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■死んでしまった僕(1)

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目次

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僕らは一卵性双生児だった。でも兄の一晴は青山財閥総帥の跡取りとして徹底的に王子教育が行われていた。それに対して弟の僕はその下で働く者として、常に兄との「線」を引かれていた。
 
誕生日。兄は多くの人から豪華なプレゼントをもらったけど、僕には贈り物を贈ることは禁止されていた。ただ一人、妹の美冬だけが、ぼくに自分で描いた絵とか、お手製のぬいぐるみとかをこっそりくれていた。僕はこの美冬が大好きで、妹じゃなかったら結婚したいくらいに思っていた。
 
学校も兄は一流の幼稚園・小学・中学・高校と進み、この春慶応大学に進学した。しかし僕は兄とは別のあまり有名ではない幼稚園・小学・中学・高校と進み、今年の春は大学受験に失敗して浪人している。小さい頃から優秀な家庭教師をつけていた兄と、適当に放っとかれた僕とではこのくらいの差がつくのも当然だろう。
 
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その兄が交通事故を起こした。免許を取ったばかりの車を暴走させて電柱に激突、瀕死の重傷を負ったのだ。しかも車にはいつも僕に気を回してくれていた妹の美冬も乗っていた。美冬は即死だった。
 
僕は兄に対しては感情が何もなかったが美冬の死に涙を流していた。やがて父が来た。「泣くな、晴彦。一晴は何とか助かりそうだ。しかしおまえも、一晴とうまく行ってないように見えていたが、こうやって心配してくれてるんだなぁ」父は美冬のことはどうでもよかったらしい。僕は別に何も言わないことにした。
 
そこに医師が難しい顔をしてやってきた。その表情に緊張する父。「息子は。何かあったんですか?」「いや、命には別状ありません。ただ」「ただ?」
「下半身を強く打っていまして。足の神経は大丈夫のようなので2〜3ヶ月すれば歩けるようになると思うのですが、性器がね」「え?」「完璧に潰れています。グシャグシャというか。あれは切除の必要があります」「そんな。一晴は大事な跡取りなんです。子供が作れない体になっては困るんだ」
 
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「しかし、あのままにしておけば、出血が激しいので命に関わります。早急に切除して傷を処置する必要があります」
 
その時僕はなぜそんなことを言ったのか自分でも分からない。「あの、僕のを移植することはできませんか?」「え?」「この子は?」「双子の弟です」
「しかし君、君のを移植したら君が困るだろ」「いえ、いいんです」「晴彦、いいのか?」父は私の提案にとびついた。明らかに嬉しそうだった「先生、この子もこう言ってます。晴彦の性器を一晴に移植してください。一卵性双生児だから拒絶反応とかは起きないでしょう?」「それは起きないでしょうけど....」「先生。ご自分の病院を持ちたくないですか」「は?」「資金、提供しますよ」医師はちょっと呆れたように父の顔を見ていた。
 
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が、やがてこういった。「私は別に買収には応じませんよ。それから医者は患者の秘密は口外しません。その手術はしましょう。でも、君ほんとうに性器をなくしてもいいんだね?」「はい」私ももう後には引けなかった。「結婚できないかも知れないよ」「別にかまいません」「それに......性器を取ってしまった場合、ホルモンのバランスが崩れるから一生ホルモン剤をうち続けなければいけない。いや、待てよ。ひとつ手がある。しかし」
 
「その手とは何です?」父は尋ねた。
 
「確率はあまり高くありませんが、一緒に事故にあって死んだ妹さん。あの人の卵巣をこの人に移植すればホルモンバランスは取れます。ただ女性ホルモンですが」「そしたら、美冬の体が一部生きられるんですね?じゃお願いします。それでいいですから」僕は美冬が可哀想に思えていたのでそう懇願した。
 
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「いいんですか?ただこの方法ですとうまくいってもあなたの体は女性化してしまいますよ」「だって男性器は一晴にあげるんだし、そんなの構いません。なんなら卵巣だけでなく子宮も膣も一緒にください」「うん、確かに、全部セットで移植したほうが定着する確率は高い」「先生、時間がないんでしょう、すぐそれでお願いします」父は少し焦っていた。僕が女性化するという問題は父にはどうでもいいことのようだ。
 
「じゃ、手術をすぐ始めます。君、こちらにきて」
 
そのあとのことはあまりはっきり覚えていない。下半身裸にされてチンチンやタマタマをなにやら調べられた。それから浣腸をかけられ、剃毛されて、ベッドに寝かせられ注射を打たれた。そこで意識がなくなる。
 
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目が覚めた時は何かピンク色の目立つ部屋にいた。
 
「気が付いたの?」声をかけたのは母だった。「ごめんなさいね、あなたにたいへんなことさせちゃったみたい」「ううん、いいんだよ。ありがとう」
「あのね、それでね」母は僕にさすがにちょっとショッキングなことを告げた。
 
僕の男性器は無事兄に移植された。定着確率は99%以上だという。一卵性双生児なのだから大丈夫だろう。僕には死んだ美冬の女性器のすべてが移植されていた。こちらも組織的な適合性がいいので定着確率は80%くらいあるらしい。僕は間違いなく定着することを確信していた。そこまでは僕も承知のことだった。僕は股間にさわってみたけど、包帯がしっかり巻かれていてよく分からなかった。
 
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「あの人が死んだのはあなたということにするというの」つまり、この事故で死んだのは美冬ではなく晴彦だということになってしまったらしい。だとすると僕は?「美冬は大怪我したけど生き残ったということになって、それがつまり、あなたなの。女性器を移植して、いわば女の体になったのだから、男の戸籍では不便だろうって、だからもうあなたは美冬なの」
 
そうか。晴彦が死んだのか。そして僕は美冬になったのか。ちょっとショックだけど、どうせ晴彦は日陰者の人生だった。それもいいかも知れない。僕はそう思い直すことにした。
 
「それでマスコミにかぎつけられても面倒だからということで、あなたはもう別の病院に移されているのよ。そして回復したらアメリカにしばらく行かせなさいと言われているの」
 
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そうだろう。僕が美冬になって、以前の美冬を知っている人が僕を見たら変だと思うはずだ。結局僕は青山家から消えなければいけない人間なんだ。僕はなんだかおかしく思えて、つい笑みがこぼれた。
 
「だいじょうぶだよ。お母さん。ぼくは晴彦と美冬の二人分を生きるから。アメリカに行って、青山とは関係ないところで生きていくよ。お母さんともきっと会えなくなるだろうけど、お母さんの息子と娘はどこかで生きていると思っていてね」
、数日後包帯が取れて、はじめて自分の股間を見た。
 
さすがにちょっと衝撃があったけど、美冬のものだと思うとついやさしくなでてあげた。するとかすかに潤った。「こんなことしたら兄妹相姦かな、ふふふ」
私は苦笑した。考えてみれば大好きだった、でも結婚する訳にはいかなかった妹の体が自分のものになったのだ。これは背徳的なほどすばらしいことだ。そのために自分のちんちんなど無くしても構わない気がした。(あるいは自分をそう言ってなぐさめていたのかも知れないが)
 
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初めておしっこをした時はほんとうに不思議な感覚だった。ちんちんなんてなくてもおしっこするのに全然困らないんだな、というのが本当に新鮮な発見だった。最初だけ力の入れ具合(抜き具合)がよく分からなかったが、一度できたら二度目以降は特に問題なかった。
 
入院中にのどぼとけを取る手術、それから顔を女性っぽく(もっと正確にいえば美冬に似せて)整形する手術、それから全身の永久脱毛の手術を受けた。ここは小さな病院だった。入院は約3ヶ月続いた。父に雇われた美容師が来て、私の髪型を整えるとともにお化粧の指導をしてくれた。僕は毎日その練習をしたがこれは結構楽しい気分になった。女の子って毎日こうやってお絵かきの練習してるから、絵がうまいのかななどと変なことを考えていた。
 
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下着は最初から女性用を付けさせられていた。これもちょっと変な感じ。でも僕の心の中の美冬ときちんと一体化したいという意志が、それにも早く順応させた。僕は用意されたランジェリーのカタログで、すごくかわいいのとか、すごくドレッシーなのとかを注文して楽しんだ。
 
スカートを履いてみたのは最初の手術から1月くらいたったころだった。それまでちょっと勇気が持てなかったのだ。なんだかとても頼りない感じ。女の人ってこんなのを着て外を出歩いているんだ。外出許可をもらって、外を歩いてみた。最初はものすごく恥ずかしくて、人とすれちがうたびに真っ赤になった。しかしそれも一週間もすれば慣れてしまった。ただパンプスになれるには、さらに日数を要した。
 
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美冬の四十九日がすぎた時期に父から墓の場所を知らせるメールが来ていたので、訪れてみた。もちろん墓には俗名・青山晴彦と書かれている。「ごめんね、美冬。ちゃんと葬ってあげられなくて」線香を置きながらそう思うと涙が出た。
 
そして今僕は Miss Mifuyu Aoyama のパスポートを持って成田空港に立っている。見送りには誰もいない。出がけに都内のデパートで女性用下着売場に行って、またかわいい下着を物色してきた。これってすごく楽しい。女の子である、というのもいいもんだなと思った。女性用下着売り場ってまるで宝島みたいで、一度近づいてみたいと思っていたのだが、まさかこういう形で実現するとは思ってもみなかった。
 
退院前に僕の体の中の美冬の卵巣がきちんと機能していることを担当のお医者さんが確認してくれた。たぶん半年か1年以内に月経がはじまり、バストも大きくなってくるはずです、と医師は言っていた。それはとても楽しみだ。どんな感じなのだろう。
 
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母とも結局あの日最初の手術のあと目を覚ました時以来、一度も会っていない。美冬名義の銀行口座に100万ドルが入れてあった。出発前に父からメールが届いていて「毎月5万ドル送金する」と書かれていた。「さて、アメリカで何をするかな」
 
僕はゆっくりとこれからの人生の設計をしていた。
 

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<FONT size="4"><b>死んでしまった僕(2)</b></FONT> <pre>
サンフランシスコの空港についたのは日差しの強い午後だった。荷物を受け取り入国手続きを済ませる。とりあえずの宿泊先として父がホテルを手配してくれていたのでまずはチェックインし、一休みしてから活動開始と思っていた。
 
ところが空港を出ようとしていた時突然「美冬!」と喚ぶ声がした。初め、あれ妹と同じ名前の人が近くにいるのかな、などと考えていたが、すぐにそれは自分の名前だということに思い至る。そしてその声のする方を見て焦った。
 
「ねぇ、美冬でしょ」
 
若い日本人らしい女性がこちらに近づいてきた。その女性に私は見覚えがあった。美冬の友達の一人で、たしか楠木香奈といった。
 
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「香奈さま?」
 
「やっぱり美冬だ。何しに来たの?観光?」
 
必死で頭の中の楠木香奈に関する記憶のページを繰る。そうだ、彼女は父の仕事の都合で2年ほど前にアメリカに来ていたはずだ。この界隈だったのだろうか。
 
「えーっと、香奈さまはこの近くに住んでらっしゃるの?」
 
「パロアルトだよ。近くというわけじゃないけど。お父さんがイギリスに出張に行くので見送りに来てたの。それから香奈でいいよ。女子校流の呼び方としゃべり方は私も日本に置いてきた。でも来るんなら電話の一本もくれれば良かったのに」
 
「ごめんね。ちょっと交通事故に遭っちゃって。まだ少しぼぉっとしてるの。こちらに来たのも静養と気分転換を兼ねて」私は通常口調に戻し知り合いに会った時のために用意していたせりふを言う。こう言っておけば多少トンチンカンなことを言っても理由が付けられる。
 
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「えぇ?事故に遭ったの!大変だったね。身体はもういいの?」
 
「うん。だいたい」
 
「でも、そしたらしばらくこちらにいるんだ」
 
「うん。たぶん4〜5年は」
 
「じゃ高校は?」
 
「一応休学にしてきたけど、たぶん復学することはないと思う」
 
「ふーん。まぁ別にいいよね。何ならこちらでどこかに通えばいいだろうし。あ、ごめん交通事故に遭ったんなら立ち話はきついよね。ホテルどこ?荷物くらい持ってあげるよ」
 
「あ」と言う間もなく、香奈は私の手からボストンバッグを2つとも奪い取ると、さっさと玄関に向かって歩き出した。タクシー乗り場に行き、止まっていた車に乗り込む。私がホテルの名前を告げるが運転手が首をひねる。すると香奈が苦笑して「アメリカ流の発音」で言い直した。車がスタートした。
 
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「美冬、ひょっとして英語あまり得意じゃないのね」
 
「そうでもなかったつもりだったんだけど」
 
私は英語はいつも90点以上取っていた。しかしどうやら私の発音はここでは通用しないのかも知れない。
 
「日本の学校の英語教育ってゆがんでるからね。私も来た当初は苦労したよ。ひと月もしたら何とかなったけど。美冬も最初は英語の特訓かな。今夏休みだし、つき合ってあげるよ」
 
つき合われるのはボロが出そうで怖いのだが、しかし美冬と香奈は2年ほど会ってなかったわけだし、何とかなるかも知れない。私はここは開き直ってむしろ香奈を頼ったほうがいいかも知れないと思い直した。
 
やがてタクシーがホテルに着く。代金を払って降りたところで運転手も降りてきて荷物を持ってカウンターまで行ってくれた。私はアメリカのタクシー運転手って親切なんだなと思って眺めていたが、荷物をカウンターの前に置いたまま何か言いたげである。私がなんだろうと思っていると香奈がささやいた「チップよ」あ、そうか。アメリカってそういう社会だった。別に運転手は親切で荷物を持ってくれたわけではないのだ。私が2ドル紙幣を渡すと運転手は無表情で引き上げていった。
 
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チェックインする。801号室。今度はホテルのボーイが荷物を持ってくれる。ということは部屋まで行った時はこのボーイにチップをあげないといけないのか。やれやれ、面倒な国だ。しかし私は香奈までごく自然な調子で付いてきているのが気になった。
 
部屋は広かった。「わぁスイートルーム」と香奈が声を上げる。さすが父が手配しただけのことはある。ちなみに支払いは父が支払人になっているクレジットカードの美冬名義の家族カードだ。自由に使って良いと言われていた。
 
展望がすばらしい。サンフランシスコの大きな町並みが眼下に広がっていた。香奈はベッドの上で飛び跳ねている。「ねぇ、来てみて。すごくいいクッションだよ」
 
無邪気な香奈の様子につられて、つい私もそちらに行った。すると香奈は、いきなり私にしがみつくと、そのままベッドの上にひきずり倒した。
 
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「きゃ」
 
今までは意識して高音で話していたのだが、びっくりしてつい地声を出してしまった。焦ったが別に香奈は気づいてないようだ。
 
「ね、気持ちいいでしょ」
 
香奈は純粋にこの大きなベッドの感触を楽しんでいるようだ。「うん。気持ちいいね」私も同意した。ここ3ヶ月ほど病院のベッドに寝ていたからなおさらだ。
 
突然香奈が私の上に覆い被さってきた。「ちょっと」私は焦る。「いいじゃない。久しぶりなんだし。お遊び、お遊び」しかし香奈の『お遊び』は少し過激なようだ。いきなりスカートの中に手を入れられ、パンツの上から股間を触られた。「あ」。思わず声をあげる。
 
「胸も揉んであげる」といって、もう片方の手でブラウスのボタンをはずし始めた。ヤバイ。股間は美冬の女性器を移植しているから女の子そのものだが、胸はまだ真っ平らのままなのだ。一応Bカップのブラジャーを付けているがパッドを2枚入れている。
 
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「本当は男の人とこういうことしたいとこだよね。美冬の兄ちゃんの、一晴さんの方は女の子は適当な扱いしそうだけど、晴彦さんの方なら優しくしてくれそうな気がするし」
 
それはそうかも知れないと私も思った。しかし今私は女の子を抱ける身体ではなくなって、そもそも美冬になっているのだ。
 
「晴彦君、元気?」と香奈がきく。もうプラウスのボタンははずされ、スリップの上から香奈の手はわたしの胸をなぜ始めようとしていた。私はそちらに気をとられていて半ば自動的に答えた「いや実は私が大怪我した事故で、晴彦兄さんは死んじゃったの。一晴兄さんも重傷で2ヶ月くらい入院したんだ」「え?」
 
香奈の手が止まった。そして改めて私のほうを見ると「そうだったの、ごめんね」と言う。「ううん、気にしなくていいよ。私も精神的な気分転換をかねてこちらに来たんだし」「じゃ、なおさら私、美冬に付いててあげるよ。今晩は一緒に泊まろう」「あ、うん」
 
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香奈は早速携帯を取り出すと「あ、お母さん。友達に会っちゃって。今日は泊まってくから。ううん。今日は女の子だよ。日本にいた時の友達」という。「アメリカって開放的だからさ」と香奈は携帯を切って言う。「私も来て半年でバージンは卒業しちゃった。親も私が外泊しても、こうやって連絡さえしていれば文句言わないの」
 
バージン卒業。きゃー。私もそのうち男の人と、そういうことをすることになるのだろうか。それだけは今まで考えたこともなかった。「じゃ、さっきの続き行こうか」「え?」香奈は再び私の上にのっかかってきた。「美冬、さっきの反応からすると、まだバージンよね。中には入れないから。それとおっぱいも勘弁してあげる」私は頭の中が空っぽになってしまい、そのまま香奈に身を任せてしまった。
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■死んでしまった僕(1)

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