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■夏の日の想い出・新入生の秋(8)

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翌日の朝、その日は1時間目がふたりとも休講だったので遅く起き出し、私が朝御飯を作っている最中、パソコンでニュースを見ていた政子が
「あれ?」という声を上げた。
 
「どうしたの?」
「冬、この子たちの面倒を見てあげるの?」
「へっ?」
 
見ると芸能ニュースの片隅に
「デビュー間近なスリファーズ、ケイがプロデュース?」
などという記事が出ている。
 
どうも昨日の宇都宮のデパートでのライブで、ステージ横に私がいたのに気付いて盗撮し、それを芸能新聞社に売り込んだ人があったようであった。
 
「参ったなあ。これ須藤さんに叱られる」
などと思って、須藤さんに電話を入れて謝ると、ちょうどその件で話があるので、今日時間の取れる時でいいので、政子と一緒に出て来てと言われた。須藤さんは何だか上機嫌であった。
 
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月曜日は5時間目まで講義を入れているので、UTPの事務所に出て行ったのはもう夕方であった。
 
「遠藤さんに会ったこと報告してなくて済みませんでした」
「ううん。偶然の遭遇は全然問題無い。あそこ、私もよく時間が半日空いた時とかに行くしね」
「あ、そうなんだ」
 
「今回の件は、遠藤君のほうが恐縮して、迷惑掛けてすみません、って電話してきたよ」
「わっ」
「それで、実はその件で津田さんの方から、これを瓢箪から駒、嘘から出たまことにできないかって話が来ていて」
「え?」
「プロデュースまでしてくれなくてもいいんだけど、スリファーズにケイちゃんとマリちゃんから楽曲提供してもらえないだろうかという話」
「ああ」
「どう?できると思う?」
「どのくらいのペースと量で提供すればいいんですか?」
 
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「年間シングルを3〜4枚。アルバムを2枚くらい出すことを想定しているらしいのよね。シングルに毎回1曲、アルバムに毎回2曲くらい出してもらえたら、残りは他の作曲家さんに依頼して埋めると言っている」
「看板になればいいんですね」
「そ。あなたたちにとっての上島先生みたいなポジション」
 
「それなら問題無いです。昨夜もあの現場で録音した演奏を政子と一緒に聴いていたんですが、ほんとこの子たちうまいよね、なんて言っていたところで」
「やれるなら、津田さんに連絡するよ」
「はい」
 
須藤さんが△△社の津田社長に電話を入れると、今から少し打ち合わせしましょうということになった。3人で一緒に△△社を訪れる。応接室に通され、すぐに津田社長、遠藤さんと甲斐さん、そしてスリファーズの3人が入ってきた。何だか大人数の会議だ。
 
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「昨日はどうも済みませんでした」と私も遠藤さんもどちらも謝る。
その上で、津田社長が、あらためてスリファーズを簡単に紹介し、彼女たちへの楽曲の提供を依頼された。私たちは快諾した。
 
「じゃ、あらためて自己紹介」と彼女たちのマネージングの責任者である甲斐さんが3人に促す。
「スリファーズのリードボーカル・ソプラノの春奈です」
「スリファーズのサブボーカル・メゾソプラノの彩夏です」
「スリファーズのサブボーカル・アルトの千秋です」
 
「3人は声域がきれいに別れていて、春奈ちゃんが絶対音感持ってるから、凄く安定したハーモニーになるんですよね」と甲斐さん。
「春奈ちゃん自身はG3からE6まで、3オクターブ弱の声域を持ってます」
「凄い」
 
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「あ、それと・・・」といたずらっぽい微笑みを見せて、春奈に
「言っていいよね?」と尋ねる。
「はい」と笑顔で春奈。
 
「春奈ちゃんは戸籍上は男の子なの」
「えー!?」
「うそ!?」
 
これには私も本当にびっくりした。あらためて彼女を見るが、女の子にしか見えない。
「じゃ、春奈ちゃん、私と同類?」
「ええ。小学校の時もスカート穿いて通学して校内で堂々と女子トイレ使ってましたし、中学は最初からセーラー服で通学してます」
「すごい」
「親にも認められてというか諦められていて、中学に入るのと同時に女性ホルモンを飲み始めました。GIDの診断書ももらっています」
「じゃ、その声はボーイソプラノというか・・・・」
「むしろカストラートですね。まだ取ってないけど」と春奈は笑って言った。
 
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「春奈は、もう1年半ホルモン飲んでるから、胸もけっこうあるんですよ」と彩夏。「私たち、いつも一緒に着換えてるもんね」と千秋。
 
「いや、この子たちを売り出すのには私もちょっと迷ったんだけどね」
と津田社長。
「ケイちゃんを売り出して、今回春奈ちゃんを売り出して、とやってると、この後、この傾向の子がうちにどんどんやってきて、女装歌手専門のプロダクションみたいに思われないかって」
「それも面白いですけどね」と遠藤さん。
 
「ぜひ、スリファーズの曲、書かせて下さい」と私は言った。
「面白そうな子たちだから、私も頑張って書いちゃう」と政子。
 
そういうわけで、私たちはスリファーズに楽曲提供することで合意し、取り敢えず半月程度以内に、彼女たちのデビュー曲に使えそうな曲を書くことにした。また、春奈が個人的な問題で相談したくなったらお話させて欲しいというので、春奈と携帯の番号とアドレスを交換した。その後、けっこう彼女とは色々な話をした。
 
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私と政子が書いた曲『香炉のダンス/アラベスク』(結局今回は2曲提供した)を携えて彼女たちは11月に★★レコードからデビューし、作曲者の私とリードボーカルの春奈が同類であることなども話題になり、非常に大きなセールスをあげた。これは受検勉強中のピューリーズの3人をかなり刺激したようであった。
 
「スリファーズがあんなに売れてなかったら、私とか休養のついでにフェイドアウトしようかと思ってたんですけどね。あれでちょっとやる気が出た」
などとピューリーズのユウは後で言っていた。
 
またスリファーズの3人の名前に春・夏・秋の文字が入っており、私の名前に冬があるので、作曲者まで入れて「四季」になっている、ということを多くの人が指摘していた。実際、津田社長は3人が△△社に売り込んできた時、誰か冬という名前の付く女の子をスカウトしてきて4人組で「フォーシーズン」とか「シーズンズ」などといった名前で売り出そうかということも考えたりしたらしい。
 
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「でも私たちへのファンレター、スリーファーズになってるの凄く多いんです」
と春奈は言っていた。
「まあ、ふつうの人は thurifer なんて単語知らないもん」
「3人だからスリーという思い込みもありますよね」
 

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9月28日。私たちがスリファーズの件で△△社を訪れた翌日、私たちは須藤さんと一緒に##プロの事務所を訪れた。
 
##プロは私たちが高3の時、複数のプロダクションが私たちを獲得しようと競争していた時期、いちばん私たちの音楽を理解してくれている感じであった所であった。須藤さんという存在がなければ、私たちはここと契約してしまっていたかも知れないくらいだった。その時、一所懸命私たちを勧誘してくれていた長谷川さんに挨拶する。
 
その日私たちがここを訪れたのはこの事務所から年末にメジャーデビューする予定のスーパー・ピンク・シロップ(略称SPS)に関する取り決めなどを確認するためであった。そのSPSの担当も長谷川さんだったのである。
 
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「SPSはあのフェスティバルに参加する直前、路上ライブやっている所に私がたまたま通りかかってね。なんかいい感じの曲で雰囲気のいい演奏してたから注目したのよ。でもその時は、まさか君たちふたりの曲だとは思わなかった」
と長谷川さんは笑顔で言った。
 
「じゃ、ほんとに初期に目を付けてたんですね」
「うんうん。それでうちの事務所と契約しない?なんて誘ったんだけど、まだプロでやっていく自信無いからフェスティバルで入賞したらという話になって、それで3位になったから契約してもらったの」
 
話し合いは特に問題となる事項もなく、スムーズに進んだ。向こうが提示してくれた印税の分配比率も充分こちらに配慮してくれたものであった。レコード会社は★★レコードを当初予定していたものの、フェスティバル1位のガールズバンドがそちらから同時期にデビューすることになったため、◎◎レコードに変更したということであった。そちらにはその日の夕方一緒に訪れ、担当課長の林葉さんに挨拶をしてきた。
 
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「それで、もし良かったら今後も彼女たちに楽曲を提供してくれると嬉しいんだけど」
「いいですよ。シングルに1曲、アルバムに2曲くらいのペースでいいですか?」
「うん。だいたいそんな感じでいいよ」
 
長谷川さんとの話は後半はすっかりローズ+リリーの音楽論になってしまった。須藤さんも「あ、そうか」などと、彼女の論評に真剣に耳を傾けていた。
「もしかして、長谷川さんって、この子たちの音楽の最大の理解者かも」
などと須藤さんも言っていた。
 
「でも世間ではケイちゃんとマリちゃんはレスビアンだというもっぱらの噂だけどさ、私の感触では、なんかそれとは少し微妙に違うんだよなあ。何ということばで表現したらいいのか、よく分からないんだけど」と長谷川さん。
「私もこの子たちの関係って、どうも微妙に分かったような分からないような感じでね。。。。普通に世間的にいう恋人同士とは違うっぽいし」と須藤さん。
 
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「え・・・だって私たち友だちだよね」と顔を見合わせて私と政子は言う。「いやいや、それは違う」と長谷川さんも須藤さんも言った。
 
SPSのデビューシングルのタイトル曲はフェスティバルで入賞した『恋愛進行形』
と決まっていたがc/wにする曲については、この時点ではSPSの美優自身に書かせると言っていた。しかしまだこの頃は美優もまだ作曲技術が未熟で、商業ベースで出せる品質の曲を書くことが出来なかった。そこで今回はもう1曲こちらに書いて欲しいということになり、私たちは『炎の砂時計』という曲を書いて提供した。
 
彼女たちの曲は10月下旬にレコーディングを行い、私は多忙なスケジュールの中、レコーディング・スタジオを訪れて彼女たちを激励した。CDは12月8日に発売され、8万枚のヒットとなった。
 
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夏の日の想い出・新入生の秋(8)

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