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■女の子たちの交換修行(2)

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午後3時からの準々決勝(事実上の準決勝)の相手は釧路Z高校である。N高校相手だと異様に燃えるチームで、国体道予選でもあわやという試合を演じたが、今日も向こうのキャプテン松前乃々羽のテンションは異様に高かった。
 
思えば彼女が初めて中心選手として臨んだ1年生の新人戦でZ高校はN高校がテスト運用したゾーン・ディフェンスに大敗して、そこから彼女のリベンジは始まったのである。
 
こちらは雪子/結里/薫/蘭/揚羽というメンツで始めたが、キャプテンの揚羽と握手した後で、「暢子は出ないの?」と薫に訊く。
 
「若くて威勢のいいのが多いから、おばあちゃんは後半に」
と薫が答えると
「じゃ前半ダブルスコアにして、焦らせてやろう」
などと乃々羽は言っていた。
 
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試合はZ高校がゾーンを敷いてこちらの進入を簡単には許さない体制で来た。それを見てN高校は早々に薫を下げてソフィアを投入する。それでソフィアと結里の「ダブル遠距離砲」で攻めると相手はシステムを崩されないのに点はどんどん取られるという感じになる。第2ピリオドは結里を下げて絵津子を投入すると、ソフィアや揚羽とのコンビネーションプレイで強引にゾーンに穴を開けて中に進入しゴールを決める。
 
結局前半を40対46とこちらがリードした状態で折り返す。
 
後半は不二子/ソフィア/絵津子/暢子/リリカというメンツで始めた。「新鋭3人組」のそろい踏みである(キャプテンマークはリリカ)。するとこの3人が本当に競い合うように点数を取りまくる。
 
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Z高校も乃々羽自身も含めて2年生の鶴山さん、1年生の富士さんなどが頑張るものの、点差は次第に開いて行った。
 
「だけど私、松前さんをお手本にしたい」
と最後のインターバルで不二子が言っていた。
 
「うん。不二子ちゃんをポイントガードの位置に入れた場合、松前さんと似たような役割になるよね」
と南野コーチも言う。
 
「司令塔兼点取り屋だから」
「じゃ最後は向こうに敬意を表して」
と南野コーチは言い、第4ピリオドは雪子/絵津子/薫/暢子/留美子というメンツで始めた。Z高校と散々やったオーダーから千里の代わりに絵津子を入れたパターンである。恐らく千里不在中でのN高校の最強オーダーだ。
 
この強力なオーダーで最終ピリオドは猛攻を掛ける。Z高校は防戦一方になるものの、乃々羽は物凄く嬉しそうな顔をしてプレイしていた。N高校の凄まじい攻撃に頭が空白になっていたっぽい鶴山さん船引さんを叱咤激励して試合を何とか持たせる。1年生の富士さんは黙々と点を取る。
 
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終わってみると82対110の大差で決着していた。
 
試合終了後の握手をしてから、乃々羽は
 
「こいつ新人戦以降のキャプテンだから」
と1年生の富士さんを紹介する。
 
「嘘?私、1年生なのに」
と本人は驚いているが
 
「いや、それでいい」
と2年生の鶴山さん・船引さんが笑顔で拍手していた。
 
「(富士)咲耶、あんたがN高校を倒して今日のリベンジをしろよ」
と彼女は言っていた。
 
「しかし千里っちともう一度対決したかった」
と乃々羽が言うので
 
「よかったら北海道総合の後ででも練習試合しませんか?」
と雪子が提案する。揚羽も頷いている。
 
「あ、それもいいかもね」
と乃々羽。
 
釧路Z高校はインターハイ予選でベスト4になったので、来週末に行われる今年の北海道総合(オールジャパン予選)に出るのである。それが乃々羽にとっては恐らく高校最後の大会になる。
 
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「私たちは総合には《出ないつもり》ですが、お互いの壮行試合を兼ねて」
と雪子。
「そうだね。君たちは《出ることに》ならなければいいね。わっちらの皇后杯出場記念の練習試合にさせてもらおうかな」
 
そんなことを言って乃々羽は雪子と握手した。
 
北海道ではウィンターカップに出る高校はオールジャパン(皇后杯)予選には出ないことになっている。
 
「じゃそのあたりはまたあとで打ち合わせを」
「了解了解」
 

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なお男子のほうでは、N高校は午前中の準々決勝で敗れてしまい。今回はBEST8停まりとなった。宿はキャンセルして旭川に帰ることになるが、例によって昭ちゃんに関しては、元々女子の部屋割り(蘭や志緒と同室)に入っていたこともあり、残留して明日の女子の試合は来未たちと一緒に客席から応援することになった。
 
その日の宿の大浴場。
 
「昭子先輩、試合が終わって整列の時、少しぼーっとしている感じでしたけどやはり今日は不本意だったんですか?」
と男子チームのマネージャーを務めた久美子が湯船の中で訊く。
 
「ああ、あれね。相手選手を見てて、あれ?なんでこの人、こんなにバストが無いんだろうと思っちゃって」
 
「男子選手にはバストは無いのでは?」
と紅鹿が突っ込む。
 
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「うん。自分でもそれに気づいてから今度は、なんで自分はこんな変なこと考えてたんだろうと思った」
 
「やはりバストがあるのが標準という感覚になっているんだな」
と志緒が言う。
 
「でも昭子先輩、これ充分女の子でも通るくらい胸が膨らんでますよね。女性ホルモン飲んでるんですか?」
などと言いながら久美子は昭子の胸に触る。
 
「飲んでないよぉ。これはエステミックスというサプリを飲んでるんだよ」
「へー。サプリでこんなに胸が大きくなるんだ?」
 
「だけど昭ちゃん、最近は強引に連行しなくても、自主的に女湯に入るようになったね」
などと永子は言っている。
 
「こないだひとりでスーパー銭湯に行った時、みんなと一緒じゃないとやはり女湯は無理かなあと思って男湯に入ろうとしたんですけど『あんたこっち違う』と言って追い出されました」
と昭ちゃん。
 
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「で女湯に入った?」
「男湯には入れないみたいだったから仕方なく」
 
「って、そもそもおっぱいがこれだけ膨らんで来たら、もう男湯に入るのは無理だよねぇ」
と来未が言う。
 
「だいたいそれで女湯に入れたってことはおちんちん隠してたんでしょ?」
「いつも仕舞い込んでますよ〜」
「だったら、おちんちんが無い以上、男湯じゃなくて女湯に入らなきゃ」
などと蘭は言っている。
 
「でも今回は制服で集合なんて言われたから男子制服着て集合場所に来たら、志緒ちゃんから女子制服渡されるんだもん」
と昭ちゃん。
 
「川南さんから、昭ちゃん女子教育係を受け継いだから」
と志緒。
 
「でも志緒ちゃん、男子制服はいつ返してもらえるの?」
と昭ちゃんが志緒に訊く。
 
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「ああ、あれは廃棄したから、昭ちゃんはこの後、学校には女子制服で通学してね」
「え〜〜!?」
 

 
そして翌11月9日。インドネシアも釧路も最終日である。
 
インドネシアでは17:00(日本時刻19:00)から決勝戦だったのだが、同日、北海道釧路では日中、ウィンターカップ道予選の準決勝(事実上の決勝)と準決勝の勝者と札幌P高校とによる名目上の決勝戦が行われた。
 
9時からの準決勝で旭川N高校の相手は同じ旭川の旭川L女子高である。帯広C学園を昨日の準々決勝で倒して上がってきた。同じ旭川代表なのでトーナメントの反対側の山に割り振られていた。それでここで当たることになったのである。
 
普通トーナメントの準決勝は2試合だが、この大会では1試合のみである。そしてこの準決勝に勝った方がウィンターカップに行くことができる。
 
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麻衣子たちにとっては最後のウィンターカップへの挑戦であるし、もし勝てば旭川L女子高は初出場、N高校が勝てば12年ぶりの出場になる。両軍はこのようなオーダーで始めた。
 
L PG.矢世依/SG.宏美/SF.布留子/PF.明里/C.麻依子
N PG.雪子/SF.絵津子/SF.薫/PF.暢子/C.留美子
 
N高校といえば、ここ2年ほどシューターの千里の存在感が大きかったのだが、千里がインドネシアに外征中なので、逆にシューターを入れずにフォワードを3人入れたオーダーで始める。SGとしてソフィアを入れる手もあったのだが、先発に自らは入らなかった主将の揚羽が「最強の5人で行くべき」と主張し、こういうラインナップにしたのである。L女子高は明里をPF, 麻衣子をC として登録しているが実際には麻衣子はフォワード的だし、明里はセンター的である。
 
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「国体代表対インターハイ代表だな」
などと先発メンバーを見て暢子が言った。
 
「お互い手の内は充分知っている相手だし、もう力と力の勝負だね」
と薫。
 
キャプテンの布留子とキャプテン代行で副主将の雪子で握手して試合を始める。ティップオフは留美子が取ってN高校が攻め上がる。L女子高は国体本戦でも見せたマッチアップゾーンで守るが、絵津子・暢子のスクリーンプレイから更に薫にパスするという変則プレイで、薫がボールをゴールに放り込む。
 
試合はN高校の先行で始まった。
 

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絵津子・薫・暢子というエース級のフォワードを3人並べたN高校のシステムに対してL女子高が敷いたマッチアップゾーンというのは、確かに有効な防御法である。向こうとしては誰を使って攻めてくるかが分からないので、とにかくボールを今持っている人に警戒していれば、そう簡単には得点できないはずだ。
 
しかしN高校もそう簡単な攻撃の仕方はしない。この3人と雪子を含む4人がサインプレイで複雑な動きをして、相手をどこかに集中させては結果的に弱くなったところから攻めて来る。この3人にしても雪子にしても得点能力は高いし、留実子だってあなどれない。
 
試合経過4分経ったところで8対14と既に点差が開き始める。
 
瑞穂監督はタイムを取った。
 
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1分間のチャージドタイムアウトが過ぎて、向こうはシステムをマンツーマンに変えてきた!
 
雪子に矢世依、暢子に麻依子、絵津子に布留子、留実子に明里、薫に宏美が付く。
 

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「あの配置って、L女子高としては若生(暢子)さん、湧見(絵津子)さん、歌子(薫)さんの順に脅威だと考えたということでしょうね」
 
と観戦していたP高校の1年生・渡辺純子が言う。
 
1年生なのにキャプテンの宮野聖子の隣に陣取っているのは、なかなかの根性であるが、宮野も同意する。(佐藤玲央美は千里同様インドネシアに外征中なので、道大会では宮野がキャプテンの背番号4を付けている)
 
「あと2ヶ月したら湧見さんの方が怖い。でも今はまだ若生さんの方が上だろうね」
 
「それって、つまりウィンターカップ本戦で当たった時は怖いってことですか?」
と渡辺。
 
「まあ、それは純子も同じだよ」
と宮野が言うと彼女は顔を引き締める。
 
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「私に彼女とやらせてください」
と渡辺が言う。
「うん。頑張って。えっちゃんと純ちゃんは多分再来年のウィンターカップまでライバルだよ」
と宮野キャプテン。
 
「今度の北海道エンデバーでも顔合わせするだろうけどね」
「いや、ふたりともトップエンデバーまで招集される可能性があると思う」
 
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女の子たちの交換修行(2)

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