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■夏の日の想い出・天使の歌(7)

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さて、龍虎の場合はこのようになった。
 
入校申請書を書き、住民票と一緒に出してパスポートを提示する。
 
「あなた性別が違いますよ」
と言って、入校申請書の性別欄が男になっている所を指さされる。
 
「私男ですけど」
「冗談はやめて」
「パスポートを見てください」
「あら、ほんとに男って書いてある。ごめんねー」
と言って受け付けてくれる。
 
「そういえばあなたズボンの制服着てるわね。でも女の子みたいな声なのに。戸籍が男って、性転換して女の子になったの?」
 
「別に女の子にはなってません。私、まだ声変わりが来てないんですよ」
「へー。17歳でまだって珍しいね」
「たまにいるらしいですよ」
 
「あなた学生さんよね?」
「はい。高校生です」
「だったら生徒手帳も見せてください」
「はい」
 
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「これ苗字が違うけど・・・お嫁さんに行った?」
 
ボクお嫁さんには行かないつもりだけど〜と思いながら龍虎(龍虎M)は言う。
 
「いえ。私、里子なんですよ。それで戸籍名は長野龍虎なんですけど、学校では里親の苗字の田代を名乗っているんです」
「ああ、そういうこと?だったらOKです」
 
それで龍虎は性別を誤解されたものの、無事(?)男として入校することになった。
 

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西湖は龍虎より30分ほど遅く到着した。
 
入校申請書を書き、住民票、パスポート、と一緒に提出した。
 
係の人は悩んだ(龍虎の受付をした人とは別の人である)。
 
入校申請書では性別が男に丸が付けてあるのだが、本人はどう見ても女の子にしか見えない。だいたいブレザーにスカートという女子制服を着ているし。パスポートを見ても sex F になっている。やはり女性なのでは?と思う。
 
「あなた学生さん?」
「はい、高校生です」
と答える声は女の子の声である。
 
「生徒手帳ある?」
「はい」
と言って、西湖は「天月西湖」名義の生徒手帳を出す。西湖は普段使いの“天月聖子”名義の生徒手帳と、身分証明書として使う“天月西湖”名義の生徒手帳を持っている。取り出す時に間違えないように“聖子”の手帳には白いユリのシール、“西湖”の手帳には赤いバラのシールを貼っている。
 
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係の人が西湖が出した生徒手帳を見る。そもそもS学園の生徒手帳じゃん!と思う。ここは女子校のはずである。身分証明書欄を見ると《天月西湖・女》と記されている。それで係の人は言った。
 
「あなたこれ入校申請書の性別間違っているわよ」
「あれ?違ってました?すみませーん」
 
西湖がそう返事したので、やはり間違ったんだなと思い、係の人は入校申請書の性別を女に変えてしまった!
 
(龍虎の受付をした人も、西湖の受付をした人も住民票に記載された性別を見落とした。しかしパスポートの性別と住民票の性別が違うなんて、普通は思わない!)
 
それで西湖の書類は受け付けられ、無事(??)女として入校することになった。
 

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初日は視力検査を受け、学科を受けた後で、シミュレーターでの教習と実車があった。夜19時まで教習を受けてからバスで宿舎に行く。一緒に夕食を食べる。
 
「転んだ?」
「ボク3回も転んだ」
「ボクは4回転んだ」
「けっこう難しいよね〜」
 
西湖と龍虎はお互いの部屋番号を確認した。
 
「へー。せいちゃんは8階か」
「相部屋だって言ってた。なんか混んでいるらしくて。龍さんは?」
「ボクは2階。ボクは個室らしい。でも春休みだから個室が足りないのかもね」
 
それで「また明日も頑張ろう」と言って分かれた。龍虎は2階の部屋に入る。押し入れに布団が1組だけある。それで個室であることを確認出来る。
 
「誰が最初にお風呂に入る?」
と訊くと
「私が最初」
と言って、Fがさっさとお風呂に入ってしまった。
 
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「まあいいよね」
とMとNは話し、それで2人は“夕食を取りながら”、Mは自動車学校の教本を読み、Nは練習しておいてと渡されていた“北里ナナ”の次期シングルの譜面を読み始めた。
 
なお寝具については、《こうちゃん》があと2組の寝具を運び込んでくれたので3人の龍虎は6畳の部屋に布団を川の字に3つ敷いて寝た。寝る順序は奥からFNMの順である。
 
ちなみに龍虎が2階、西湖が8階になったのは、ここの宿舎では低層階に男性、高層階に女性を泊まらせるようにしているからである!
 

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8階まで登って部屋に入った西湖は先に入っている女性がいるのに気付く。
 
「こんばんわー」
「こんばんわー」
と挨拶を交わす。
 
「私は佐藤ルミ」
「私は天月聖子です」
 
「女子高生?」
 
まあ女子校の制服を着ていてふつう男子高校生とは思わない。西湖は“女子”というのには引っかかったものの、普段から“女子高生”と言われなれているので「はい」と返事をした。
 
「春休みの内に取ろうと思って。そちらは女子大生さんですか?」
「そそ。でもこの時期に取りに来るって4月上旬生まれ?」
「いえ。まだ高校1年、4月から2年になるんですけど、普通二輪なんですよ」
「なるほどー。二輪か。でも女性ライダーって格好いいよね。私も夏休みに二輪取りに来ようかなあ」
 
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そういう訳で西湖はその女子大生とすっかり仲良くなってしまった。ちなみに西湖は女性と同室であること自体には何の疑問も抱かなかった!
 
合宿中は洗濯した服をお互い部屋の中に干していたが、西湖は女性用の下着しか使っていないので、これも何も問題が無かった。
 
更には共同生活中、何度か西湖はルミにお風呂からあがったばかりの裸を見られたものの、西湖は“暫定的に”女性の身体になっているので、それも全く問題が無かった。
 
「聖子ちゃん、スタイルいい!それならタレントさんになれるよ」
などと言われた。
 
現在既にタレントであることは面倒なので言わなかった!
 

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3月下旬。アナウンサーとしての就職口を探して就活をしていた青葉は、それまでも“金沢ドイル”の名前で番組に出演していた金沢〒〒テレビの石崎部長に呼ばれ、話し合いの結果、1年後の2020年度春から同放送局にアナウンサーとして採用されることが決まった。
 
「ではアナウンサー兼霊能者ですか?」
「川上青葉アナウンサーは金沢ドイルによく似た人という設定で」
「綾小路翔とDJ OZMAみたいなものかな」
 
「取り敢えず今年度はバイトのアナウンサーということで月15万円払うから。それで霊界探偵の方は、4月から正社員になってもらう皆山(幸花)君と一緒に、まあ局のスタッフ同士ということでよろしく」
 
「あ、はい」
 
それって、ひょっとしてスタッフとしての給料だけで出演料は無しってことかな〜?と思うが、アナウンサーとして採用してくれるのなら、まあいいかと青葉は思った。
 
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「それと来年はオリンピックの年だし、スポーツ関係の特番も結構組むと思うんだよ。それの取材とかをしてもらえる?」
「はい。私が水泳関係に知人が多いし、姉はバスケ関係に人脈がありますから、その2種目は特にやりやすいと思います。他の競技も頑張ります」
「うん。それはよろしく」
 

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3月26日(火).
 
証券会社の担当さんから電話連絡があった。
 
「唐本さま。本日の大引けまでに★★ホールディング株、246万7300株買うことができました」
「ありがとうございます。結構行けましたね」
と私は返事をする。
 
「はい。240万株に少し足りないくらいで終わるかなと思ったのですが、値段がかなり高くなったので、ここで売り逃げしようという人が出たみたいで最後に大量取引が成立したんですよ。それで高値になりましたが7万株近く買うことができました」
 
「最後はいくらになったんですか?」
「終値(おわりね)は3478円です」
「随分上がりましたね!」
 
「よかったでしょうか?」
「もちろんです。今回は保有が目的だったので。平均取得価格はどのくらいになりましたかね?」
「正確な数値は今日中にレポートをお送りしますが、だいたい2700円くらいだと思います」
 
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後でもらったレポートによると、平均取得価格は1株2641円。使用した資金は65億円ほどである。
 

2019年3月27日(水).
 
ローズ+リリーの28枚目のシングル『天使の歌声』が発売された。
 
3月上旬に企画が急浮上したのをこの日程で発売するというのは無茶苦茶なのだが、ローズ+リリーの発売ではこういう無茶なスケジュールでの発売が異様に多い。今回この日程で発売することにしたのは“年度内”に発売しておきたかったからである。つまり前回のオリジナル・シングルは2018年1月1日に発売しているので、これを4月1日以降に発売すると、2018年度には1枚もオリジナル・シングルが発売されなかったことになってしまうからである。
 
(2018年8月に発売した『お嫁さんにしてね』は既存のアルバムからの“シングルカット”扱いである。)
 
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発売日に私とマリは★★レコードの会見場で発売記者会見を開いた。
 
マリはまだ産休中ではあるのだが、記者会見には出した。そして記者会見の冒頭では、マリの立体映像と私が並んで収録曲をショートバージョンで歌った上で氷川さんからの趣旨説明の上、質疑応答に応じた。
 
「マリさんはまだリアルでは歌わないんですね?」
「2月3日に出産しましたので、8月3日に産休明けとしたいと思います」
 
今回のシングルの収録曲は『天使の歌声』『恋愛自動販売機』『出現』『ねこ』の4曲である。ここしばらくローズ+リリーのシングルは4曲というのが定着している。
 
(『草原の夢』は『十二月』に入れることにした)
 
須藤さんがプロデュースしていた時代に“5曲入りシングル”の流れが定着していたのだが、正直シングルに5曲入れるのは辛いので、なしくずし的に曲数を減らそうとしている。2016年11月の『その角を曲がればニルヤカナヤ/来訪/雪虫』が4曲、2017年の『青い豚の伝説』が4曲、2018年1月の『Four Seasons』も4曲である。昨年8月の『お嫁さんにしてね』は3曲だが、このシングルは特殊な位置づけである。
 
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今回の4曲は全てマリ&ケイでクレジットされているが、実際には『天使の歌声』、『出現』『ねこ』の3曲は私が単独で書いたものである。但し『出現』の歌詞は千里、『ねこ』の歌詞はマリが補作した。『恋愛自動販売機』は鮎川ゆまが青葉に依頼して“別のケイ”に書いてもらったものらしい。仕上がってきた作品が本当に私が書いたような作品になっていたので、私はびっくりした。
 

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次のアルバムについての質問が出た。
 
「次期アルバムについて、ケイさんは過去に『十二月(じゅうにつき)』、『星たちの歌』という名前を言及しておられたのですが、震災復興イベントで『戯謔(ぎぎゃく)』という名前に言及なさいましたよね」
 
この件に関しては私は発言せずに、氷川さんが説明した。
 
「『郷愁』に続く6枚目のオリジナル・アルバムは『恋物語』というタイトルで年内くらいに制作予定です。『十二月』『星たちの歌』は構想中のアルバムですのでリリース時期については現時点では分かりません」
 
唐突に聞いたこともないアルバム名が出てきて、記者達は困惑しているようだった。嘘をつくのは心苦しいのだが、現時点ではやむを得ない。
 
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「『戯謔』というのは?」
「それは来月発売します。これは通常のアルバムとは別の番外編とお考え下さい。そちらはもう既にほぼ音源製作は完了してプレスを待つだけです」
 
実はプレス工場が結構混んでいたので、そちらは無理しないことにしたのである。『天使の歌声』については、通常の倍の料金でプレスしている。余分に掛かった費用はサマーガールズ出版が負担している。氷川さんは★★レコードに出させますよと言ったが、出してもらうとその分原盤権の比率が変わってしまうので、痛い出費だが、こちらで出す。
 

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『出現』の歌詞の意味が分からなかったというので質問がある。
 
「これは実は沖縄の宮古島の北方にある八重干瀬を歌ったものなんです」
と私は漢字をホワイトボードに書いて記者たちに示した。
 
「地元では“やびじ”と呼ばれています。南北17km 東西6.5kmという広い領域に渡っており、その中の筆島には灯台もあります。普段は大半が海中にあり、浅瀬の状態になっていて好漁場、ダイビングスポットになっていますが、大潮の干潮の時には海面に姿を現すことがあります。それで“幻の大陸”という異名もあるんですよ」
 
質問が予想されたので用意していたビデオを流すと「きれい」「すごい」と言った声があがっていた。
 
「プレス工場が立て込んでいて今日には間に合いませんでしたが、来週にも発売されるDVD付きCDには、そちらで撮った映像も収録される予定です」
 
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実はまだ編集中なのである!明日にも工場に持ち込む予定である。
 

「全体的に昔のローズ+リリーに戻ったような雰囲気を感じたのですが。特に『恋愛自動販売機』は高校生頃のローズ+リリーを思わせますね」
 
という質問がある。この記者さんは昔からよく見る。長くローズ+リリーを見てくれているのだろう。
 
「やはり『郷愁』は迷路にはまり込んでしまったので、一度原点回帰ということにしました。『戯謔』もこれに近い路線で制作しています」
と私は笑顔で答えた。
 
「昨年も他の歌手さんに提供した曲にこの傾向の曲がありましたよね」
と言って、別の記者さんがいくつかの曲の名前をあげるが、私の知らない名前ばかりである!きっと誰かが“ケイ風”に書いてくれた作品だろう。
 
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「そうですね。最近のローズ+リリーの楽曲には多数の楽器をフィーチャーしたものが多くて、結果的に不協和音が多くなってしまったので、ぐっと楽器を減らしてみました。それでハーモニーを回復した感じですね」
 
と私が答えると、記者さんはそれを支持するかのように頷いていた。
 

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夏の日の想い出・天使の歌(7)

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