【神様のお陰・愛育て】(2)

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お母さんを玄関で見送ってから理彩が
「これもらっちゃったー」
と言って命(めい)に見せたのはコンドームである。
「えーっと・・・・」
「使っちゃおうかなぁ。勉強の息抜きにちょっとしない?」
「・・・いいよ」
 
命(めい)は一昨日たっぷりセックスした後で「まだ恋人になれない」などと言われて、少しもやもやしたものが残ってしまっていたので、もう一度して気持ちを整理したい気分だった。
 
「でね。女装して欲しいの」
「なんで〜!?」
「だって、私、女の子の命(めい)の方が好きなんだもん」
「まあ。いいよ。でも僕女装やめるつもりなのに〜」
「ふふふ。いいじゃん、今日は」
 
理彩の部屋にも命(めい)の女物の下着は何セットも置いてあるので、軽くシャワーを浴びてからその服に着替え、理彩が選んだトレーナーとスカートを穿いた。理彩もシャワーを浴びてきた。理彩はジーンズのスラックスを穿いている。理彩がシャワーを浴びている間に命(めい)がお布団を1つ敷いておいた。
 
「命(めい)、そこに寝て」
「何するつもり?」
「命(めい)さ、私が男の子で命(めい)が女の子になってたら、私にコンちゃん付けてって言ったよね」
「うん」
「だから、今日は私がコンちゃん付ける」
「はあ?」
 
「さあ、お嬢ちゃん、お股を開きな」
「ちょっと待って。何するつもりさ?」
「命(めい)に私がインサートするに決まってるじゃん」
「まさか・・・・」
 
理彩はコンドームを開封すると自分の右手中指にかぶせた。
「これふつうのおちんちんより細くて短いと思うから、あまり満足させてあげられないかも知れないけど」
「ねえ、どこに入れるつもり?」
「入れられる所に入れるだけよ」
「やだ。あそこに入れるの禁止」
「遠慮しなくていいよ。いつも自分で入れてるんでしょ?」
「そんなの入れたこと無ーい」
「ほらほら、気持ちよくしてあげるから」
 
理彩は強引に左手で命(めい)の敏感な器官を握り少々荒っぽく手を動かすとともに、コンちゃんを付けた右手中指を、その穴にぐいっと進入させた。
「きゃー。やめてー」
と命(めい)は最初嫌がったものの、理彩が強引にそこに入れていくと諦めたかのように、だまってされるがままにされていた。
 
「なんかこれ、入れ方が難しいな。入る方角がある。。。。。。。どう?」
「・・・・気持ちいいかも・・・」
「やはり」
 
理彩は命(めい)がついそう言ってしまうと楽しそうに指をゆっくりと何度も出し入れした。
 
「私、昔夢の中で命(めい)にこんなことしたのよねー。でもその時は私、本物のおちんちんがあって、命(めい)には本物のヴァギナがあったんだ」
「夢じゃなくてリアルだったりして」
「かも知れないね。あれ、付けずにやっちゃったの、やばかったかなと後から思った」
「僕あのあと、緊急避妊薬飲んだから大丈夫」
「へー」
「結構副作用辛かったよ。でも今日は理彩ちゃんと付けてくれてるから」
「今度からは付けるよ」
 
少しHな会話をしながら理彩がずっと指の出し入れをしていると、やがて命(めい)は昂揚していた脳内の回路が限界点を超えて興奮度が落ち始めるのを感じた。
 
「逝ったかも・・・・」と命(めい)が言う。
「え?まだ出してないのに。というか、柔らかくなってきてるし」
「後ろの逝きと、前の逝きは両立しないかも」
「あぁ」
「じゃ、こっちは抜くね」
と言って理彩は指を抜く。そしてそのまま裏返すようにして指から外し、机の中から取りだした黒いビニールの小袋に入れた。
 
「気持ち良かった?」
「うん。でもおしり痛い」
「慣れたら平気になるよ、きっと。またしてあげるね」
「いや、しなくていいから、普通のセックスさせて」
「でも、逝っちゃったんでしょ?」
「僕まだ男の子としては逝ってない。今度は理彩が女の子になってよ」
「ああ。でもコンちゃん使っちゃったよ」
「一昨日のが残ってるじゃん」
「あ、そうか」
と言って理彩はスポーツバッグの内ポケットから一昨日の残りのコンちゃんを2枚取り出す。(残り2枚は命(めい)の自宅の荷物の中)
 
「じゃ付けてあげるね」
と言って理彩は命(めい)のおちんちんを握って少し動かし、大きくなってきたところでコンドームを装着した。
「ねぇ、脱いじゃおう」
「うん」
 
理彩はズボンとトレーナーを脱ぎ、ブラとショーツも外してしまう。命(めい)もトレーナーとスカートを脱ぎ、ブラを外した。
 
あらためて抱き合う。そして布団の上にそのまま横になる。命(めい)は理彩のをいじってあげようとしたが、既にかなり濡れている!
 
「ねぇ、入れながらクリちゃんいじれる?」
「正常位じゃ無理。座位にしよう」
「どうやるの?」
「まずバックで入れるから四つん這いになって」
「わぁ」
 
四つん這いになった理彩に後ろからインサートする。理彩はバックで入れられること自体が初めてだったので「ひー」などと言っている。そしてそのまま理彩を抱きかかえるようにして背面座位(乱れ牡丹)に移行した。
 
「きゃー、ちょっとこれ恥ずかしい!」
「そう。これ女の子の羞恥心を刺激する体位なの」
「ひぇー。じゃ、今度命(めい)にもしてあげるね」
「あはは。じゃ、揉み揉みしちゃうよー」
 
結合状態で後ろから抱きかかえたまま理彩のクリちゃんをグリグリと揉む。
「気持ちいいよー。なんで命(めい)、こんなに上手いのよ?」
「内緒」
 
実は命(めい)は自分の女体でクリちゃんの揉み方やGスポットの刺激の仕方を研究していたのだが、それは命(めい)自身男性体になっている時は忘れている。ただかなり研究したということだけは覚えていて、命(めい)は実際問題として記憶の矛盾に悩んでいた。
 
「ごめん・・・・私、先に逝っちゃったみたい」と理彩。
「いいよ。僕もこれから逝くから」
と言って命(めい)はつながったまま理彩を半回転させて対面座位に移行する。そのまま自分の腰を動かして5分ほどでフィニッシュに到達した。そのままぎゅっと理彩を抱きしめる。理彩も命(めい)を抱きしめる。
 
「ああん。気持ち良かったよぉ。命(めい)、結婚してよ」
「いいよ。今から役場に行って婚姻届もらってこようか?」
「あ、でも私1年間浮気するんだった」
「あ、そう?」
 
「他の男の子としたら、また違った感覚なのかなあ」
「僕とつながったまま、他の男の子のこと考えるって、理彩、ある意味凄い」
「私、たぶん他の男の子ともセックスするけど、命(めい)のことがいちばん好きだからね」
「凄い開き直りようだ。でも今日は許してあげる」
 
「私、命(めい)自身のこと好きだから無理して男の子みたいなことしないで。私の可愛い『らぶりーがーる』でいて欲しいの」
「別に無理しないよ。僕、元々男の子だから」
「それダウトだし、私は女の子の命(めい)の方が好きだから、私が女の子の格好してといったら、女の子になってほしい」
「いいよ。僕と理彩の間のお遊びでなら女装くらいするよ」
 
「えへへ。命(めい)のことだーい好き」
「僕も理彩のこと、だーい好き」
 
二人はまだつながったまま、唇で熱くキスをした。
 
この日のセックスで一昨日ちょっとできていたふたりの間のわだかまりはきれいに消えてしまった。
 

その日帰宅した母から理彩は
「命(めい)君とした?」
と訊かれ笑顔で
「した」
と答えた。
「そう」
と言った母はとても安心した顔をしていた。
 
命(めい)は理彩の母が戻る前に帰宅したが、久しぶりにスカートを穿いて夕飯の支度をしている命(めい)に母は
「理彩ちゃんと、今日したの?」
と訊いた。
「うん。した。でもちゃんと付けてしたから」
「もちろん、それはちゃんと付けなきゃね」
と言って、命(めい)の母も楽しそうな顔をした。
 

命(めい)と理彩は3月1日に卒業式を迎えた。そして8日阪大の合格発表があり、ふたりとも合格していた。同じ日、神戸大学でも合格発表があり春代と香川君は無事合格していた。命(めい)と理彩はすぐに入学手続きをし、その後4月から住むアパートを探すために各々の母と一緒に大阪に出た。
 
同じ大学ではあるが、理学部と医学部でキャンパスが違うのでアパートを探す地域も別である。命(めい)は豊中市、理彩は吹田市で探した。大手の不動産屋さんに行き、通学の便、環境や治安、そして家賃などを勘案して候補を絞る。一応その日の内にまあまあのアパートが見つかり契約。夕方大阪市内で4人で食事をした。
 
「あんたたち、一緒に住む気になったら、ちゃんと親にも言いなさいよ」
「お母さん、まだ私たち、そこまでの関係じゃないから」と理彩。
「あと1年は友だち関係を続けようなんて言ってるんですけどね」と命(めい)。
 
「友だち関係とはあんたたち中学頃から言ってるけど、誰が見ても仲のいい恋人って雰囲気なのに」
「理彩、あんまり引き延ばしてると、命(めい)ちゃんを他の女の子か男の子かに取られちゃうよ」
「ふふ。それは無いな。命(めい)は私に首ったけだから、私以外に恋人を作ることは無いよ」と理彩。
「ええ。僕は理彩以外に恋人作るつもりは無いです」
 
「あんた、そんなこと言って浮気するつもりなんじゃ?」と理彩の母。
「ふふふ」
「命(めい)ちゃん、この子に少し焦らせた方がいいよ」
「そうだね。命(めい)、ボーイフレンドでも作ってみる?」と命(めい)の母。
「なんでボーイフレンドなの!?」
 
ふたりの母は「あんたたちはゆっくり帰っておいで」と言って市内のホテルをふたりのために予約した上で19時の電車で村に戻った。ふたりはコンビニでおやつを買ってからホテルに入る。
 
部屋はダブルルームが「斎藤」の名前で予約されていたので、ふたりは斎藤命(めい)、斎藤理彩、の名前で宿泊した。昨年5月にダブルルームを予約されていた時はツインに変更して泊まったが、もうこういうことで遠慮する仲ではない。それに昨年5月の時は見た目が女同士だったが、今回は男女である。
 
「ダブルに泊まるの初めてだねー」
と言って理彩はベッドの上で跳ねている。
「女装する?」
「しない、しない。今日は僕は男の子」
「ふーん。。。」
 
「ねぇ、理彩。一緒にお風呂に入らない?」
「えー!?」
「嫌?」
「うーん。。。いいよ。その代わり、私をベッドまでお姫様抱っこして運んで」
「OK」
 
一緒にお風呂に入るというのは、幼稚園の頃以降したことがなかったので、結構ドキドキだった。お互いにシャワーを掛け合い、お股の所だけは各自洗うことにしたものの、それ以外の部分は相手の身体を洗ってあげる。理彩のバストを命(めい)が洗った時は、命(めい)はもうドキドキして早くベッドに行きたい気分になった。
 
身体を拭いてから、バスルームの出口のところで命(めい)が理彩を抱き上げて何とかベッドの上まで運んだ。熱い口付けをする。
 
「僕今日3枚持って来てるんだけど、足りるよね」
「3回では許さない。最低7回はしてもらう。こないだが6回だったからね」
と言って理彩は自分の荷物の中から未開封の避妊具の箱を取りだした。
 
「あ、こないだ偽装工作で買った箱!」
「うん。10回まではできるよ」
「そんなにやったらスイートデスしちゃう」
「死んでもいいよ。私の記憶に永遠に残してあげる」
「理彩と結婚するまではまだ死にたくない」
 
ふたりはその日最初の愛の儀式に取りかかる。
 
こないだのバックから座位に移ったのが理彩は気に入ったようでそれを要求されたので、1回目は正常位だったが2回目はバック、3回目は背面座位から対面座位、4回目は理彩がリードしたいと言って騎乗位で。ここでいったん休憩し、体力が残っている理彩が近くのコンビニに行って食糧を買ってきた。疲れ果てている命(めい)はその間仮眠していた。
 
理彩はとんかつ弁当、命(めい)は唐揚げ弁当を食べて再戦である。5回目は理彩が上になって逆正常位、6回目は松葉から対面座位に移行。そして7回目は理彩が後ろに回る背面座位という難しい結合の仕方をして、理彩が命(めい)にたくさん恥ずかしい言葉を言わせた上で最後は正常位でフィニッシュした。これでお互い体力の限界という感じになり、そのまま眠ってしまった。
 

翌日はふたりで一緒にお互いの新生活に必要なものを買いに行く。調理器具や食器はお揃いのものを買った。これで別々のアパートに住んでいても料理をしているだけで連帯感を感じることができる。どちらかのアパートにあれば何とかなりそうな物は、取り敢えず1個だけ買っておくことにした。ふたりのアパートの間は約9km,自転車で40分くらいである。自転車も取り敢えず1台買って命(めい)のアパートに置いておくことにした。
 
3月中は引越しの準備をしたり何やらで慌ただしく過ぎていき、ふたりは村で、また大阪でも会いはしていたのだが、セックスまではしなかった。
 
やがて4月3日に入学式があり、そのあと歓迎の行事などが続くが理彩は最初から積極的に合コンに出て、早速ボーイフレンドをゲットした。
「ねぇ、命(めい)、デートコース考えてるんだけど、男の子ってどういう所に行くの喜ぶのかなあ?」などと電話してくる。
 
「なんで僕が理彩と他の男の子がデートする時の場所まで考えないといけないのさ?」命(めい)はマジで少し怒りながら答えた。
「まあ、野球なんか見に行くのもいいんじゃない?」
 
「ああ、何だっけ? 大阪トラーズ?」
「理彩、そんな訳の分からない単語、僕以外の人に言ったら最悪殺されるよ。大阪では絶対阪神タイガース。これ以外あり得ないから、しっかり覚えて。応援歌の六甲颪も覚えてて」
「どんな歌?」
命(めい)が電話口で歌ってみせると
「ああ、聞いたことある」
などと言っていた。
 
更に金曜日になると理彩は
「ねぇ、お願いがあるの」
と電話してくる。
「何?」
「コンドーム買ってくれない? 私買うの恥ずかしくて」
「ああ、もちろん僕が買うよ。じゃ日曜日の夕方会う約束だったし、その時買ってって理彩の部屋に置いておこうかな」
「あ・・・そうじゃなくて、今夜彼氏とデートするから」
命(めい)はマジで怒った。
 
「ちょっと待て。どうして僕が理彩が他の男とセックスする時のための避妊具を買わないといけない? そんなのその男に買わせろよ。僕にもいくらなんでもプライドがあるよ」
「えーん。ごめーん。買わせるつもりではあるけど、万一買ってくれなかった時の保険に欲しいのよ」
「避妊具も買わないような男とセックスするなよ。最低だぞ、そんな男」
「うん。それは分かってるけどさー」
 
命(めい)は少々あきれ果てたが、理彩が他の男の子供を妊娠するなどという事態は絶対困る。それでお人好しすぎるとは思ったが、近くのドラッグストアでコンドームの400円のを1箱と1000円のを1箱買い、自転車で届けに行った。
 
「ありがとう。恩に着る。命(めい)、大好き」
「僕が大好きなら他の男とデートして欲しくないけどね。これ、安いのが、その彼氏との予備。こちらの高い方は日曜日に僕が来た時に使う」
「分かった」
「今度だけだからね。こんなことは」
「うん。ごめんねー」
と言って、理彩は命(めい)の唇にキスした。
 

理彩は彼氏とのデートの最中にも「食事なう」「お散歩なう」「居酒屋なう」
「ホテルなう」などとメールしてくる。命(めい)は嫉妬で今すぐ飛んで行ってデートの邪魔をしたい気分になったが、取り敢えず我慢した。
 
「浮気認めるなんて言わなきゃ良かったなあ・・・・」
と後悔する。でもあの時、何と言ったら浮気を止められたんだろう。。。。。
 
デートの生中継は高校時代にもやられたことがあるが、当時はホテルなどというのは入ってなかった。
 
溜息を付いていたら、目の前にまどかが出現した。
 
「村にずっといなくてもいいの?」
「村にもいるよ。私たちは遍在できるんだよ」
「ああ。何となく分かる」
「それに命(めい)は私の依代だから、どこにいてもつながってる」
「ああ」
「辛そうだね。向こう邪魔してきてあげようか?」
「ううん、いい。浮気認めた僕が悪い」
「そんなとはない。浮気はする方が悪いに決まってる」
「そうだよね!」
 
「何なら私とセックスする?ついでにテク教えてあげるよ」
「ううん。理彩以外の恋人作るつもりない」
「ふーん。。。」と言った、まどかは意地悪そうな目をした。
「どうかしたの?」
「来月、命(めい)にも恋人ができるよ」
「え!?」
 
まどかは小さく手を振ると姿を消した。
 

その後眠れない夜を過ごしていたら、まどかが「こんな時はお酒でも飲みな」と言って日本酒を1本持ってきてくれたので、命(めい)はその日はそのお酒を飲んで寝ることにしたが、全然酔えなかった。
 
「酔えないけど、このお酒美味しい」
「○○集落の鷹峯酒造で作ってる梅鷹。私のお気に入り」
「今度村に帰った時、奉納するね」
「よろしく」
 
「ねえ、今夜は女の子に変えてあげようか?」
「そうだなあ・・・それもいいかな」
と命(めい)が言ったら、もう女の子の身体になっていた。女体になると同時に過去に女体であった時の記憶も復活する。
 
「前々から疑問に思ってたんだけど、僕の月経って男の子の身体でも強引に出てくるよね。あのあたり、どうなってんの?」
「命(めい)の身体は大半が女の子なんだよ。だから月経はどうしても起きる。起きた物は体外に排出しないとまずいから、通り道を作っている」
「ふーん」
「だから命(めい)は男の身体になっている時もヴァギナがあるんだよ」
「えー!?」
 
「そもそも命(めい)の身体の胴体部分って完全に女性体なんだよ。染色体調べてみてごらん。XXだから。命(めい)が小学1年生の時に死にかけた時、私が入れ替えた。でも命(めい)は男の子として生きないといけないだろうから、男性体側から男性器のセットだけ引き出して無理矢理こちらにくっつけている。代わりに女性器を向こう側に持っていっている。つまり、命(めい)の身体は、女性体に男性器が付いていて、男性体に女性器が付いてるんだな」
「ややこしい」
 
「そうしないと命(めい)は死んじゃってたから、苦肉の策だったんだよ。でもそんな配置では月経が外に出てこれないから、悩んだ末、ヴァギナだけ表に持って来た。つまり、命(めい)の卵巣と子宮は裏に隠れている男性体側にあるけど、ヴァギナは表に出ている女性体側にある。ただし開口部は隠している。表に出すと外見が半陰陽になっちゃうからね。だから月経を最後出す時はトンネル効果で出してる」
 
「僕の身体って素粒子なのか」
 
「でも卵巣・子宮の隣にヴァギナが無いと、支えが無くて安定しないんだよね。だから、ヴァギナのクローンを作って、男性体側に埋め込んでいる。だから、裏に隠れている男性体には卵巣・子宮・膣のセットがあるけど、その子宮と膣はつながってないんだよね」
「へー。じゃ、僕ってヴァギナを2個持ってるの?」
「そうそう。一方はダミーみたいなもんだけどね」
 
「月経が無い期間って女の子の身体が休眠してるのかな?」
「うん」
「でも去年の2月からはずっと月経が続いている」
「ある理由で活性化してるからさ」
「理彩とその時セックスしたことも関係してるの?」
「大いにありだね。そのあたりのことは夏までには嫌でも知ることになるよ」
「ふーん」
 
「普通の男の子なら胎児の時に大量に男性ホルモンが分泌されて月経周期も破壊されてるから、女体側が万一活性化しても排卵も起きないし月経も起きない。でも、命(めい)の場合、その分泌が弱かったんだよ。そもそもの受精卵そのものが弱かったせいもあるけど。だから、命(めい)は男の子なのに、月経周期を維持してる。月経が起きない時でもPMSはあるでしょ?」
 
「うん。理彩の黄体期の時期には僕もよく頭痛がする。僕と理彩の月経周期は連動してるよね」
「そうそう。女の子同士がいつも接近してると月経周期は連動する。命(めい)もちゃんと女性ホルモンの分泌に周期があるからね。もっとも男性ホルモンの方が圧倒的に多いから、男の子の機能も維持されてる」
 
「ホルモン的に半陰陽なのかな?」
「ある意味ね。命(めい)が撫肩でウェストもくびれてるのは普通の男の子より女性ホルモンが多いから。オナニーの回数が少ないのもそのせい。エストロゲンが性欲を抑制するから。もし命(めい)がその気になって去勢したら、完全な女性のホルモン周期が現れるよ」
 
「へー。まあ、タマを取る気は無いけどね」
「ふふふ。まあ取りたくなったら手術なんか受けなくても、私に言ってくれたら、即消去してあげるよ」
 
「消去?潰すんじゃ無くて?」
「まあ似たようなものかな」
「悩むな。あ、でも女の子の身体になってると、少し気分が落ち着いてきた」
「じゃ、1年くらいこのままにしておこうか?」
「それは困る。理彩とセックスできない」
「レスビアンテク、教えてあげようか?」
「えっと・・・・」
 

結局その日は女の子下着をつけて寝た。翌土曜日は女の子の格好で町に出て郊外の古本屋さんなどを巡った。そして日曜日の夕方理彩に会いに行くつもりでいたら・・・・・「ごめん。彼氏とまだ一緒に居るから来週に回して」
などとメールしてきた。
 
まどかが笑ってる。
「ねえ、来週の日曜日まで、女体のままにしておいてくれる?」
「いいよ。永久に女体でもいいけど」
「まだ男を辞めるつもりはないから」
「命(めい)、あんたとっくの昔に男は辞めてる」
「うーん。。。。」
 
その日は気分転換にエステに行き、女性専用の全身マッサージコースを受けた。性別 F と刻印された会員証を見たら少し気分が晴れた。
 
月曜日。命(めい)は身体は女体のままだが、胸が目立たないようにダボダボのシャツを着て大学に出かけた。ブラは当然しているが黒いアンダーシャツを着てブラ線が見えないようにしている。
 
1時限目の講義が終わった後、初日に意気投合して仲良くしている白石君から声を掛けられる。
「斎藤、今日はちょっといつもと雰囲気違うな」
「そう?」
と言って命(めい)が少し小首をかしげるようにしたら、白石君がドキっとしたような顔をした。
 
昼休み、学食で小定食を食べたあと、トイレに行く。命(めい)はこの時期は男子トイレを使っていたが、今日はおちんちんが無いので個室を使うことになる。個室で用を達し、外に出たところで、平原君とぶつかってしまった。平原君の腕が命(めい)の胸に当たった。「あ、ごめん」と言ったものの、平原君がこちらを見て「え?」という顔をしている。「どうしたの?」と命(めい)はつい出てしまった女声で言ってから、手を洗いに行った。やばいやばい。僕こんな調子で一週間、この身体でやっていけるかなあ、と少し不安になる。
 
水曜日には体育の時間があった。命(めい)は前期はバスケットを選択していた。ジャージに着替える時は細心の注意を払った。バストが目立たないように壁側を向いて手早く着替える。
 
「あれ、斎藤、足の毛は剃ってるんだっけ?」
「うん。何となくねー」
「斎藤ってヒゲも伸びてるの見たことないよね」
「あ、ヒゲはレーザー脱毛しちゃったから」
「へー」
「ひげ剃りしなくて済んで楽だよ」
 
もっとも命(めい)はヒゲを「剃った」ことは無い。中学の頃からずっと抜いていた。しかし毎日その処理に30分掛かっていたので、3月中に大阪の大学病院の美容外科でレーザー脱毛してもらったのである。3月に命(めい)があまり理彩と会えなかったのは脱毛後の「引き籠もり期間」に理彩に顔を見せたくなかったのもあった。
 
準備運動をした後、試合形式でやることになる。受講生が50人ほどいたので男子4チーム、女子2チームに分け、3コート使って試合をしたが、各チームが8〜9人と多いのでかなりの乱戦になる。命(めい)はあまり運動神経は良くないが、スリーポイントは得意なので、遠くから撃ってどんどん点数を稼いだ。
 
しかし試合後半になると、相手チームは命(めい)のスリーポイントを警戒して早い時期からタックル狙いに突進してくる。それを交わして中に切り込んでいくフェイントを見せて相手がブロックしようと身体を横に伸ばした瞬間に撃ったり、無理だと思ったらシュートする振りして他の子にパスを出していたが、けっこう相手も勢い余って、こちらの身体に接触する。
 
そして接触すると相手が一様に「え?」という顔をした。あはは、今日は僕、胸を触られまくり! これきっと数日以内には僕がオカマだって噂が蔓延してそうだな・・・と命(めい)は思った。そして試合終盤になると、相手チームの子は明らかに命(めい)との身体の接触を避けようとするプレイをしていた。
 

翌木曜日、1時限目の講義に出ていくと教室に誰もいない。あれ?休講かなと思い、学生課に行って確認しようとしていたら
 
「あれ、あなた新入生よね?」と課の人から声を掛けられた。
「あ、はい。そうです」
「今日は新入生の健康診断なんだけど」
「えー!?」
「理学部は9時からよ。すぐ行って。場所は教育実践センターだけど分かる?」
「済みません。分かりません」
と言うのでキャンパスの地図をもらい赤いボールペンで印を付けてもらった。
「先に第一体育館に行って、そこで受付して」
「はい」
 
そちらへ歩いて行きながら、まどかに呼びかける。
『ねぇ、まどかさん。健康診断だから、いったん身体を元に戻してくれない?』
ところが無反応である。
『まどかさーん』と呼んでみるのだが、全く反応が返ってこない。
えーん、どうしよう?寝てるのかな?
 
と思っている内に体育館に着いてしまう。困った!
もう9時10分になっている。みんな既に受付を終えているのだろう。誰もいなくて、受付の人も少し暇そうにしていた。
 
「済みません。理学部の新入生ですが、健康診断を受けに来ました」
「君、遅いよ」
「申し訳ありません。掲示を見落としていました」
 
命(めい)が提示した学生証を見て、受付の人が検診票を取る。もう検診票は3部しか残っていなかった。その中の1枚を取って命(めい)に渡そうとした時、係の人の手がピタリと止まった。
 
「君・・・女子だよね?」と係の人が言う。
命(めい)は焦っていたので、つい男声を使うのを忘れて女声で話していた。
 
命(めい)は基本的には女声で話す習慣ができている。しかし大学に出ている時は一応男装しているので、それにあわせて男声を使っていたのだが、この時は自分の身体が女性体になっていて、まどかとは連絡が取れないし、困ったなどと思ったりしていたので、つい男声を出し忘れていたのである。
 
「あ・・・えっと・・・・戸籍上は男なんですけど」
と開き直って女声のまま答える。
「あぁ」
と係の人が納得したような声。検診票の性別は男になっている。
 
「ちなみに、君、胸はあるの?」
「えーっと、Dカップのブラジャー付けてます」
「ああ、ブラ付けてるのか。おちんちんはあるの?」
「えーっと今は無いです」
「なーんだ。それなら、君、女子の方で受けてよ」
と言って、係の人は検診票の性別の「男」という印字を二重線で消して女と書き直した。
 
「女子は3階だから間違えないように」
「はい」
 
あはは。いいのかしら? もう僕このまま性別は女として登録されてしまったりして・・・・
 
命(めい)はあまり先のことは考えずに教育実践センターへ移動した。1F 男子、3F 女子、という案内が出ている。もうここは開き直るしかない!という感じで3階へ上がる。どうか知ってる子に会いませんように、と祈っていたが、いきなり麻矢に遭遇した。
 
「あれ? 遅かったね」と声を掛けてくる。
「うん。掲示見落としていて、さっき学生課の人に言われて、慌てて飛んできた」
と命(めい)は心の中で焦りながら答える。
 
「ああ、でも命(めい)をここで見て安心した。やっぱり命(めい)は女の子だよね。だって、今日もそんな感じだけど、まるで男の子みたいな服装してんだもん」
「あはは、ちょっとそんな気分なもんで」
 
「こないだは『僕男だよ』とか、男の子みたいな声で言ってたね」
「あ、男の子の声出すの得意」と男声で言ってみる。
「すごーい。男女のデュエット曲をひとりで歌えるね!」
「あ、それ面白いかも」と命(めい)は女声に戻して答えた。
 
検尿のカップをもらい、女子トイレに入って採取する。女子トイレに入ること自体は全然平気だ。
 
それを提出してから採血を受け、その後、X線間接撮影に行く。幸いにも列には知った子が並んでいない。妊娠していますか?と聞かれたがいいえと答える。上半身の服を脱いで撮影装置の前に立った。撮影技師は女性だ。ああ、女性の検査は女性の技士がするんだろうなと思い至った。小さな音がして「はい、いいです」と言われる。
 
いったん服を着て心電図検査に行く。検査室のカーテン前で服を脱ぎ、やがて名前を呼ばれて中に入り、係の人に電極を付けられる。こちらも係の人は女性。X線の方はまだしも、確かにこの検査を男性技士にはされたくないなと思った。
 
手足に1本ずつ電極を付けられ、胸に6本付けられる。胸の谷間から左側のバスト下部にそって付けられていくと、なんだかくすぐったい感じだ。
 
しばらく安静にしている間に検査は終わった。そのあと身長・体重・血圧を計られてから、お医者さんの診察を受ける。ここまでうまい具合に麻矢以外の知った子に遭遇せずに済んでいる。特に同じクラスの女子に会ったらややこしい。
 
診察を受けやすいように上のワークシャツは脱ぎ、ブラも外してアンダーシャツだけになる。順番になり、シャツをめくりあげて聴診される。
 
「君、問診票のいちばん下の欄が未記入だけど」
「あ、済みません」
「今、妊娠はしてますか?」
「いいえ」
「妊娠したことはありますか?」
「いいえ」
「月経は定期的に来ますか?」
「はい。ここ1年はだいたい28日周期で来てます」
「最後に月経があったのは?」
「先月の末です」
「はい。分かりました。OKです」
 
といって解放された。ああ、この質問には女体状態でないと答えられなかったなと思う。男性体になっている時は、月経があること自体も月経の最中だけ意識していて、月経が終わると意識外になってしまうので、僕はなぜ自分はナプキンを持っているのか、というのが実は自分で謎なんだよなあ・・・などと考えたが、男性体になっていたら、こんな質問そもそもされなかったじゃん! というのにも思い至る。その時、例の方角から「クスクス」という笑い声が聞こえた。
 
ああ。。。。まどか、この事態を最初から見てて、僕がどうするか傍観してたな?もう。。。。
 
まどかに意地悪されるのは慣れているので、いちいち気にしないが、今回の事態は自分の人生を左右しかねない事態かも知れないという気もする。だいたい来年の健康診断はどうすればいいんだ!?
 
と命(めい)は悩んだが、実際にはその後の健康診断(翌年は出産直後の休学中で実際に次受けたのは2年後)では、男性体側にもDカップのバストができていたので、結局女子と一緒に受けるのが定着してしまったのであった。むろん問診票の「妊娠したことがありますか?」の問いには「はい」と書いた。
 
しかしこの時は、そんな状況になっていくとは思いもよらなかった。
 

でも、同じクラスの子に会わなくて済んで良かったなあ、と思いながらブラを付け、ワークシャツを着る。そしてやっと終わったというのでほっとして診察室を出たら・・・・同じクラスの子、妙香が目の前にいた。
 
「え? 斎藤君、なんでここにいるの?」と妙香。
「あ、えーっと、こちらに来なさいと言われたもんだから・・・」
と女声で答える。
「あれ? そんな女の子みたいな声が出せるんだ」
「あ、うん」
 
「でも、こっちのフロアに来たってことは、もしかしてこちらでレントゲンとか心電図とか受けたの?」
「うん、受けた」
「で・・・・内科検診も受けた訳?」
「うん。今受けて来た」
 
「へー! そういうのを女子の方で受けられる身体なんだ!?」
「うん。まあ・・・・」
 
「いや、斎藤君って、少し女の子っぽいなと思ってたけど、そういう身体になっちゃってるんだったら、もっと女の子っぽい服を着ればいいのに。持ってるんでしょ?」
 
「うん。持ってることは持ってるけど」
「じゃ、今度からそれで出ておいでよ」
「いや、そのあたりが色々と・・・」
「恥ずかしがること、ないのに!」
 

結局、その日のお昼は同じクラスの女子たちと一緒に食べることになり、あれこれ質問攻めに遭う。
「ねえ、胸触ってもいい?」などと言われて
「うん、いいけど」と答えると、触られて
「わあ、かなりでかい」などと言われた。
結局6人全員から胸を触られて「Dカップ? Eカップ?」などと訊かれる。
 
「Dカップのブラ付けてるけど」
「ブラって、いつも付けてるの?」
「うーんと、ノーブラの日もあるけど、ここ数日はちゃんと付けてる」
「この胸のサイズがあってノーブラだと歩くだけで痛いでしょ?」
「走ると痛い」
「ノーブラで走るのは無茶だよ!」
 
「ね、ね、28日にこの6人でプール行こうなんて言ってたんだけど、命(めい)も来ない?」
「あ、プールか。。。行こうかな」
 
プールで着る水着なら、男性体に戻っていても着れるなと思って命(めい)は返事をした。命(めい)の名前の呼ばれ方は、お昼を食べ始めた時は「斎藤君」
と苗字・君付けだったものの、すぐに「命(めい)」と名前・呼び捨てになってしまっていた。命(めい)は6人全員と携帯の番号・アドレスを交換した。
 

その週が終わって15日の日曜日、命(めい)はやっと理彩に会うことができた。まどかは、命(めい)が理彩と無事落ち合ったところで、男性体に戻してくれた。そして男性体に戻るのと同時に、女性体であったことを忘れている。健康診断も女子の方で受けたことは覚えているが、どうやって乗り切ったのかが分からなくなっている。命(めい)は、自分の記憶にしばしば矛盾があるのには子供の頃から慣れていたので、そういうことはあまり気にしない。
 
理彩が「メンチカツを食べたい」と言ったので梅田で落ち合い、洋食屋さんに入って一緒にメンチカツ定食を食べる。
 
「ああ、なるほど。こういう味か」と命(めい)が言うので理彩は
「作れそう?」と訊く。
「うん。多分。今度試してみるよ」と答えた。
「うまくできたら食べさせて」
「いいよ」
「私、結局全然料理してないや。コンビニが無いと生きられない」
 
「理彩、▽▽君とはどう?」
「先週金土日と3回やって、今週金土と2回やったけど、どうも微妙」
「ふーん」
「私が逝く前に彼が先に逝っちゃって、逝ったらこちらは放置される。私まだ1度も逝ってない」
「まあ、男の子って、そんなものじゃないの?」
 
「だって命(めい)とは一緒に逝けるし、先に命(めい)が逝っても私をちゃんと逝かせてくれるじゃん」
「多分僕みたいな男の子は少ないよ」
「そうなのかなあ・・・・それから彼1回しかできないのよ。2回戦やろうよって言ったら、そんなに連続して立つもんじゃない。一晩には一回って言われた」
「けっこうそんなものかもねー」
と言って命(めい)は笑った。
 
「だって命(めい)は絶対ふつうの男の子より、男の子の機能弱いと思うのに、連続でできるじゃん」
「僕も一度出したら30分は立たないよ。その間、ずっと後撫したり前戯したりしてるでしょ」
「あ・・・・」
 
「それに完全に立たなくてもある程度の硬さになれば入れられるし、射精はできる。快感は完全に立った時ほどじゃないけどね。5回目くらいになるともう快感は全く無い」
「じゃ命(めい)って自分が気持ち良くなくてもいいから、私の快感を優先してくれているの?」
「おちんちんの快感はね。でも僕は理彩が気持ち良さそうにしていれば、それで精神的に満足するから」
「なんて奇特なの・・・・」
 
「それも僕が女性ホルモン多いからだよ。感じ方が女の子に似てるの。おちんちんで気持ち良くならなくても、脳で逝けたら気持ちいいの」
「あぁ」
「僕はおちんちんの快感がほとんどなくても、毎回脳で逝ってるよ」
「なるほど。普通の男の子じゃできないワザだ。ってことは、私たちって、おちんちんとヴァギナでセックスしてるけど、もしかして実質レスビアンだったりして」
「うん。レスビアンカップルのセックスと似てるかも」
と言いながら、命(めい)はそれってなかなか面白い見解だと思った。
「レスビアンって一晩中やってられるというけど、ボク達それに近いよね」
 

その夜は豊中市の命(めい)のアパートに行って泊まることにした。一緒にお風呂に入り、お互いに相手の身体を洗ってあげる。その日はお股も相手のを洗うことにした。理彩が「洗う」と称してかなり指でしごくので、命(めい)のおちんちんは立ってしまう。
 
「ねぇ、舐めてあげようか? 洗い立てなら舐められる気がする」
「・・・お布団に行ってからの方がいいかな」
「いいよ」
 
ふたりは身体を拭き、お布団に入る。命(めい)が仰向けになり理彩は命(めい)のお股に顔を埋めてそれを口に含み、舐めてあげる。
 
「なんか気持ちいいよぉ」
「少し噛んだ方がいい?」
「痛い、痛い、ふつうに舐めて」
「うん」
 
「・・・ね、おちんちん小っちゃくなってきたけど」
「おちんちん小さい方が快感は大きいみたい」
「へー」
 
「・・・逝ったかも」
「え? 射精してないのに」
「多分脳逝き」
「私、口の中で発射されて、それを飲み込むってパターンを想像してたのに」
「僕、それはできないかも。ごめーん」
「ううん。命(めい)が気持ち良くなれたならいいもん」
 
「じゃ、交替、理彩のも舐めてあげる」
「うん」
 
今度は理彩が仰向けになって命(めい)が理彩のを舐める。舐めながら指をヴァギナに入れ、Gスポットを刺激する。
「ひー、気持ちいい!」
理彩が興奮して腰を浮かせてしまうので、命(めい)は体勢を維持するのに筋力を使ったが、何とか理彩が逝くまで舌と指の刺激を続けることができた。理彩はしばらく放心状態で何も言葉が発せなかった。
 
「命(めい)〜。物凄く気持ち良かったよぉ。もし私が他の男の子と結婚しちゃっても、私とこんなの、して〜」
「それはできないよ。して欲しかったら僕と結婚してよ」
「けち〜」
 
その晩は、このオーラルセックスの後、ふつうに正常位、バック、背面騎乗位、背面座位→対面座位、松葉→逆正常位、と5回やって寝た。途中の休憩をはさんで長時間続いたので、寝たのは朝4時頃であった。
 

理彩は朝7時に起きて持参した着替えの服に着替えて、命(めい)の作ったご飯と味噌汁を飲んでからモノレールで医学部へと出かけて行った。
 
「お味噌汁のある朝ご飯なんて久しぶり!」などと言っていた。また
「着替えはお洗濯お願いね。そのスカート穿いていいし、私のパンティ頭からかぶっててもいいよ」などとも言っていた。
「パンツかぶるって、どういう趣味さ?」
 
次の週末。金曜日の晩、またまた理彩がデートの逐次報告をメールでしてくるので、命(めい)は耐えられない気分になりオナニーしようとしたのだが、どうしても立たない。悲しい気分になって涙を流していたら、まどかが女の子の身体に変えてくれた。
 
「ありがとう。男の子の身体ではもう死にたい気分だった」
「理彩にちゃんと言いなよ。浮気止めてって」
「うう。。。何か言いくるめられそうで」
「いっそ、理彩と別れて新しい恋人探す?」
「それは嫌」
「全く救いようが無いね。じゃ今月中は週末になる度に女の子に変えてあげるよ」
「それ助かるかも」
 
その夜はローターで自分のクリちゃんを刺激したら、かなり気持ち良くなることができて、何とか眠りに就くことが出来た。このローターは女体化していた時に勢いで買ったものだが、男性体に戻っている間は、何のためにこんなものを買ったのか、自分で謎だった。
 
翌日午前中少しぼーっとしていたら、突然理彩から電話が掛かってくる。
「お昼一緒に食べようよ。梅田に出てこれる?」
「行く」
 
命(めい)は女体化したままなので、素直にお気に入りのブラとショーツを付け、ベージュのキャミソールの上にペパーミント色の春物セーター、マリンブルーの膝下スカートを穿いてお出かけした。髪は後ろでまとめてブルーの花柄のシュシュで留めた。
 
「おお、可愛い。私が何も言わなくてもちゃんと女の子で出てくるというのは感心感心」
「男の子の僕は嫉妬に狂って死んじゃったから、今日は女の子の僕が出てきたの」
「ああ、死んじゃったか。可哀想に。キスしてあげるよ」
と言って理彩は柱の陰で命(めい)の唇にキスをし、ついでにお股を触った。
「ふーん。タックしてるね」
「うん」とは答えたが、実はタックではなく本物だ。
 
お好み焼きの店でお昼を食べながらしばしおしゃべりしていると、とても気分が良くなる。あぁ、ほんとに私って理彩のこと好きなんだなと思ってしまう。
 
その後「洋服買うのに付き合って」というので洋服屋さんに行く。
「何か。。。ここ、安いね」
「でしょ。安くて可愛いの置いてあるから、凄いよ」
「あ、これなんか可愛いなあ」
などと言って選んでいる。命(めい)が
「これも良くない?」
などと言うと「あ、それもいいね」
と言って、5-6点のブラウス、スカート、などを選んだ。
「さあ、そしたらこれ試着してみて」と理彩。
「へ?」
「試着室そこだよ」
「何で僕が試着するの?」
「だって命(めい)の服を選んでたんだもん」
「そうだったのか!」
 
まあいいやと思い試着室に行ってひとつずつ試着しては理彩に見せる。
 
「命(めい)、張り切って大きな胸にしてるね。その胸だとこれきついなあ」
と言って、理彩はブラウスはサイズ違いのものと交換してきて再試着する。スカートは特に問題無かった。
 
結局ブラウス1枚、カットソー1枚、スカート2枚を選び、会計は840円だった。凄い安さである。今度からここに来ようかなと命(めい)は一瞬思ったものの、なんで僕が女の子の服を買わなきゃいけないの? と思い直した。
 
その後、スタバでお茶を飲む。
 
「今夜はどうするの?」
「ああ。また▽▽君のアパートに泊まるよ」
「へー」
「命(めい)も浮気してていいよ」
「ほんとにしちゃおうかな」
「命(めい)って、風俗行ったりはしないの?」
 
「風俗? 何それ?」
「女の子がいて、気持ちいいことしてくれる店」
「気持ちいいこと?」
「たとえば、おちんちん握って刺激して射精させてくれたりとか」
「何それ? 見ず知らずの男の子のおちんちんを触れる訳?」
「それだけのお金もらえるなら」
「あぁ」
 
命(めい)はやっとその「風俗」なる店の趣旨を理解した。
 
「逆に女子学生でそういう店でバイトする子もいるよ。無茶苦茶効率がいいからね」
「そうかもね。でも理彩はそういう店でのバイトはしないで欲しい」
「うん。しないといけないほど切羽詰まったら命(めい)に相談するよ」
 
「そうしてね。でも僕自身は多分知らない女の子に握られて刺激されても全然気持ち良くないよ。だって、好きな女の子にされるからこそ幸せな気分になれるんだもん」
「やっぱり命(めい)って脳の出来が女の子だよね」
「うん。そうかもね」
 
理彩は明日の朝10時に命(めい)のアパートに行くと言って、▽▽君との待合せ場所に行った(明日は春代たちと会う予定である)。
 
いつの間にかそばにまどかがいた。
「邪魔してあげようか?」
「別れさせて」と命(めい)は言った。
「いいよ。私そういうの大好きだから無償でやってあげる」
と、まどかはいつもの意地悪そうな目をして言った。
 

命(めい)はその夜もローターのお世話になって、嫉妬でどうにかなりそうな頭を無理矢理快楽で満たして寝ることが出来た。眠りに就きながら、理彩が浮気を続ける限り、自分は女性体でいないと耐えられないかもという気がした。
 
翌日。命(めい)が朝ご飯を食べた後少し勉強していたら、約束の時間より1時間も早く理彩がやってきた。
「早いね」
「うん。昨夜▽▽とケンカしちゃってさ」
「あら」
「今夜もう1度話し合ってみる。命(めい)、今夜もごめん」
「うん。いいよ」
今夜一緒にいられないのは悲しいけど、向こうが壊れ掛かってるなら問題無い。
 
「それじゃ、顔を洗ってきてから、この服着て」
「もう着替えるの?」
「その後、フルメイクしてあげるから」
「ひゃー」
「あ、洗顔前に眉毛を切るね」
 
命(めい)は元々眉毛は結構細くしているのだが、理彩はそのの眉毛を更に細く切り、少しカミソリで剃った。それから洗顔料を付けて洗面台で顔を洗う。
 
その上で、服を脱いで下着を替えるが、リアル女体を見られたくないので、理彩に背中を向けて着替えた。
 
が、理彩が後ろから抱きしめる。
 
「何、恥ずかしがってるのよ・・・って、この胸すごいリアル!」
「あ、ブレストフォーム付けてるんだよ」
「ああ! でも凄いね。まるで本物のバストみたい」
 
あはは。本物のバストなんだけどね。キャミソールを着け、スカートを穿いて、カットソーを着た。理彩とお揃いで持っているイヤリングを付ける。
 
「あ、そのイヤリング、私も付けようかな。自分のアパートに寄ってから出かけよう」
「うん」
 
それから理彩は服を汚さないようにタオルを首に掛けると、化粧水、乳液、メイクアップベース、ファンデーションとそれぞれ少し時間を空けながら塗っていく。
「凄いたくさん重ね塗りするんだね」
「来月になったら、メイクアップベースとファンデーションの間に日焼け止め塗らないといけないよ。5月がいちばん紫外線の害が大きいんだよ」
「へー」
 
最初にアイメイクをするが、まず目を閉じさせて薄い色をまぶた全体に塗り、それから目を開けさせて線の出来るところから下に濃い色を乗せる。境界を指でのばして曖昧にする。更に両目の間と外側にハイライトを入れる。
 
それからアイライナーで目の縁にラインを入れていく。
「なんか怖いよ−」
と命(めい)が言うが構わず入れていく。
 
「大丈夫だよ。眼球に突き刺したりはしないから」
「理彩のその手の言葉、過去の経緯からするとあまり信用出来ない」
 
アイラインの後はビューラーで睫毛をカールさせてからマスカラを塗る。
「まだ塗るの?」
「今日はバッチリおめめになるように100回くらい塗ってあげるよ」
「わあ」
 
その後、アイブロウを入れるが、線を1本1本入れていくので命(めい)が
「眉毛ってスーっと横に1本で引くのかと思ってた」
などと言う。
「それだといかにも描きましたって感じになるでしょ。こうやって眉毛の線に沿って1本ずつ入れていくとナチュラルに仕上がるのよ」
と理彩は説明した。
 
アイメイクが終わるとチークを入れる。理彩は2種類のフェイスカラーを使ってナチュラルな感じのほっぺを形成した。
 
最後に口紅を塗る。リップブラシを使ってきれいに縁取りした上で、その中を埋めていく。口を開けさせて口角まできれいに塗る。
 
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【神様のお陰・愛育て】(2)