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■春洪(2)

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ハンガリーは古い歴史を辿れば、フン族の末裔の国のひとつである。フン族の実態については実際問題としてよく分かっておらず、中国に現れた匈奴と同じ部族ではという説もあるが定かではない(それで中国語では匈牙利と書く)。
 
中央アジアの放牧民族だったと見られるが、370年頃にヴォルガ川を越えて黒海西岸に侵入、次々と勢力地を広げていった。彼らに追われる形で375年、ゴート族がローマ帝国支配域に侵入、その先は玉突きのように様々な民族があちこち移動して、300年ほどにわたる民族大移動の時代を到来させた。
 
フン族に特徴的なのが頭骨変形で、赤ちゃんの内に頭骨を細く縛り、細長い頭蓋骨にしていた。鼻は潰してしまう習慣があった。また男の子には小さい内から剣で顔を切って傷跡を付ける習慣などもあったらしい。傷が多いほど勇敢な印??
 
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(誰ですか?「この子は女の子として育てますから顔に傷は付けないで」と母親が可愛い美少年子をかばう、なんてシチュエーション考えた人は?)
 
むろん現代のハンガリーやブルガリアにはこのような野蛮や習慣は存在しない。
 
フン族は馬に乗って走りながら弓矢を射るという戦法を使用したので、馬に乗る習慣の無かったヨーロッパ人(馬は馬車を牽引するのにしか使っていなかった)は、最初ケンタウロスみたいな馬人間が攻めてきたかと思ったなどとも言う。
 
フン族の末裔を名乗る民族は実はかなり多数あるのだが、わりと確かと思われるのがハンガリー人とブルガリア人である。よく誤解されるのがフィン人(フィンランドの国民)だが、彼らはフン族より遙か昔、4000年ほど前にヨーロッパに到達した民族で、フン族と直接は関係ない。ただ、元々は同系の民族グループであったようで、フィン人たちは
 
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「俺たちの先祖は間違ってこんな寒い国に来てしまった。ハンガリー人たちは正しく温かい国に行った」
などと言うらしい。
 

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Hungaryという言葉の語源は、Hun + Oungroi と言われ、前半がフン族を意味し、後半は“10の部族”という意味で、多数の民族から成る多民族国家を意味する。
 
現在のハンガリー人は細かく言うと108族くらいになるらしいが、830年頃に現在のハンガリー人たちの祖先がこの地に到来して国を作った時、その構成部族の大きな7支族(Jenő, Kér, Keszi, Kürt-Gyarmat, Megyer, Nyék Tarján)の中で中心になったMegyer族の名前がハンガリー人の代表名としても使用されるようになった。それで彼らは現在マジャル(Magyar)人を自称し、本来の国名もマジャロルサーグ(Magyarország)(“マジャル人の土地”の意味)である。
 
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なおハンガリー語は日本語同様、短母音と長母音を明確に区別し長母音の上にはエーケゼット(ékezet↓参照)を付けるので長音記号の無い文字を長母音で読んではいけない。"Magyar"は“マジャル”であって“マジャール”ではない。(マジャールと読むのは赤坂をアカサーカと読むようなもの)。
 
a e i o u の長音→á é í ó ú
ö ü の長音→ ő ű
 

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ハンガリーの首都はブダペスト(Budapest)である。実際の発音は“ブダペシュト”くらいらしい。この町は、ドナウ川を挟んだ2つの町、西岸のブダと東岸のペシュトが合わせてひとつの町として発展したため、両地区の名前を合体させたものてある(那智勝浦町タイプ)。ブダは↑上述のフン族の王アッティラの兄・ブレダの名前が語源であるとする伝説がある。
 
最寄りの空港はリスト・フェレンツ国際空港 (Budapest Liszt Ferenc nemzetközi repülőtér) である。リスト・フェレンツとはハンガリー出身の作曲家フランツ・リストのハンガリー名で、彼の名前にちなんだものである。
 
ハンガリー人の名前は日本と同様に苗字を先に書くので、リスト・フェレンツのリストが苗字である。
 
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今回津幡組で世界水泳に出場するのは下記である。
 
川上 400iM 800 1500
金堂 200iM 400iM 400 800
竹下 200iM 400 1500
筒石 400 1500
 
競技は6月18日(土)から始まっるので、ウィーンで練習していたメンバーは前日バスでブダペストに移動して、指定の宿舎に入った。
 
6月18日(土).
 
9:00から女子200m個人メドレーの予選があり、金堂・竹下ともに準決勝に進出した。9:16から男子400mの予選があり、筒石は決勝に進出した。10:11には女子400mの予選があり、竹下・金堂ともに決勝に進出した。
 
基本的に他の水泳大会と同様に、午前中に予選があり、夕方から決勝が行われる方式である。
 
18:05 男子400mの決勝が行われたが、筒石は2位で金メダルは逃したものの、銀メダルである(東京五輪で金)。1位とは0.02秒差で、物凄く惜しかった。
 
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18:41から女子400mの決勝があった。竹下3位、金堂4位に見えたのだが、トップで入ったように見えた選手にフライングがあったとして失格になってしまった。それで繰り上がって、竹下が2位、金堂が3位となった。
 
19:04から200m個人メドレーの準決勝がある。金堂・竹下ともに今400m決勝を泳いだばかりだったが、この種目でも決勝に進出(7位と8位)してタフなところを見せた。
 

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6月19日(日).
 
10:17から女子1500mの予選があり、青葉も竹下リルも決勝に進出した。
 
夕方 19:37からは女子200m個人メドレーの決勝が行われ、金堂が自らの持つ日本記録を更新する2:08.50で、東京五輪に続く金メダルを取った。彼女は“個人メドレー第一人者”の地位をキープした。竹下も3位に入った。
 

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この日、FINA(国際水泳連盟:会長=フサイン・アル・ムサラム(クウェート))は、性別移行選手の参加資格について衝撃的な発表をおこなった。FINAが性別移行選手の参加資格を厳しくしそうであるというのは春頃から噂されていた。
 
それは何と言ってもアメリカの大学生の大会で男子から女子へ性別移行した選手リア・トーマス (Lia Catherine Thomas 185cm)が、2019年までは男子のトップクラスの選手として活躍していたのに性別を変更したからといって2021年度から女子選手として大会に出場し、メダルを総なめにしているのが問題になっていたからである。
 
トーマスの女子としての参加資格には多くの疑問の声があがっていた。トーマスは2024年オリンピックを目指すと公言しており、FINAとしては何らかの対策を緊急に講じる必要に迫られていた。
 
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しかしこの日FINAが出した声明は驚くほど厳しいものであった。
 
(1) MTF選手が女子として“エリート大会”に出場できるのは、12歳未満で性転換したか、あるいはターナー2段階以上での男性思春期を経験していない場合に限る。
 
ターナー2とは、睾丸が1.6-6ml(長さ2.5-3.2cm)の状態。陰茎は幼児型。これは一般的には小学3年生程度以下の男性器である。
 
(2) FTMしようとして中断した選手がエリート大会に女子として出場できるのは、テストステロンの使用期間が合計で1年に満たず、同治療が思春期に行われておらず、血清中のテストステロン値が治療前のレベルに戻っている場合のみとする。
 
(3) 性別によらず出場できるオープン(open)というカテゴリーを新設する。
 
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これによってリア・とトーマスは世界水泳やオリンピック、全米選手権などの大きな大会に出場する資格を失うことになる。
 

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この提案は6月19日(日)のFINA委員会で70%の賛成により承認された。そして翌日20日(月)から施行するとした。
 
しかし70%の賛成ということは反対または棄権した委員が3割いたということでもある。
 
一方IOCは2021年11月に「性別を理由に(Basis of Gender Identity and Sex Variations)選手が競技会から排除されることはあってはならない」という声明を出している。
 
性的少数者のスポーツ選手を支援している非営利団体"Athlete Ally"の Anne LiebermanはFINAの声明を批判して次のように述べている。
 
「FINAの酷く差別的で有害で非科学的な新方針は、IOCの公平性に関するフレームワークに反している。新方針で述べられている性ホルモンに関する基準は結果的に全ての女性の身体を取り締まるものである」
 
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リバーマンの言葉を補足すると、性別を理由に競技会から締め出してはいけないとIOCが言っているのにトーマスは実質排除されたこと。オープンというカテゴリーを作るとは言っているが、その運営方法について全く決まっていない段階で取り敢えず排除したのは酷い。せめて1年程度の猶予期間を設けるべきだった。
 
IOCの基準では女子選手が男子として出場するには自分は男であると宣言する必要があるし、その場合男子水着を着けろということになり、多くの性転換選手は拒否するだろう。結局全ての競技会から排除されたことになり、IOCのポリシー違反である。
 
またFTM中断の場合の基準については、各々の女子選手が過去に男性ホルモンの服用を1年以上していないというのをどう証明させるつもりなのか全く不明確である。現役水泳選手のみならず“全ての女性”の身体を取り締まろうとしているということになる。
 
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テンプル大学病院で性転換治療を行っているAlireza Hamidian Jahromi 医師は
「12歳という基準の意味が分からない。第二次成長が始まる時期は個人によってかなり差があるのに」
と述べている。またJahromi医師は
 
「性別移行には、社会的移行、ホルモン治療、性別再設定手術という3つの段階があるがFINAのいう性別移行がどれを指すか曖昧だ。12歳以前に性別再設定手術を終えておけというのであれば全く不可能なことを要求している」
とも指摘する。
 
現在、性別移行者の健康に関する世界専門協会 (The World Professional Association for Transgender Health) は、ホルモン治療の年齢下限を14歳、何らかの手術をする場合、15歳か17歳と定めている。
 
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FINAのスポークスマン James Pearce はこのように述べている。
 
「我々は性別を移行したい人は11歳までに性転換手術を受けろと言っているのではないし、12歳を過ぎたら女子選手になるのは諦めろと言っているわけではない。第二次性徴の発現時期を過ぎても、女性になりたい人は勇気を持って性別を変えてよい。ただ男性としての第二次性徴を経験している人はどうしても普通の女性より有利になる。それをオープンカテゴリーで吸収したいのだ」
 
「確かにオープンカテゴリーに関する議論は今から始めなければならない。しかしそれは極めて魅力的なものとなるだろう。トランスジェンダーの人だけでなく様々な性別傾向の人を含めることができるのではないか。また性別の度合いに関して何らかの尺度を導入することになるかも知れない。また日程的に現在の国内大会と一緒にオープンの予選をすることは厳しいかもしれないが、別日程で開催する手もあるのではないか」
 
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オーストラリアの男子元水泳チャンピオン、イアン・ソープはFINAの声明に反対であると述べた。
 
「過去にオリンピックに出場したMTF選手は数人居るが、実際には上位まで行った選手はほとんど居ない。12歳以前に性別移行した選手だけが女子として参加できるというのは厳しすぎる。これは単にリア・トーマスに対する嫌がらせの一時しのぎであり、結果的に多数の性転換選手が巻き添えを食う形になる」
 
「実際に参加させてみればよいではないか。どうせ大した成績をあげられないから。それに性別というものは単純なものではない。様々な傾向の人がいるので、それについてもっとしっかりした専門家で協議して、新しい方針を決めるべきだ」
 

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※以上は当時の幾つかのニューサイトの記事を参考にまとめた。若干意訳させてもらったり言葉が足りない所を補充したりもしたが、酷い誤訳があったらごめんなさい。
 
CNN.com
NewYorkTimes
espn.com
Guardian
 
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