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■夏の日の想い出・ダブル(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2015-12-19
 
龍虎はその日は夏休み中の登校日だったので、学校に出てから放送局に入り、スタジオでドラマの撮影に臨む予定であった。
 
朝礼、その後そのままホームルームとなって先生のお話を聞いた後、9月の体育祭でおこなう組み体操の練習をするという話であった。それで男子は奇数組の教室、女子は偶数組の教室で体操服に着替えてから練習に行く。
 
龍虎が2年3組の教室で着替えていると
「友利恵ちゃん、女子と一緒に着替えなくていいの?」
などと声を掛けてくる男子が居る。
 
友利恵というのは、龍虎がドラマで演じている女子中学生の役名である。龍虎はこのドラマで1人2役で、中学3年男子の佐斗志と、中学1年女子の友利恵という兄妹の双方を演じているのである。
 
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「僕は別に女子と着替えてもいいけど、**君、女子と一緒に着替えたいの?」
と龍虎が冷静に答えて少し強い視線を投げかけると、その子は黙ってしまった。
 
龍虎が学生服上下にワイシャツを脱ぐと、その下には白いシャツとグレーのトランクスを穿いている。そして龍虎はその上にスポーツバッグから取り出した体操服を着た。学生服上下とワイシャツはバッグに入れる。
 

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男子は校庭に集まるようにということだったので、そのまま校庭に集まる。女子は体育館でダンスの練習をするようである。
 
龍虎は体重が軽いので、3人で作った台の上に乗るフォーメーションで練習をしていた。
 
「龍虎けっこう運動神経がいいじゃん」
「バランス感覚はいいね」
などと下になっている男子たちから言われる。下の台になっている子たちが動いても、龍虎はほとんどバランスを崩さずにちゃんと姿勢を保っている。他の組ではけっこう上の子が落ちてしまうケースが頻発していた。
 
「バレエとか習ってたからかも」
「バレエって白鳥の湖のオデットとか?」
「男役だよぉ」
「なんだ」
 
それでしばらく練習していたのだが、30分くらいした時、女子体育の古賀先生がやってくる。
 
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「あ、いたいた。龍虎ちゃーん。ちょっと女子の方手伝ってよ」
などと声を掛ける。
 
「なんでですか?」
と龍虎が戸惑うように言う。
 
「女子のダンスでさあ、最前列で踊る10人にバク転をさせるんだけど、できる子が今2人しか居ないのよ。それで男子から2人くらい調達しようと思ってさ。鳴海先生、田代龍虎と、ついでに西山栄太をこちらに貸してくれませーん?」
 
「本人達がよければ」
と男子体育の鳴海先生。
 
「僕はついでなんですか〜?」
と西山君が不満そうな声をあげる。
 
「西山君、バク転できるよね?」
「できますけど」
「それで身長があまり高すぎないから、女子の中に埋没できるのよ」
「まあいいや。してもいいですよ」
 
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「龍ちゃんもバク転できるよね。こないだドラマでやってたし」
「できますけど」
 
「じゃ、龍ちゃん、西山君、よろしく〜」
 
「先生、なんで田代は名前呼びで僕は苗字呼びなんですか?」
「うーん。なんでだろ?」
 
と古賀先生自身も分からないようだ。
 

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ともかくもそれで2人は先生について体育館に行くが、いきなりスカートを渡される。
 
「これ穿いてね」
「スカート穿くんですか〜?」
「女子だもん。ズボンはそのまま穿いてていいから」
 
他の女子たちもハーフパンツの上にスカートを穿いている。
 
それで西山君は渋々と渡されたスカートを穿こうとしたのだが・・・・
 
「ファスナーが上がりません」
「ああ。女子の身体に合わせて作ってあるからなあ。今度調整しとくから、今日はファスナー上がらないまま穿いててよ」
 
そんなことを言っていたら龍虎が
「すみません。このスカート落ちちゃいます」
と言う。
 
「うーん・・・」
「ウェストが余りすぎるのか」
 
結局龍虎はSサイズのスカートで何とかなった。西山君の方はLでもファスナーまでは上げられないようである。
 
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龍虎と西山君はそれで最初最前列に並ぶ女子の両端で踊っていたのだが、他の女子たちから声が出る。
 
「龍ちゃん、真ん中がいいと思います」
「ダンス凄いうまいもん」
 
「龍ちゃん、バレエ習ってたらしいから」
と小学生の頃から知っている子から声が出る。
 
「それで動きがいいのか」
 
「じゃ龍ちゃんここに入って」
「えー?でも僕男の子なのに」
「龍ちゃんは女の子の仲間でもいいもんねー」
 
「僕は?」
と西山君が言うと
「仮免女子ということで」
 
「スカート穿いてもいいけど、女子トイレには入らないでよね」
などと女の子たち。
 
「龍虎は仮免じゃないわけ?」
「龍ちゃんは普通の女の子免許だから、女子トイレに入ってもいいからね」
 
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「遠慮します」
と龍虎は困ったように言った。
 

それで練習が終わり、着替えに戻ることにする。
 
最初西山君と龍虎がスカートを穿いたまま2年3組の教室に入っていくと、 
「わっ」
という声が上がる。
 
「何だ西山か」
「女子が入って来たかと思った」
 
「参った参った。まさかスカート穿かされるとは思わなかった」
「スカートにハマったりして」
「ちょっと興味無いこともない」
「おぉ」
「いや、お前らもスカート穿いてみたいとか思うことない?」
「無い無い」
「西山、オカマの素質があるのでは?」
 
そんなことを言いながら西山君は着替えていたのだが、龍虎が何か困ったように探している様子なので、西山君は龍虎に声を掛けた。
 
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「田代、どうしたの?」
「僕の着替えを入れたバッグが無い」
 
「あ、女子の南川(彩佳)が持って行ったんだよ」
と親切な子が教えてくれる。
 
「え〜?」
「4組に来いって言ってた」
 
「4組は女子が着替え中では?」
「いや多分田代ならそこに入って行っても何も言われない」
 
「うっそー」
 

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それでおそるおそる龍虎が4組の教室の前で
「ごめーん。誰か。僕田代だけど、僕の着替えのバッグ無い?」
 
と声を掛けると、ひとりの女の子が戸を開ける。同じクラスの桐絵だ。
 
「龍ちゃん、着替えはこっちこっち」
と行って、龍虎の手を引いて中に連れ込む。
 
「勘弁して欲しいなあ」
と言いながら龍虎は彼女に付いていくが、龍虎は他の子たちが着替えているのをあまり気にしていないし、他の女の子たちも龍虎が入ってきたことを気にしない。
 
見慣れたスポーツバッグがある。
「じゃ、持って行くね」
と龍虎は言ったのだが
「ここで着替えればいいよ」
と桐絵は言う。
 
「うーん。ま、いっか」
と龍虎も言って着替えることにする。まずは体操服を脱いで下着姿になり、バッグを開けてワイシャツを取り出す。
 
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「龍ちゃん、今日は男の子下着付けてんの?」
「そうだけど?」
 
「女の子下着付ければいいのに」
「なんで〜? 僕男の子なのに」
「でも女子の更衣室にいるし」
 
「ごめーん。僕、やはり向こうに行って着替えるね」
と言って龍虎はバッグを持とうとするが
 
「ううん。龍ちゃんはここでいいんだよ」
とみんな言う。
 
それでワイシャツを着ていたのだが、それを着る時に何か違和感があった。あれ??何だろう?
 
龍虎はその違和感に首をひねりながらワイシャツを着てしまった。そしてズボンを取り出そうとしたのだが・・・・
 
「あれ?なんでスカートが入ってるんだろう?」
と言いながらズボンを探すのだが、入っていない。それどころかセーラー服の上まで出てきた。
 
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「なんで女子制服がここに入ってるんだろう?」
 
「女子制服があるんだから、女子制服を着ればいいんだよ」
と彩佳がニヤニヤしながら言う。
 
「あ〜?彩佳のしわざか!? 僕の男子制服返してよ」
「今日は放送局に行かないといけないんでしょ? 早く行った方がいいよ」
「う・・・・」
 
確かにダンスの練習時間が少し延びたので、やや時間が押しているのである。ここで彩佳と問答をしている時間が惜しい。
 
「もう。仕方ないなあ」
と言って龍虎はそこにあるスカートを穿き、セーラー服を身につけた。
 
「可愛い!」
「やっぱり龍ちゃん、女の子にしか見えない」
「2学期からはそれで通学しておいでよ」
 
といった声があがる。
 
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その時、4組の教室の外で声がする。
「アクアちゃんいる〜?」
マネージャーの鱒渕水帆さんだ。
 
「はい。今行きます」
と答えて、龍虎はバッグを持つとそちらに駆け寄り、教室のドアを開ける。
 
「あら、今日は女子制服着てるんだ?」
「ちょっと色々事情があって。じゃ、みんなさようなら〜!」
 
と龍虎はみんなに笑顔で手を振ると鱒渕さんと一緒に玄関の方に向かった。
 
龍虎が行った後の教室では着替え中の女子たちから
 
「ね、彩佳、龍ちゃんの男子制服廃棄しちゃわない?」
「うん。そしたら女子制服で通学せざるを得なくなるのでは?」
「ふふふ。どうしようかな」
 
と彩佳は若干迷うように答えた。
 

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放送局に着いた龍虎はスタジオに入っていき
「おはようございます。遅くなりました」
と一同に挨拶する。
 
「おはよう。まだ倉橋君とかも来てないし。あと20-30分経ってから始めるから台本読んでて」
と監督が言う。
 
龍虎が女子制服を着ていることは誰も気にしていないようだ。
 
「はい」
と彼が答えた所に、セーラー服姿の西湖(せいこ)ちゃんが寄ってくる。
 
「おはようございます、アクアさん、これ今日の台本です。5ページから8ページに掛けてが前もって渡されていたものと書き換えられています」
 
「おはようございます。ありがとう西湖ちゃん」
と言って笑顔で受け取る。彼は龍虎と背丈も体付きも似ているので、龍虎のボディダブルを務めてくれている。友利恵と佐斗志の双方が出る場面では必須の存在である。もっとも彼は顔を撮されることもないし、セリフもシーンで会話を成立するためには話すもののそれが放映されることはない。
 
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「それ、アクアさんの学校の制服ですか?」
「そうそう。今日は登校日で体育祭の練習やっててさ。終わってから制服に着替えようと思ったら、友だちが僕の男子制服隠してて、代わりにこれしか無いから、仕方なくこれ着て来た」
 
「親切ですね」
「う、やはり親切なのか」
「それいじめではない気がします」
「うん。いじめじゃないと思うよ〜。僕も女の子の服、嫌いじゃないしね」
とアクアも笑顔で言う。
 
「アクアさんもですか? 僕も最近ずっとこのお仕事で女の子の服を着てるとなんか普段でも女の子の格好で出歩いてみたい気分になっちゃって」
と西湖が言う。
 
「西湖ちゃん、お互い人生を誤らないようにしよう」
「僕もそれが怖いですー」
 
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「なんかお前たち、2人とも言葉が女言葉になってないか?」
と近くで聞いていた若手の役者さんが言った。
 
「う・・・」
「そうかも〜」
 
「女言葉って癖になるのかもー」
 

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それでアクアは、まずは台本に指定されている最初のシチュエーションで着る衣装に着替えるのにセーラー服を脱いだ。
 
「あ、やはりセーラー服の下はブラウスなんですね」
「ん?」
 
と言ってアクアは自分が着ている服を見て、初めてそれがブラウスだったことに気づいた。
 
「ワイシャツ着たつもりだった!」
「僕も最近男物も女物も着てるから、ボタンが右前でも左前でも全然気にせず着ちゃう感じなんですよ」
 
「あ、アクアちゃん、最初の撮影シーンは友利恵ちゃんの方だから、下着も女の子の付けてくれる?」
と助監督さんが言う。
 
「はい、分かりました」
と言って、鱒渕さんが用意してくれていた着替え用バッグの中から女の子用のショーツとブラジャーを取り出し、衝立の後ろで着替えた。
 
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やはり男物の下着で女の子の服を着ても、いまひとつ女の子っぽい演技ができないのである。女の子役をする時は全身女の子にならないといけないみたいだなあ、とアクアは思っていた。
 
そしてそのブラ&ショーツの上に、衣装のチュニックとミニスカートを穿いて出てくる。友利恵用のウィッグも付ける。
 
「アクアさん、やはり可愛いです」
と西湖。
 
「なんかハマっちゃいそうだよねー」
とアクアは笑顔で答えた。
 

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