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■女の子たちのインターハイ・高2編(2)

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初日の結果。
 
貴司たちのS高校は今年はいきなり強豪と当たったものの、何とか1点差で勝つことができた。北海道男子のもう1つの代表・札幌Y高校は負けてしまった。橘花たちのM高校はインターハイ自体には毎年のように出ているものの、まだ1度も勝利したことのないという高校相手に快勝して2回戦に進出した。
 
この日1日で男女各59校の出場校が各32校に減った。27校×男女で54校はこのまま帰ることになる。
 
札幌Y高校は千里が昨年秋男子チームで出た最後の試合でN高校を破りウィンターカップ代表になった所である。千里はY高校敗退を示す掲示を見ながら、昨年秋に戦った時の相手チームの面々の顔を思い起こしていた。
 
「ああ、男子の試合結果見てんの?」
と寿絵から声を掛けられる。
 
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「うん」
「S高校勝ってるじゃん。良かったね」
「ありがと。いやY高校が負けてるなと思って」
「なんか知り合いがいるんだっけ?」
「ううん。私が男子の方で最後に出た去年の選手権道予選で、ここと決勝戦で戦ったんだよ」
「あぁ」
 
「あの時、私を凄い厳しくマークして私に仕事をさせなかった人のことをふと思い出して」
「その人はまだ居るの?」
「ううん。卒業したよ。実業団に行くとかいう話だったから、多分行ったんじゃないかな。ウィンターカップに出場したというのは充分な成績だもん」
「だよねー」
 
「私もあの人にマークされて、このマークを外すにはどうすればいいかって随分考えて、それを新人戦の時、札幌P高校戦でかなり試したんだけどね」
「ほほぉ」
「私をマークしたP高校の佐藤さんはもっと凄かった。何度かマーク外し成功したけど、同じ手は2度食わないんだ。あの人」
「さすが全国トップのチームだね」
 
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「私はもっと進化しなければならない」
と千里が言ったのに対して寿絵はどう反応していいか困っている。
 
「まあ取り敢えず男から女に進化したけどね」
「それ進化なんだ!?」
 

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インターハイは2日目に入る。
 
インターハイの出場校は59校なので、トーナメントで5校だけが1回戦を免除される。その5校は昨年のインターハイと冬のウィンターカップの結果で決められており、昨年のインターハイやウィンターカップ優勝校・準優勝校など上位5校が「シード」になっている。
 
それ以外はみな1回戦から戦うことになる。札幌P高校は今回のインターハイに出場していたらシードされていた可能性が高いが出場できなければどうにもならない。シード権を取れても都道府県大会を勝ち上がらないとその権利を行使できない厳しさがインターハイである。
 
そして今日の旭川N高校の相手は宮城N高校と決まった。インターハイ常連校のひとつであり、1回戦では、今年初出場の高校に82対38の貫禄勝ちして2回戦にあがってきた。
 
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「初戦に勝てたら2回戦は宮城N高校が来る可能性高い」
 
と千里たちは事前に南野コーチから説明を受けていた。
 
「2月に秋田で見たチームですね」
 
「うちと高校の名前も似てるけど、ユニフォームのロゴも似てた」
「お互いにうっかり相手選手にパスしちゃったりして」
 
「自分が今、白いユニフォーム着てるか、青いユニフォーム着てるか、よく考えてプレイしよう」
 
「宮城N高校はシューターの金子君が凄い。新人戦東北大会のスリーポイント準女王になっている」
と宇田先生が言うと千里の顔が引き締まる。
 
「先生、スリーポイント女王は誰ですか?」
と暢子が訊いた。
 
「秋田N高校の中折君だ。秋田N高校は決勝まで行き、宮城N高校は準決勝までだったから、試合数の差が出たという所だろう。1試合あたりの得点数は金子君の方が多い」
 
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「秋田N高校と宮城N高校の試合で、金子さんをピタリとマークして仕事をさせなかったのが、中折さんですよね?」
と千里は訊いた。
 
「うん」
 
その選手は宮城N高校との試合ではマーカーに徹していたが、決勝戦では結構スリーポイントもツーポイントも入れていた。近くからでも撃てるというのはフィジカルが強いということだ。
 
「そこと当たったら、私に金子さんのマークをさせてください」
と千里は言う。
 
「いいだろう。じゃ若生(暢子)が得点係だな。村山が金子君を抑えている間に若生が得点する」
と宇田先生が言うと、暢子の顔も引き締まる。
 
「それから宮城N高校は身長187cmの中国籍選手が入っている。ただし日本で生まれ育ったので外国人枠ではないらしい。胡(フー)さんという子で、この子がセンター。リバウンドはかなり熾烈な争いになる。ここと当たった場合、原口(揚羽)を出すぞ」
 
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「はい」
と揚羽が厳しい顔で返事する。N高で現在いちばんリバウンドを取っているのが揚羽である。
 
「花和(留実子)と2人交代でこの高さに対抗してもらう。ふたりとも20分間に全力投球で」
と宇田先生が言うと、留実子は静かに頷いていた。
 

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その日千里たちが試合会場に行くと、思わぬ顔がある。
 
「お疲れ様ですー」
と声を掛けてきたのは、N校男子バスケ部の昭ちゃん(湧見昭一)である。
 
「お疲れー。応援に来てくれたの?」
「うちの祖父が伊万里なんですよ。そこに顔を出すのを兼ねて今日は応援に来ました。初戦はたぶん勝つだろうと思ったし」
と昭ちゃん。
 
するとそのことばに暢子が昭ちゃんの首を抱きかかえるようにして突っ込む。昭ちゃんは女子と直接身体が接触して何だか恥ずかしがっている。
 
「ふむふむ。初戦は勝つと思ったって、今日はどうなると思った?」
「あ、えっと勝つと思いました」
「それでは今日勝てば、明日も応援だよな?」
「は、はい!」
「明日も勝てば、明後日も応援」
「当然です」
「じゃ、いつまで唐津にいるの?」
「あ、えっと決勝戦まで勝ち続けるだろうから、決勝戦までです」
「よしよし」
 
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ということで昭ちゃんはお祖父さんの所に顔を出す前に、インターハイにずっと付き合うことになってしまったのである。
 

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「だけど、ずっと泊まってたら宿泊費が掛かるんじゃない?」
と寿絵が心配して言う。
 
「うちの宿舎に一緒に泊めちゃいけないんだっけ?」
「女子と同じ部屋にはできないでしょ」
「昭ちゃんは女の子だよねぇ」
「え、えっと。。。」
「女の子の服を着せておけばいいよね」
「えーー!?」
 
すると南野コーチが助け船を出す。
「湧見君、ずっと応援とか偵察とかしてくれるなら、宇田先生と白石コーチ・教頭先生の部屋に泊まる? あそこベッドが1つ空いてるから」
「ああ、それならいいですね」
と寿絵は言うが
「えー?そんな首脳陣の部屋にですか?」
と昭ちゃんはビビってる。
「久井奈先輩の部屋も1つベッドが空いてるぞ」
と暢子。
 
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女子部員は36名で4人部屋単位で宿泊しているものの、留実子が南野コーチ・山本先生と一緒の部屋に入っているので、その関係で3人だけの部屋がひとつできているのである。
 
「宇田先生の所の方がいいです」
と昭ちゃん。
 
「じゃ、それで決まり」
 
「宿泊費は自費ですか?」
と寿絵が訊く。
「いや、湧見君もうちの部員だから、部費から出すから大丈夫だよ」
と南野コーチ。
 
それで南野コーチが会場の別の所にいる宇田先生に電話で連絡を取り、了承を得て、昭ちゃんの宿泊に関してはクリアされた。
 

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やがて試合開始時刻となる。整列して挨拶をし、握手などしてスターティング5がコートに散る。先発はPG.久井奈 SG.千里 SF.穂礼 PF.暢子 C.揚羽である。揚羽はリバウンド係だ。
 
ティップオフは宮城N高校が取って攻めて来る。シューターの金子さんには千里、長身の胡(フー)さんには暢子がマーカーで付く。残りの3人はゾーンを作っている。PGの若林さんが胡さんにパスしようとしたが、一瞬早くそのパス路に飛び出した暢子がカット。自らボールを押さえ、穂礼さんにパス。穂礼さんから久井奈さんにパスされて旭川N高校が攻め上がる。
 
向こうはマンツーマンで守っているが、ちょうど近くに居た人に各々マークについた雰囲気。こちらのことはあまり研究していないようである。揚羽の方を向いて振りかぶり、相手の注意がそちらに向いた次の瞬間、ボールは千里に飛んでくる。そこから即シュート。
 
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試合は旭川N高校の先制で始まった。
 

向こうが攻めて来る時は、金子さんに千里、胡さんに暢子がマークで付く。向こうがシュートした後のリバウンドは高確率で揚羽が押さえて穂礼−久井奈とパスでつなぎ攻撃に転じる。
 
向こうのマークは最初はたまたま近くに居た子が付くような雰囲気であったものの、やがて千里には金子さん、暢子にはスモールフォワードの小野寺さんが付く形で定着した。
 
金子さんは優秀なシューターだが、シューターだけあってシューターのマークもうまい。最初の内、千里のシュートをかなりブロックした。しかし千里が相手の意識の隙にすっと目の前から消えると、見失ってキョロキョロ探す場面がしばしばあった。むろんその間に千里は即スリーを撃っている。
 
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試合は旭川N高校優位の状態で進行した。
 

第2ピリオドでは揚羽に代えて留実子、久井奈さんに代えて雪子、穂礼さんに代えて夏恋を入れる。千里と暢子はそのまま出ている。向こうも適宜選手交代しながらやっているが、金子さんと胡さんはずっと出ている。
 
相手が攻めて来て、10番を付けたポイントガードの人からいったんコートインしたばかりの12番の選手にパスが渡った後のことであった。
 
千里が金子さんをマークして、ふたりそばにいるのだが、12番の選手が千里を見て、唐突にこちらにボールを投げてきた。
 
投げた瞬間「あっ」という声を出す。
 
千里も「え?」という声を出してボールを受け取ってしまった。
 
ユニフォームが似ているので間違ってしまったのだろう。
 
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「わぁどうしよう」という感じの顔を向こうの12番はしている。一瞬全員が凍り付いた。
 
すると千里はそのボールをそのまま真横、コート外に投げ捨ててしまった。
 

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審判の笛が鳴り、宮城N高校のボール。スローインから試合再開である。
 
お互い何も無かったかのようにプレイを続行する。向こうの14番の人がスローインして10番の選手にパスが渡る。そこからいったん反対側にいる人にパスが行き、そこから今度は金子さんへのパス。
 
しかし千里は一瞬彼女の前に身体を割り込ませてボールを横取りする。そして雪子へ即バウンドパス。それを雪子が取って攻め上がる。これが速攻になり、雪子はそのまま自らシュートして2点を得た。
 

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女の子たちのインターハイ・高2編(2)

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