういうクレジットにしようって話したんです。今は『遙かな夢』もマリ&ケイに登録変更しました。まあ、レノン・マッカートニーみたいなものかな」と政子。
「ああ、それと似てると思ってた」
 
「ジョンとポールは『目と目』で話しながら曲を作ったとか言いますけど、私たちはハートとハートで話してる感じだよね」
「以心伝心みたいなものかな」
「むしろ一心同体?」
「クォーツのサトさんに『以珍伝珍』でしょ?『一珍同体』、いや女の子同士なら『零珍同体』?とか、からかわれたけど、私たちセックスはしないからね」
「え?しないの?」
 
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「ケイのおちんちんがまだ使えた頃も結局しなかったよね。今はもうケイがほぼ女の子の身体になっちゃったから、やりようもないです」
「女の子同士でもできるよ」
 
「でも昨夜一緒に寝たとか言ってなかった?」とLonda。
「札幌公演に一緒に行った時もふたりだけ同室だったよね」とElise。
河合さんが笑っている。
 
「仲良しだから高校時代から同じベッドでは寝てるけど、セックスはしないです」
「えー?高校時代はまだケイちゃん、男の子の身体だよね」
「私たち女の子同士の感覚しかなかったもんね」
「だいぶマリにもてあそばれたけど、一線は越えなかったね」
「私はもししたかったら、してもいいよと言ったんだけどな」
「友だちという関係を崩したくなかったからね」
 
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「信じられないなあ。私なら同じベッドに寝たら即やっちゃうぞ」とElise。「私、Eliseにやられそうになって逃げ出したことある」とLonda。
 
「私たちはしないよね」
「なんか怪しいなあ」とEliseもLondaも言った。
 
「そもそもふたりの雰囲気って熱々の恋人同士にしか見えないんだけど」
とCarol。
 

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夏の日の想い出・新入生の秋(9)

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