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ブレンダと呼ばれた少年 - David Reimer


目次

David Reimer

ブレンダの誕生

デビッド・ライマーは1965年8月22日に双子の兄のブライアン(Brian)とともにカナダのマニトバ州で男の子として生まれた。生まれた時の名前はブルース(Bruce)である。半年たった頃、ふたりは包茎なので治療した方がよいといわれ、1966年4月27日に包皮を切る手術を受けるが、この時医師のミスにより、陰茎を焼失してしまう。

ペニスを失ったこの子をこのあとどう育てれば良いのかと悩んだ両親は大きな病院でみてもらったほうが良いといわれ、ジョン・ホプキンズ大学病院に行きジョン・マネー(John Money)の診察を受けた。マネーは性別というのは生得的なものではなく育つ環境によるのだと主張し、この子はいっそ女の子として育てた方が良いと両親を説得した。

両親はそれに応じて、ブルースは1967年6月頃に睾丸の除去と性器の女性型への形成手術を受けた。そしてブレンダ(Blenda)という新しい名前をもらい、女の子として育てられることになった。ジョン・マネーのその後の報告によれば、最初は男の子っぽい行動もあったものの、両親が女の子としてしつけをしていくにつれ、少しずつ優しい感じになっていき、誕生日のプレゼントにお人形をねだったりするようになったという。

このようなレポートが1970年代半ば頃までマネーにより行われた結果、性別は後天的なものであるという認識が世界的に広がり、ウーマンリブ運動や、心理学の世界の研究にも大きな影響を与えた。

デビッドとしての再出発

しかし1995年頃、ミルトン・ダイヤモンド(Milton Diamond)はこの事例のその後を知りたいと思い、関係者に会おうとするがなかなか状況が分からずに困惑する。何か割り切れないものを感じつつ調査を続けたダイヤモンドは、やがて衝撃的な事実に遭遇した。

ダイヤモンドによれば「プレンダ」は決して女の子らしくなることはなかった。学校でも男の子並みに粗暴で問題児とされていた。やがて彼は自分が元は男の子であったのが、医療ミスでペニスを失った結果、女の子として育てられることになったことを知る。その時彼は「私は異常じゃなかったんだ。私は男の子でよかったんだ」と言ったという。

彼は自分は男の子になりたいと両親を説得し、やがて女性ホルモンの投与によりふくらんでいたバストを縮小する手術、そして人工のペニスと陰嚢を作る手術を受けて、男の子に戻った。そして新しく自分で決めた名前デビッド(David)を名乗るようになる。

とはいっても長く女の子として育てられてきたデビッドはなかなか男性としての生活に適合することができず、2度も自殺未遂を犯す。しかし、やがて彼をよく理解してくれる寛容な女性ジェーン(Jane)と出会い結婚して、ジェーンの連れ子の父親として頑張るようになり、精神的に安定するようになってきた。ダイヤモンドがデビッドに出会ったのは、この結婚生活が始まった頃と思われる。

ダイヤモンドのレポートは世界に衝撃を与え、マネーの「性別後得説」は完全に否定されるようになった。同時にマネーの治療が適切なものであったかどうかが議論された。

自殺へ

2004年5月5日にデビットが亡くなったことが報道されると、彼の人生を知る世界中の人が悲しい気持ちを覚えた。しかも死因が自殺であることが知られると、おそらくは男性としての生活に適合できなかったことが原因なのだろうと想像する人は多かった。普通の性転換者にもそういう原因で自殺する人はひじょうに多いのである。

ただ、その後のいろいろな情報によれば、彼の自殺は複合的な要因によるものであるようだ。彼の双子の兄ブライアンが2年前に躁鬱病の薬の飲み過ぎにより死亡している。双子の兄の死亡というのが彼の心に強い衝撃を与えたことは確かであろう。また彼は少し前に失業しており、更には人に騙されて6.5万ドル(約800万円)の借金を背負っており、返済のめどがたっていなかった。更にはジェーンとの結婚生活が破綻しかかっていて、亡くなる3日前に、彼女から別居を提案されていた。

ただそのような外的な要因以外に彼自身の問題もあったのではないかともいわれる。双子の兄が躁鬱病でずっと薬を飲んでいたし、彼らの母親も同じ病気であった。デビッド自身も躁鬱的な体質を受け継いでいたものと思われ、基本的に自殺の原因はそこにあるのかも知れない。ジェーンが別居を提案したのも彼の不安定な精神状態にさすがに疲れたためとも言われている。

性器の性と心理的な性は別である

デビッドの事例がはっきり教えてくれることは、性器と心の性は全く別だということである。多くのトランスジェンダーたちが、自分の性器と心の性の不一致に悩んでいる。たとえ男性器を持って生まれてきても心は女という人は多いし、女性器をもって生まれてきても心は男という人も多い。デビッドの事例は男の子から女の子に変わったという意味ではMTF的だが、実際は女性の体に男性の心が入った状態で悩んできた、FTM型である。

普通のFTMは女性の体に男性の心が宿ってしまっているのだが、ブレンダの場合は男性の心を持つ人が無理矢理女性の体に変えられて不適合を起こした事例といえる。

結局、人は自分の性器の性ではなく、心の性に従って生きるべきなのである。


チューリップほしい?,彼が彼女になった理由?
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