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■夏の日の想い出・影武者(10)

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最新CDから『ぼくの自転車』を演奏する。この演奏の最中に私たちのパーソナルカラーである、赤・ピンク・青・黄色のディスクホイールを付けた自転車が4台入って来てステージ上を走り回る。これに乗っているのはAPAKの4人である。4人はこのパフォーマンスをかなり練習していたようで、うまくお互い衝突しそうになることもなく、ステージを走り回っていた。
 
演奏が終わった所で挨拶する。
 
「こんばんは!KARIONです」
と挨拶すると、7000人近く入っていると思われる会場からあらためて大きな拍手と歓声が上がった。
 
和泉の短いMCの後、同じく最新CDから『雨のメグミ』『恋はスローイン・ファーストアウト』、更に春に出したアルバムから『長い夏休み』を歌う。
 
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この曲では例によって小風が「アクア、君は女の子になれ」という(改変した)セリフを言うと会場は受けていた。この曲では男の子を女の子に改造するため**を潰す音として音源制作ではキハーダを使用しているのだが、貴重な楽器でこういう所には持って来られないので代用品としてヴィヴラスラップを持って来ている。これを鳴らすのは本当は風花の予定だったのだが(男性陣は全員嫌そうな顔をして尻込みした)、政子が「やらせてやらせて」と言って出てきて、楽しそうに鳴らしていた。
 
更にこのアルバムから『待ちくたびれたシンデレラ』と『夏祭りの夜に』を演奏する。前者は葵照子・醍醐春海名義だが、実際は和泉と私の作品、後者は森之和泉・水沢歌月名義だが実際は蓮菜と千里の作品で、名義が逆になっている。
 
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ここで和泉がやや長めのMCをして、他の3人との掛け合いもする。その間に和楽器奏者が入って来て、後半最初は『黄金の琵琶』を演奏する。ここには予定には無かったのだが、作曲者の青葉自身も入って来て、一緒にフルートを吹いていた。
 
続けてやはり和楽器を多用した『アメノウズメ』を演奏するが、この曲では青葉はいきなり響美さんからAKAI EWI5000(ウィンドシンセ)を手渡されてびっくりしていたが、即興でこれを吹きこなしていた。
 
その後は過去のヒット曲から『海を渡りて君の元へ』『星の海』と美しい曲を演奏し、最後は6台のキーボードを駆使して派手な『コスモデート』で締めた。
 
このキーボードを弾いたのは、春美(スリーピーマイスの穂津美)、美野里、夢美、響美、Ami(APAK)、青葉の6人である。本当は風花が弾くことになっていたのをその場で青葉に押しつけ青葉は「え〜!?」と言いながらも渡された譜面をほぼ初見で弾きこなしていた。
 
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千里にしても青葉にしても、初見や即興に強い演奏者だ。
 
なお、風花は自分はYamaha WX5(これもウィンドシンセ)を持って演奏に参加していた。
 

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『コスモデート』の強烈なコーダを演奏し終わり、大きな拍手の中、KARIONと伴奏者が退場する。
 
しかし会場はアンコールを求める拍手である。
 
主催者の進行係さんが「やっていいですよ」と言うのを確認してから私たちはトラベリング・ベルズと一緒に出ていった。
 
和泉がアンコールを感謝することばを言い、そのあと短いMCを入れる。
 
それで私たちは季節外れではあるが大ヒット曲『雪うさぎたち』を演奏する。ヴァイオリン奏者さんたちが美しい彩りを添えている。この曲を書いたのはもう11年も前だ。私は歌いながら色々なことを思い出していた。
 
やがて終曲。拍手をしてくれている聴衆にお辞儀をして全員退場する。
 
再びアンコールを求める拍手が来る。
 
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進行係さんに確認してから、KARIONの4人だけで出て行く。和泉が再度感謝のことばを述べた後、私、小風、美空もひとことずつメッセージを言う。
 
『Crystal Tunes』を演奏する。
 
グロッケンは風花が演奏する予定だったのだが、マリが出てきた。ピアノは美野里である。
 
このとてもシンプルでクリスタルな音に乗せて、私たちは美しいハーモニーでこの曲を歌い、この日の演奏を全て終了した。
 

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演奏終了後、私たち4人も協力して撤収作業をする。演奏が終わったのが20:15くらいだが、何とか20:30までには、(楽屋内には)ゴミひとつ残さず片付けることができた。
 
私たちは21:00に出演者専用のバスで越後湯沢に移動し、22時から打ち上げを行った。ノリで、青葉・政子・花野子・梨乃も一緒である。琴絵と仁恵は明日のために寝ておくということで、乾杯にだけ参加した。
 

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和泉が乾杯の音頭を取って乾杯した後は、自由に飲んで食べてということになる。男性陣は例によって飲み比べをしている。風帆伯母たち和楽器奏者のグループと、和泉が連れてきたヴァイオリン奏者のグループが何だか打ち解けて盛り上がっているようであった。響美は三島さん・土居さんと話し込んでいる雰囲気。夢美は美野里・和泉とどうも芸術論に花を咲かせており、美空と政子は当然ひたすら食べ歩きしている。念のため風花が付いて回っている。
 
私は小風・花野子・梨乃・青葉と5人でのんびりとジュースなど飲みながら食事をしていた。
 
「さっきコスモスから連絡があって『エメラルドの太陽/もっとオブリガード』の音源制作のアクア歌唱の部分も終了したから、高崎市内のホテルでアクアは休ませるということだった」
 
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と私は言う。
 
「ハードなスケジュールで動いてるなあ」
と花野子が言う。
 
「伴奏部分は明日再度エレメントガードや他の伴奏者たちにも演奏させて最終的には25日の夕方までに工場に持ち込んでプレス始めるらしい」
 
「歌だけは確定させた訳か」
「今回の場合アクアのスケジュールが鬼畜だから仕方無い」
「ホントに鬼畜だね」
 
「本来なら今夜中に撮影現場の廃校に戻らないといけなかったんだよ。でも疲れがピークに達しているから今夜はぐっすりと快適なベッドで眠らせたいと、紅川さんが監督と交渉して許してもらった。明日早朝から現場に移動する」
 
「アイドルって超ブラックな職業だからなあ」
 
「うん。入院している間だけが休憩の時で、退院したらまたハードなスケジュールで動くなんてアイドルはざらだよ」
と私は言う。
 
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「今回の撮影も、他の子だってかなりのハードな撮影をこなしているから、主役のアクアに倒れられると、撮影日程が狂って、更にハードにならざるを得ないからね」
 

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「でもアクアは夏休み突入前から撮影やってたんじゃないの?」
 
「うん。毎日学校が終わってからスタジオに入ってアクアと、ケン・ソゴル役の黒山明さん、神谷真理子役の元原マミちゃん、浅倉吾朗役の広原剛志君、福島先生役の沢田峰子さん、それにアクアのボディダブルの今井葉月。この6人でずっと撮影やってた。実は映画の尺の内半分以上が、この5役・6人だけ映っている場面らしい」
 
と私はコスモスや葉月から聞いている内情を話す。
 
「あれ?福島先生って女の人?」
「そうそう。原作では男の先生なんだけど、女の先生に性転換しちゃったらしい」
「まあ、性転換はありがちだよね」
「そもそも主人公が性転換しているし」
 
「あれれ?ボディダブルが必要だってことは、アクア、また二役なんだ?」
「うん。そこまでは言っていいと言われた。それ以上は言うなと言われている。まあ実際私も聞いてないんだけどね」
 
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今回はどうもアクアが演じる2つの役が同時に映る場合だけではなく、純粋にアクアの負荷を減らすためのボディダブルとしても葉月(西湖)は使われているらしい。取り敢えず葉月で映像は撮っておいて、アフレコでアクアの声を入れるのである。今日もアクア本人がこちらに来ている間、撮影現場では西湖がアクアの代役を務めて、普通に撮影が行われている。
 

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「あ、そうか。予告編で女の子の格好したアクアが一瞬映っていたもんね」
と花野子が言う。
 
「まあアクアに女役もやらせておかないと、世間がうるさいから」
と私。
 
「あれって誰の趣味なの〜?」
と小風が訊く。
 
「誰が主導しているわけでもないけど、アクアには女装させるべし、というのが何となく周囲の暗黙の合意になってるね。本人も嫌がらないし」
 
「嫌がらないというか、むしろ喜んで女の服着てるでしょ?」
と梨乃。
 
「完璧に女装が癖になってるよね」
と私も苦笑しながら言った。
 

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打ち上げは遅くまで続いたようだが、私と政子、青葉、花野子と梨乃、それら美空も明日の演奏があるからということで23時で引き上げさせてもらった。政子と美空が「料理残ったら下さい」と言っていたので、海香さんが「あとで全部持って行ってあげるよ」と言っていた。
 
それで私は政子と一緒に部屋に戻り、シャワーを浴びて寝た。ここはスイートルームで、和室部分に私と政子が寝て、ベッドに仁恵と琴絵が寝ている。
 

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私は熟睡していたようだが、スマホの着信で目が覚める。海香さんである。それで起きていき、ドアを開ける。
 
「マリちゃんに料理持って来たよ」
とフードパックがたくさん入った紙袋を見せる。
 
「ありがとうございます!でもこんなにたくさん?」
「美空ちゃんにも、これだけある」
と、もうひとつの紙袋を見せる。
 
「凄い。じゃいただきますね」
と言って受け取り、よくよくお礼を言っておいた。
 
それで私は寝室に戻り、政子を起こそうとして、政子がいないことに気づく。枕元のトラベルウォッチを見ると2時である。しかしまあ、こんな時間まで打ち上げをやっていたのか! 私はバスルームとトイレのドアを開けてみたが、誰もいない。
 
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仁恵と琴絵は熟睡している。
 
自販機にでも行ったのかなと思い、しばらく起きて譜面の整理をしていたのだが、戻ってこない。あらためて布団の周りを確認すると政子は昼間の服に着替えて出て行ったようで、パジャマが脱ぎ捨ててあり、携帯も持って行ったようである。
 
マーサ、どこに行ったんだ?
 

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私はスマホを取って廊下に出ると政子に掛けてみた。10回近く鳴らしたが出ない。よく考えてみたら、そもそも海香さんは政子を呼んでも出なかったので、私のスマホに電話したのだろう。
 
私は腕を組んで考えたが、やがて青葉に掛けてみた。
 
2回鳴らした所で青葉が出た。
 
「おはようございます、冬子さん」
「青葉、夜中にごめん。政子がいないんだ。青葉、政子の波動をキャッチできない?」
 
「ちょっと待って下さい」
と言って青葉は探索してくれているようだ。
 
「このホテルの中にいますよ」
「良かった!」
 
「場所はですね・・・・・12階ですね」
「わっ」
 
私が泊まっているのは14階の女性専用フロアである。
 
「冬子さん、一緒にそちらに行ってみませんか?」
「うん」
 
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夏の日の想い出・影武者(10)

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