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■カット・ユア・ボール(4)

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やっと手を洗って外に出ると、ほどなく敦子と珠美も出てきた。時刻は9:40。そろそろ待機しておいた方がいい。浩佳は会場内に入り、壁際に立って、ぼんやりとあちこちの試合を眺めていた。ふと反対側の壁際に立っている月海と目が合う。ニコリとするので、こちらも笑顔で会釈した。
 
やがて9:45になる。23番台のそばまで行く。月海も来るが気合いの入った顔をしている。こちらも気合いが入る。
 
やがて前の試合が終わり、対戦者が握手をして下がってくる。浩佳と月海は卓球台の所に行き、握手をした。じゃんけんで月海が勝ちサーブを取る。浩佳が台を決めて試合開始である。
 
「さ」
と言い合って月海がサーブを打つ。月海は最初から強烈に打ってきた。しかしそれを浩佳はどんどん拾う。向こうが左右に打ち分けてもひたすら走っては拾いまくる。ラリーは長時間続く。最初のポイントは浩佳が取った。
 
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ふたりとも激しく息をしている。
 
「さ」
というかけ声でまた月海がサーブをしてくる。浩佳は打ち返す。またまた長いラリーが続く。今度は月海が取った。
 
「さ」
と言って今度は浩佳がサーブを打つ。またまた長いラリーが続く。月海は緩急変化を付け、更に左右に丁寧に打ち分けるのだが、とにかく浩佳が拾いまくるので、なかなか決着が付かない。
 
結局1セット目からデュースになるが、デュースになっても実力が拮抗しているので、なかなか決着が付かない。結局22対20という恐ろしい所まで行って月海が勝った。
 
1分間休憩して2ゲーム目が始まる。シーソーゲームが続くまたまたデュースになる。今度は18対16で浩佳が勝った。
 
そして3ゲーム目は20対18で浩佳、4ゲーム目は19対17で月海が取った。そして最後の5ゲーム目に入る。ゲームとゲームの間の休憩は1分以内という規定なので実際問題として体力を回復させる時間が無い。ふたりとも、もう疲労の限界を越えていた。試合は五度デュースとなる。審判をしている子も疲れてきている感じだ。
 
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ひとつひとつのラリーが長い上に、どちらも譲らず1ポイントずつ積み重ねていく。20点を超える。どちらも大きく息をしている。浩佳はもう目の前が真っ白になりそうな気分だった。もうここまで来ると気合いだけで身体をもたせているようなものだ。足もがくがくしているが、なにくそと再度気合いを入れる。
 
月海の強烈なサーブが来る。打ち返す。月海がゆるく右端へ返す。台のそばに寄って打ち返す。当然次は左端に強烈なのが来るだろうと思い、そちらに移動しようとした。。。。。ところに月海は再度右端へ強烈なのを打ってきた。しまったと思い、走って行く。
 
が、ギリギリで浩佳のラケットは空を切った。
 
「はあはあはあ」とどちらも大きく息をしていた。もう動けなかった。審判の子がポイントを宣言する。そして「28対26で原口さんの勝ちです」と言った。
 
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飛んで行ったボールを壁の所で見ていた珠美が返してくれたので、浩佳は礼をして受け取る。月海と握手した。
 
「いい試合だった」
「今回は負けました」
「またやろうよ」
「はい!」
 
ふたりは再度強く握手する。そして月海はそのまま浩佳をハグした。浩佳はちょっとびっくりしたものの抱き返す。そしてもう一度握手してから笑顔で手を振って別れた。
 
珠美と敦子がパチパチパチと拍手で迎えてくれた。
「負けちゃった〜」
「いや、凄い試合だったよ」
「頑張ったね〜」
 
「僕、また頑張って練習するよ。次は勝つ」
と浩佳は言ったが、珠美は困ったような顔をしていう。
 
「つまり、次回もヒロちゃん、女子の部に出るのね?」
「え?」
 
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あはは・・・それ、どうしよう?
 

個人戦では、その後、月海はどんどん対戦する相手にストレート勝ちして行く。何だか物凄く気合いが入っていて、高校生の選手も歯牙に掛けず圧倒して行った。浩佳との試合で無茶苦茶体力を消耗したハズだが、あの激しい試合に勝ったというので、気合いが入りまくっていたようである。
 
そして決勝は参甲中の松恵との対戦になった。中学生・高校生が入り交じって試合をやっている中で、中学生同士の決勝戦になったというのは、本当にふたりとも凄い。
 
試合は激しい戦いになった。どちらも攻撃型なので、ラリー自体は長時間続かないものの、点の取り合いですぐデュースになる。最初の2ゲームはやはりここまでの疲れが出たのか月海が負けたものの、その後の2ゲームを気合いで取り返して結局5ゲーム目までもつれる。そして5ゲーム目もデュースにもつれる。どちらも譲らず点数は30点を超える。
 
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会場のみんながそのふたりのプレイに注目していた。
 
そして32対31の状態で松恵の打ったスマッシュを受けようとした月海のラケットがわずかに角度がぶれた。ボールはそのまま高く跳ね上がる。月海が天を仰いだ。
 
ボールは遠く離れた所に落ちる。
 
「33対31で篠原さんの勝ちです」
と審判の子が宣言する。
 
ふたりは強く握手し、ハグし合った。
 
「負けちゃった」
「いや、こちらももう負けるかと思った」
「またやろう」
「うん」
 
「でもなんでそちらは団体戦には青野さん入れなかったのよ?」
「あ、あはは。まあ、色々あってね」
「まいっか。個人戦で対戦できれば」
 
再度強く握手してふたりは別れた。
 
なお団体戦ではさすがに高校生チームが強く、参甲中・伊城中ともに準々決勝で敗退し、対戦もできなかった。
 
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「ね、ね、今度はこの服を着てみない?」
 
「勘弁してよお、お姉ちゃん」
と言いながらも浩佳は姉が渡すスカートを穿いてみる。
 
「あんた、結構女の子の服が似合うね」
などと母も笑いながらお茶を飲んでいる。
 
浩佳の服は母がコインランドリーに持っていき、取り敢えず数日分くらいは下着も上に着る服も使える状態にあるのだが、姉が悪のりして自分の服をあれこれ着せているのである。下着も可愛いイチゴ柄のショーツに、レーシーなブラジャーを付けさせられている。
 
「へー、じゃ今日は女子選手として出場しちゃったんだ」
「そそ。浩佳(ひろよし)を《ひろか》と読まれちゃって」
「ああ、確かにそう読めば、女の子の名前みたいだね。ひろかに改名する?」
「しないよー」
 
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「でも2回戦負けかあ」
「当たったのが準優勝した子だもん。強い、強い。それでも5ゲーム目デュースまで行ったんだけどね」
「あんたカットマンだったよね」
 
「そうそう。とにかくボールを拾いまくって、相手がミスするのを待つ。でも今日の相手は強いから、めったにミスしない。だからラリーが続く続く」
「すごいね」
 
「でも今日は間違って女子の部に登録されたけど、次からはそうはいかないだろうから彼女との対戦も今日のが最初で最後かな」
 
「ふーん。でもあんたが女子選手になっちゃえば、また対戦できるんじゃない?」
と姉。
「ああ、あんたいっそ性転換する? 何だか女の子の服似合うし」
と母。
「なんで〜」
 
「その子とまた対戦したいんじゃないの?」
「うん、まあね」
「性転換しちゃいなよ。その子とまたやりたいんでしょ?」
「うーん、悩むかも」
 
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「あんたボールをカットするのが得意なんだからさ、自分のお股のボールもカットしちゃえばいいのよ」
「あはは」
 
「そうだ。ネットによく広告出てるよ。えっとね・・・・ほら、この病院は睾丸除去10万円だってよ」
と姉がパソコンの画面を見ながら言う。
 
「へー。意外と安い費用でできるもんだね。10万くらいなら手術代出してあげてもいいよ」
と母が言う。
 
「やめてよ〜」
 
「あんたさ、まだ声変わりが来てないから、今睾丸取っちゃえば、男の声にならなくて済むよ」
「えっと。。。。」
「ああ、あんたボーイソプラノだもんね。だから女の子と思われたのもあったろうね、今日は」
「せっかく、そんな可愛い声持ってて歌もうまいしさ。男の声になっちゃうなんてもったいないもん。睾丸取っちゃいなよ」
「ちょっとやめて。本当にその気になりそう」
 
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「睾丸なんて別に無くてもいいんじゃないの?」
「結婚できなくなるよ−」
「まあ、お婿さんにはなれなくなるかも知れないけど、お嫁さんにはなれるんじゃない? おちんちんまで取っちゃえば」
 
「ああ。あんたお嫁さんに行ってもいいよ。成人式も振袖で出る?」
「あはは」
 
「お母さん、いっそヒロに眠り薬飲ませてさ、病院にそのまま連れ込んで、女の子の身体に改造手術しちゃうなんてのは?」
「ああ、それもいいね。私の卵巣と子宮をあげようか?そしたら赤ちゃんも産めるし」
「怖い話しないでー」
 
「ささ、次はこのスカート穿いてごらん」
「また〜?」
と言いながら、浩佳はそのスカートに穿き換えてみた。
 
しかしこんなことしていると、女の子もいいかなあなどという気分になりそうだ。
 
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「あんたの学生服、まだ乾かないんだよね〜。とりあえず明日は私が中学の時に着てたセーラー服着て、学校に出て行かない?」
「うちの中学とデザインが違うよ」
 
「水浸しになったから、といえばいいよ。お母さん、ヒロにここの中学のセーラー服作ってあげようよ」
「そうだねえ、じゃ明日採寸に行くかい?」
 
「ちょっとちょっと。本当にセーラー服着たくなっちゃうじゃん」
「うん。だから着ればいい」
と母と姉。
 
浩佳はセーラー服を着て中学に通う自分を想像して、まんざらでもない気がした。
 
「でも僕実際明日、何着て学校に行こう?」
「だから、セーラー服貸してあげるって言ってるのに」
 
あはは。。。明日の朝、姉に乗せられて本当にセーラー服を着て行ってしまったら、自分のその後が怖い気もしてきた。
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