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■少女たちの国際交流(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2016-04-30
 
千里たちのバスケット遊びには勲男君も加わることがよくあった。が彼は千里たちの「ルール」に疑問を呈する。
 
「バスケットってこんなルールだったっけ?」
「違うんだっけ?」
「俺もよくはわからないけど。確かふつうにシュートが入ったのは2点だよ」
「そうだったんだ!」
「じゃ下から上にボールが通った場合は?」
「それは知らないなあ」
「じゃそれ3点にしようよ」
 
ということで、彼女たちの勝手ルールは続いてった。
 
彼は室内での遊びにも参加するが、輪投げでは結構いい点数を出した。
 
「今日は1位千里、2位勲男、3位タマラ、4位コハル」
 
「千里はさすが男だよなあ。俺もかなわないや」
などと勲男が言うので
 
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「千里は凄いけど、男じゃないよ」
とリサから言われる。
 
「私、女の子だけど」
と本人も言っている。
 
「うーん。まあいいや」
 
このメンツで千里を男の子と認識しているのは勲男とコハルだけで、タマラもヒメもリサも千里は女の子と思い込んでいる。タマラは千里と5年も付き合っているので男の子と気づいて良さそうなのに、タマラはそのあたりがややぼんやりさんの傾向があった。
 

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音楽遊びでは、だいたい千里・リサ・ヒメの3人が交代でピアノとヴァイオリンを弾いて、他の子が歌を歌うことが多かったが、勲男はリコーダーを吹くこともあった。
 
「勲男、リコーダーうまいね」
「おまえらも吹けるだろ?」
「私吹けなーい」
「私もあれ苦手ー」
 
実際にはみんな音楽の時間にリコーダーを習っているはずが、このメンツでちゃんとリコーダーを吹けるのは、勲男とリサの2人だけであった。
 
それ以外の楽器では千里がイベントでもらったパンフルート、コハルが何だか古そうな横笛を持っていて、それを吹いていた。
 
「千里もコハルもそんな難しそうな笛が吹けるならリコーダーなんて楽勝だろ?」
 
と勲男は言うのだが、千里はリコーダーを吹こうとすると指の押さえ方が曖昧できちんと音階が出ないし、コハルはなぜかリコーダーでは全然音が出ないようであった。
 
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「お前らの吹いている笛はなんていうの?」
「私のはフルート・ドゥ・パンだよ」
と千里。
「私のはフルート・ドゥ・ドラゴンだよ」
とコハル。
 
「なんか難しい名前だ」
 

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ピアノはリサの家にアップライトピアノがあり、他にヒメの家と勲男の家に電子キーボードがあって、だいたいその3軒がコンサート会場になっていた。ヴァイオリンは一応千里の所有物だが、リサやヒメが練習に借りていることもあった。
 
「ヒメ、けっこうヴァイオリン上達したね」
「うん。だいぶ弾かせてもらって要領がわかってきた」
「千里、全然ヴァイオリンうまくならないね」
「うーん。私、ヴァイオリンはあまり相性がよくないかも」
 
「そんなに千里のヴァイオリン下手だっけ?俺にはちゃんと弾いてるように聞こえるけど」
と勲男が言う。
 
「千里のヴァイオリンは音は正確だけど、弾き方がむちゃくちゃ」
とリサが言う。
 
「うん。私も自分でそう思う」
と千里本人。
 
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「よくわからんな」
 

勲男はこのグループの中で「唯一の男子」なので、けっこう頼りがいもあるのだが、相変わらず乱暴なことをする場合もあって
 
「ほら、ヒメが泣いちゃったじゃん。謝りなよ」
とリサが注意する。
 
「俺今のは悪くねぇ」
「悪くなくても謝る」
「何でだよ?それおかしい」
「とりあえず謝るのが日本流」
「そのあたりがわからんなあ」
 
実はこのグループで唯一日本国籍を持たないのが勲男である。タマラとリサは一家そろって帰化しているので日本人だし、ヒメは日本とブラジルの二重国籍になっているようだ。
 

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12月に入って、近所に夕張から引っ越してきた一家があった。
 
その日、千里たちが神社で遊んでいる時にちょうど引っ越しが行われていたので、千里たちがのぞきに行くと、千里たちと同い年くらいの男の子とそのお兄さんだろうか、中学生くらいの男の子がいた。
 
お母さんが千里たちに気づき、弟の方を連れてきて挨拶する。
 
「こんにちは、近所の子たち?この子、小学3年生なんだけど、良かったら仲良くしてあげてくださいね」
 
「あ、私たちも小学3年生ですよー」
 
「私村山千里」
「私早川珠良」
「私松井梨紗」
「私竹本姫」
とこちらの4人が自己紹介すると、彼は
「僕、花和留実子です」
と言ってぺこりと頭を下げた。
 
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「留実子君って、何だか女の子みたいな名前ですね」
とタマラが言った。
 
「ごめーん。僕女だから」
「もしかして女の子になりたい男の子ですか?」
「うーん。どちらかというと男の子になりたい女の子かも」
 
「うっそー!?」
 
「でもちんちん付いてるんですよね?」
「欲しいけど付いてない。触っていいよ」
 
というのでタマラが留実子のズボンの上からお股に触ると、本当にちんちんは付いてない。
 
「あのぉ、手術して取っちゃったんですか?」
「生まれた時から付いてなかったよ」
 
「嘘みたい。男の子にしか見えないのに」
「あはは」
 
「ちょっと変な娘で申し訳ないですけど、良かったらお友達にしてあげて下さい」
とお母さんが申し訳なさそうに言うが
 
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「あ、私たち変な人の集団だから全然問題ない」
とタマラが言った。
 
コハルが忍び笑いをしていた。
 

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留実子は「同類の勘」で、千里の性別にすぐ気づいた。
 
「千里ちゃん、女の子にしか見えない」
 
「ふつうの人ならそうかも」
と言って千里も苦笑する。
 
「髪を長くしているのも女の子に見えやすくするため?」
「それもあるけど、自分は女の子だから髪をあまり短くしたくないというのもあるんだよ」
「あ、何となく分かる」
「るみちゃんは男の子みたいに髪短いし」
「うん。女みたいに伸ばしたくないんだよ」
「分かる分かる」
 
「でも千里ちゃん、その髪留め可愛いね。いつも付けてるみたい」
「うん。私のお気に入りなんだ」
 
「もうずっと女の子みたいにしてるの?」
「物心ついた頃から、私自分は女だとしか思ってないよ」
 
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「スカートとか穿かないの?」
「買ってもらえないし」
「ね、僕のスカート良かったら穿いてみる?お母ちゃんが買ってくるけど、僕はスカート穿きたくないし」
 
「あ、貸して貸して」
 
それで千里はこの後、留実子から借りてけっこうスカートを穿いていることが多くなっていくのである。この時期、千里がスカートを穿いているのを見ても千里の母はそれを黙殺していた。
 
またタマラやリサたちは千里を女の子と思い込んでいるので、千里がスカートを穿いているのを見ても何も不思議に思わなかった。
 
「千里、いつもズボンだったけど最近は時々スカート穿いてるね」
などとヒメが言っていた。
 

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留実子はバスケットのルールを知っていたので、千里たちの「バスケット」の誤りを指摘した。
 
「えー!? ボールを持って走っちゃいけないの?」
「ボールを持って歩いていいのは2歩まで」
「だったら、どうやってボールを持っていけばいいの?」
「誰かにパスするか、あるいはドリブルするんだよ」
 
と言って、ドリブルをしてみせる。
 
「あ、それもおもしろそう」
 
というので、留実子の参加でやっとこのグループのバスケットは正常化した。また留実子はボールがゴールを下から上に通過しても得点にならないことも指摘した。
 
「えー?それダメなのか」
「そもそも下から上には通らないでしょ?」
「うん。めったに通らない」
「下から上に通したらルール違反で、相手ボールだよ」
「残念」
 
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輪投げでは留実子は千里にはかなわないものの、勲男といい勝負をした。
 
「留実子、強いな」
「勲男も強いな」
 
と言ってふたりは何だかお互いにパンチを当てている。
 
「どうして殴るの?」
とヒメが訳がわからないふうで見ている。
 
「男同士の友情の証だよ」
「るみちゃんやはり男の子なんだっけ?」
 
「男に準じて扱ってくれるとうれしい」
と本人。
 
「うん。じゃるみちゃんは男の子ということで」
「千里は女の子だしね」
 
「千里はふつうに女の子でしょ?」
「うん。そのつもり」
 

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一度このメンツで近くの温泉に出かけたこともある。
 
タマラのお母さんのフィットにタマラ・千里・玲羅・勲男、リサのお母さんのトゥインゴにリサ・ヒメ・ヒメの妹のオトメに留実子、と2台に分譲して温泉まで行く。料金はこの日は各自持参しているのだが、受付で
 
「How many men and women?」
と尋ねられてタマラのお母さん・ヤヨイが一同を見回す。
 
「2 boys and 7 girls?」
と言ったら、タマラが
「Mom, Rumiko is a girl」
と注意するので
 
「あ、そーか。すみません。小学生の男の子1人と女の子8人、それに大人の女2人です」
と日本語で申告してロッカーの鍵を青1個・赤10個もらった。
 
それで勲男だけが男湯の脱衣場に、他の10人は女湯の脱衣場に向かう。
 
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「ルミ、お前こっちに来ないの?」
と1人だけになってしまう勲男が言う。
 
「ごめーん。僕ちんちん無いから男湯は無理」
と留実子。
 
もっとも留実子は先月まで住んでいた夕張では、実はこっそりひとりで男湯に入ったりもしていたのだが、ここでは友人の目もあるので、取り敢えず女湯に入ることにした。
 

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それで勲男以外の9人が女湯に入ったものの、留実子は千里がこちらに居るのを見てギョッとする。
 
「千里、なんでこちらなの?」
「私女の子だもん」
と千里は開き直っている。
 
「うーん・・・」
と留実子は悩んでいたものの、千里が他の女の子たちの前で堂々と服を脱ぎ、裸になってしまうのを半ば感心するように見ていた。千里は普通に女の子用のシャツを着ているし、女の子用のパンティを穿いていた。玲羅がチラっと千里を見たものの、千里はポーカーフェイスだ。玲羅は同い年のオトメとおしゃべりしながら服を脱いでいる。
 
千里はタオルで前を隠していて、絶対にあの付近が他の子の目に入らないようにしている。
 
「うまいね」
と留実子が言う。
 
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「るみちゃんにもできるよ」
「今度がんばってみようかな」
 
と留実子が言うとコハルが
 
「るみちゃん、あまり危ないまねはしないほうがいいよ」
と小声で注意した。
 

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各自身体を洗ってから湯船に入るが、湯船がいくつもあるので、みんな思い思いの湯船に入っている。千里はコハル・ヒメ・留実子と一緒にミヅハの湯に入った。白濁したお湯でややヌメヌメした感じであるが、肌に優しそうである。
 
「この湯だと身体が見えなくていいね」
などと留実子が言う。
 
「この湯なら男湯にも入れると思ったでしょ、るみちゃん?」
とコハルが言う。
 
「うん。一度突撃してみたいなあ」
「まあおっぱいが膨らんでくるまでなら何とかなるかもね」
 
「私は勲男と別でホッとした。あの子、何かと私につっかかってくるんだもん」
とヒメが言う。ヒメは普段からよく勲男に泣かされている。
 
「まあさすがに勲男は女湯には入れない。ちんちん取っちゃわない限り」
とコハル。
 
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「それって、勲男は実はヒメのこと好きなのかもね」
と留実子が言い出す。
 
「うっそー!?」
「いや、好きな子にいじわるしたくなるのは、男の子の普通のこと」
とコハル。
 
「そういうもんなんだ?」
と男の子の心情がわからない千里は言う。
 
「まあ女の子には分かりにくい男の子の行動だよね」
 

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