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■夏の日の想い出・天使の歌(8)

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2019年3月29日(金)9:41.
 
沖縄県うるま市内の病院で上島茉莉花(春風アルト)さんが最初の赤ちゃんを出産した。女の子で美音良(びおら)と名付けられた。上島先生は物凄い喜びようだったという。他の女性との間に既に4人も子供を設けている上島先生ではあるが、結婚したアルトさんとの間には子供ができていなかったので、これまで申し訳無い気持ちでいっぱいだったと言った。その件ではアルトさんの方こそ、子供が出来ない原因の大半は自分にあるのではと思っていたので、上島先生の正直な気持ちを聞いて涙が出たらしい。
 
UTPの悠子が産んだ美季(2018.7.3)
青島リンナが産んだ夏絵(2018.8.3)
千里が実際には産んだ緩菜(2018.8.23)
Eliseが産んだ帆笑夢(2018.9.6)
若葉が産んだ政葉(2018.10.11)
仁恵が産んだ純花(2018.10.12)
川島さんの忘れ形見・由美(2019.1.4)
政子が産んだあやめ(2019.2.3)
和実が産んだ明香里(2019.3.11)
 
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そしてこの美音良ちゃんが同じ学年になる。
 

同じ3月29日の午前中。作曲家協会の会長は定例の記者会見の席上、
 
「現在謹慎中の上島雷太君のことですが」
と言って、特に上島先生の件に触れ
 
「彼は才能ある作曲家なので、また頑張って良い作品を生み出して欲しいと思う」
と述べて、事実上、不祥事による謹慎が解除になった。
 
これを受けて上島先生は夕方、那覇市内のホテルで記者会見をし、自分の認識の甘さから、多方面に多大なご迷惑をお掛けして申し訳無いと、あらためてお詫びした上で、作曲家協会会長から暖かい言葉を頂いたので、また頑張りたいと述べ、取り敢えず謹慎期間中に書いた作品が100曲ほどあるので、それをもし使ってくれる人があれば提供したいと述べた。
 
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(記者たちは上島先生が沖縄にいること自体知らなかったので、この日UDPからのFAXで知った報道各社は沖縄の系列報道機関の記者に指示したり、一部は福岡などから記者を沖縄に向かわせて対応したようであった)
 
この上島先生の記者会見を受けて、この1年ほど、上島先生の代替をすべく運用されてきたUDP (Ueshima Diversion Project)は活動終了することになり、協力してくれた作曲家さんに新たな発注はしないことにした。現在依頼中の作品が揃った所で代替業務終了。あとは印税の処理だけをする機関に規模縮小することとなる。
 
なおUDPの活動終了に伴い“紅石恵子”も終了するが、これはこの後、三つ葉のためだけの名義としてだけ使用していくことにした。
 
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「呉田軽穂(*1)みたいなものですか?」
と波歌は言ったが
 
「あんな神様みたいな人の名義と並べてはいけない」
と私は答えた。
 

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(*1)「呉田軽穂」は松任谷由実が松田聖子に提供した曲に付けたクレジット。名前はもちろん伝説的ハリウッド女優、グレタ・ガルボのもじりである。
 

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同じ3月29日夕方。
 
★★レコードの北川奏絵・上級係長が退職した。
 
大学卒業後★★レコードの制作部に入り、これまで数百名のアイドルを担当してきている。2016年春には子宮癌が見つかったが、最新の光線力学療法という治療法で手術せずに治療することができて、彼女は妊娠能力を失わずに済んだ。その代わり約半年にわたる入院をしている。
 
5月に結婚することになっているのだが、相手は高校の同級生で、都内の流通関係の会社に勤めているらしい。
 
北川さんの後任の上級係長について、町添制作部長(専務)は仙台支店の奥山制作課長を本社に転任させて、上級係長に任命した。それで氷川さんと2人で南課長を補佐する。この人事に制作部ではホッとした空気が流れた。
 
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実は大阪支店の鈴原制作課長が転任してくるという噂があったのだが、彼は大阪支店長の黒岩さんに近い。黒岩さんは村上社長の腹心のひとりであり、村上さんは自分の周囲を固めるために、できるだけ早く黒岩さんを本社に呼び戻したがっているのだが、町添・松前派のみならず、佐田派からも抵抗されて、なかなか呼び戻せずにいるのである。
 
その黒岩さんに近い人が本社の制作部門に入ってきたら、大混乱が起きるのは必至であった。
 
町添さんは黒岩さんの影響力をあまり出されたくない佐田副社長をうまく抱き込んで、鈴原さんではなく仙台支店の奥山さんの転任という案を通してしまったようである。
 
もっとも奥山さんは仙台支店ではあまり派閥とは関係無くみんなが和気藹々とやっていたのに、本社に来ると派閥抗争が凄まじい感じで「やだぁ!」と思ったらしい。
 
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3月30日(土).
 
町添さんがうちのマンションを訪れてきた。
 
「ケイちゃんお疲れ様。この1年間は物凄いペースで曲を書いてくれたね」
と私をねぎらうが、実際には私は8月以降はほとんど曲を書いていないので少し良心が痛む。
 
8月以降、私の名前で発表されていた曲は、実際には青葉、琴沢幸穂、丸山アイ、絹川和泉、鮎川ゆま、福井信一などの代作である。また夢紗蒼依のシステムが生成した曲を、千里や丸山アイなどが、まるで私が書いたかのように調整した曲もけっこうあるはずである。
 
「何かこの1年は忙しすぎて、自分の制作ができなくて。だからローズ+リリーもKARIONも制作が止まったままだったんですよ」
 
「それは申し訳無かった。でも村上社長から聞いたけど、今年は『恋物語』というタイトルのアルバムを作るんだって?」
 
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「そうですね。取り敢えず今月から11月までスタジオを借りる契約を結びました」
 
「頑張ってね。でもほんとにお疲れさん。昨年はいちばん書いたのがケイちゃんで、JASRACで検索したら723曲あった。次が松本花子さんで546曲、実際問題としてこの2人で上島君の作曲量をほぼカバー出来た。あとは東郷誠一さんが316曲、夢紗蒼依さんが214曲、望坂拓美さんが143曲」
 
と町添さんは多作な作曲家の名前をiPhoneのメモを見ながら言っている。
 
しかしそれって全部“ブランド名”であって、個人で書いている訳ではないよな、と私は思った。それを町添さんがちゃんと認識しているのかどうか、私は疑問を感じる。
 
「でもふと気付いたんだけど、昨年はアクアちゃんのCDにケイちゃんは曲を書かなかったのね」
 
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「ええ。大量に曲を書いていたので、アクアに提供するような高品質の曲を書く自信が無かったので、大宮万葉と琴沢幸穂さんにお願いしました」
 
「琴沢幸穂さんって最近目立ってきているね。いい曲書いている。ケイちゃん、会ったことある?」
「ありますよ。彼女は海外拠点で活動しているので、あまり日本のマスコミには登場しないんですよ」
「そうだったんだ!」
 

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「だったら今年はケイちゃん、アクアちゃんにも書く?」
と町添さんは言った。
 
「いや、それが大量に書いていた後遺症で、今まともな曲が全然書けないんですよ」
「え、そうなの!?」
 
それで取り敢えず今マリと和泉から作曲を禁止されていることを言う。いつから禁止されているかは言わなかった。
 
「それは大問題だ!」
 
そうでもない気がするけど、と私は思う。これで困っているのはKARIONだけである。
 
「ちょっとその件、何人かに呼びかけて対策を練るよ」
と町添さん。
 
いや、大丈夫ですけどと言いかけて私はやめた。名義貸しの件を話すとややこしくなるし、町添さんは“エース”だから、そういう闇の中のことには関わらせない方がいいと思った。
 
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思えば、私の周囲の、ゆま・千里・雨宮先生・蔵田さんたちは、今まで私をそういう闇の世界に関わらないようにしてくれていたのだろう。しかし昨年度はとても余裕がなくなり、名義貸しの世界にどっぷりはまり込むことになった。
 
町添さんは何人か人を集めて、私が今品質の高い作品を書けなくなっている問題について話し合うと言っていた。
 
実際にその会議は4月中旬に開催され、町添専務、氷川上級係長、雨宮先生、葵照子、醍醐春海(千里1)、鮎川ゆま、近藤七星、Elise、和泉、更にはマリまで出席したらしい。
 
しかしその会議を契機に千里1は霊的な能力と作曲能力を回復させることになるので、会議は無駄では無かったのである。
 

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3月29日(金).
 
龍虎と西湖はこの日の夜までに、自動車学校の全ての課程を修了した。この後は卒業試験に合格すれば卒業だが、卒業試験は平日にしか行われないので、4月1日に受験することにする。
 
3月30日はオフになるかと思ったのだが
「今日空いてるなら北里ナナのPVを撮るから」
と言われて都内のスタジオまで行くことになった!
 
「ボクたち全然休めないね」
と龍虎は西湖とグチを言い合った。
 

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北里ナナの新曲は『招き猫の歌/白雪姫』である。楽曲の収録はまだなのだが、先にPVの撮影をすることになった。
 
『招き猫の歌』は加藤珈琲・琴沢幸穂のペアが書いたもので、右手を挙げた黒い招き猫と左手を挙げた白い招き猫がボサノバのリズムに乗って踊るという楽しい歌である。PVの半分はアニメーションだが、黒い衣装を着て黒い猫耳カチューシャ!を着けたアクアと白い衣装を着て白い猫耳カチューシャを着けた葉月が一緒に踊る実写も入れる。
 
これは合成しない。普通の動きなら合成して双方がアクアであるように編集できるのだが、組んで踊っている所は役割を入れ替えて踊っても、どうしてもピタリとは合わないのである。それで葉月の顔がそのまま残ることになった。
 
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「それに右手を挙げた招き猫は男の子で、左手を挙げた招き猫は女の子だからね。アクアちゃんが男の子で、葉月ちゃんが女の子だから、ちょうどいいよね」
 
などと撮影しているディレクターさんが言っていたが、最近葉月は完全に女の子扱いされてるな、とアクアは思った。
 
もっとも「仕事場に行く時は制服」というルールで、アクアはC学園の(自主的に設定した)男子制服を着てきたが、葉月はS学園の(当然)女子制服を着てきていたので、葉月をそれで男子と思えというのが無理である。
 
実際今日の衣装は身体にピタリと吸い付く衣装なので、この日踊ったのはバストの無いアクアMであるが、葉月は偽装バストを着けたまま衣装を着たので、女の子のボディラインが、かなりくっきりと出ているのである。
 
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(公開後「アクア様のおっぱいが無い」と女性ファンの悲鳴があがり、大量に女性ホルモン剤が送られてくることになる!)
 
なお、お股の付近は線が出ないように、ふたりともホットパンツを穿いている。これはアクアの“男性器の盛り上がり”は絶対に映してはいけないことになっているからである!が、結果的に葉月のお股の形状も隠されることになった。
 

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『白雪姫』は岡崎天音(=マリ)と大宮万葉(青葉)が書いた曲である。
 
赤いリンゴをかじって白雪姫が崩れるように倒れる所から、小人たちの悲しみ、王子様の来訪、王子様の部下が棺を持ってつまずき、棺が落ちて白雪姫が目覚める、という『白雪姫』物語のラスト部分を歌ったものである。
 
とても静かなアコスティックの音と青葉は指定した。それでこの曲のスコアでは、エレメントガードのヤコとエミがアコスティックギターを持ち、ナツもグランドピアノを弾くというアレンジになっていて、3人は今必死に練習しているところである! ドラムスのユイは普通にドラムスである。更にゲストミュージシャンを入れてヴァイオリンとヴィブラフォンの音を入れることになっているのだが、音源製作では桜野レイアがヴァイオリンを弾き、桜木ワルツがヴィブラフォンを演奏する予定で、そちらも今練習している所である。
 
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PVでは、白雪姫・王子以外の登場人物はアニメで、この2人だけが実写となる。むろん演じるのはどちらもアクアであるが、撮影時には葉月がボディダブルとなって、役割を交代して2度演じる。
 
ディズニー版のように王子の口付けで白雪姫が目覚めたりはしないので、キスシーンも無い。正直キスシーンを入れると、ファンが騒ぐので葉月の身の危険が生じる!
 
白雪姫の衣装は真っ白なシルクのプリンセス・ドレス。王子様の衣装は煌びやかな中世ヨーロッパ風の衣装である。どちらもとても高価なもので、2着は作れない。それでアクアと葉月は同じ衣装を交替して着ている。むろんふたりはとても仲良しなので、お互いが着た衣装を着るのは全く抵抗が無い。実際にドレスを着たのはアクアF、王子様の衣装を着たのはアクアMだったので、女らしい白雪姫、男らしい王子様になって、ディレクターさんを感心させていた。
 
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PVの撮影は3月30日夜遅くまで続き、ふたりはクタクタになって都内のホテルに泊まった。
 
 
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夏の日の想い出・天使の歌(8)

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