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■桜色の日々・中学入学編(4)

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私の性別問題は一週間経ってもバレないままであった。私は平穏に女子中学生としての生活を送り、毎日放課後にはチアリーダーの練習をしていた。その間、体育の時間にはふつうに女子更衣室で着換えて、女子と一緒にバスケットやダンスをし、トイレはもちろん女子トイレを使っていた。
 
2週間目に家庭訪問があると聞いた時、ああ、ここでさすがにバレるかなと思った。
 
担任の先生は2週間目の金曜日に私の家にやってきた。最近の家庭訪問はプライバシーがどうのとかいうので、玄関先で済ませることになっているらしい。
 
「吉岡さんはちょっとお茶目ですが、授業中の態度も真面目ですし、委員会とチアリーダーにも積極的に取り組んでいて、頑張ってますね」と先生。「あら、この子、チアリーダーもやってるんですか?」と母。
「ええ。みんなから推薦されて張り切ってますね。小学校の時もしていたんでしょう?」
「あ、はい。そういえばやってましたね」
 
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「ご家族構成は?お兄さんかお姉さんか、おられます?」
「ええ。この子の上に兄が2人います。大学生と高校生ですが、大学生の兄は広島に住んでいます。この子はいちばん下で、男ばかりの兄弟だから自然とこの子がうちの中のことは手伝ってくれましてね。とても助かってます」
 
ここで母は「男ばかり3人兄弟」のつもりで言ったようであるが、先生の方は「私以外男ばかり2人の兄弟」の意味に取ったようであった。
 
「吉岡さんのお勉強の環境はどうなってますか?」
「それなんですよねぇ。奥の部屋を途中に衝立を置いて、上の兄2人が使っているのですが、この子には個室が無いんですよ。小さい頃から申し訳ないと思っていたのですが、なにしろ家が狭いもので」
「住宅事情は仕方ありませんよね」
 
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「この春にいちばん上の兄が独立したので、その後を使うかい?なんて話もしたのですが、兄さんが戻ってきた時に場所が無かったら嫌がるだろうし、自分の場所がない家には戻ってこなくなるよ、とこの子がいうものですから、そのままにしています」
「ああ、それは良いことでしょう」
 
「そういう訳でこの子はいつも居間とか台所で勉強しているんですよ。人がいない時は居間で、人がいてテレビとかついている時は、台所の方が集中できるといって、そちらで勉強しています」
「ああ、それは集中できる環境であれば問題無いと思いますよ」
 
「でも、こういう言い方すると、最近はセクハラだとか言われるんですが、吉岡さん、可愛いから、お母さんとしても将来が楽しみでしょう」
「そうですね。この子、たくましさとかは欠けてるけど、その分ちょっと可愛いところはありますね。性格も素直だし、私はけっこうこの子、頼りにしてます」
 
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このあたりの会話も先生は私のことを美人という意味で「可愛い」と言ったのに母は性格的な意味での可愛さととったようであった。母と先生の会話はそんな感じで、微妙にすれ違いながら、そのすれ違いにどちらも気付かないまま、過ぎていった。
 
そういう訳で、この日はまだ私の性別の件はバレなかったのであった。
 

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私の性別問題に担任の先生が気付いたのは、ゴールデンウィークの連休明け、正確には連休中であったようだ。
 
連休が明けてまた学校が始まるという日の少し前、先生は休日出勤してきて、連休前におこなった家庭訪問の結果をまとめていたらしい。その時、家庭訪問の際に付けていた議事録と、中学に入る時に提出していた家庭調査票を見ながら記録を整理していた。
 
その時、先生は気付いてしまったのである。
 
私の家庭調査票で、私の所の続柄に「三男」と書かれているのを。
 
へ?
 
先生は最初「三男」というのが誤記だと思ったようであった。
 
私は連休明けの昼休みに、面談室に呼び出された。
 
「ね、吉岡さん、君の家庭調査票を見ていたのだけど、君の続柄に三男って書いてあるんだけど、これって第三子ってのの書き間違いだよね?」と先生。
 
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「その記述は正しいです。私は確かに三男です」と私。
「え?でも、君、女の子だよね」
「それが困ったことに、私、戸籍の上で男になってるみたいなんです」
「えー!?」
 
先生は、小学校からまわってきた書類でもちゃんと性別が女になっていたのにと言うが、私はそれは6年の時の担任がのんびり屋さんで、最初間違って女となっていたのを、私の実態がこんな感じなので「まあ、いいか」という感じでそのまま女子の方に入れっぱなしにしていたためであると説明した。
 
「じゃ、君、男の子なんだ!」
「私本人としては、あんまり男の子のつもり無いんですけどねー」
 
「それで君、最初学生服を着ていたんだね」
「はい。こっち着なきゃいけないかなと思って。でも先生に女子制服を着なさいって言ってもらったから、これ幸いと、こちらに着換えました」
 
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「済まなかった。学生服を着ていてもいいから」
「うーんと。セーラー服は着ちゃだめですか?」
 
「君、セーラー服着てるほうが自然だもんね。学生服着ていた時は、男装している女の子にしか見えなかったよ」
「それ、友だちみんなから言われました!」
 
「君、でも声が女の子だよね。って、声変わりがまだなのか」
「たぶん・・・・声変わりはしないんじゃないかな、と思ってます。けっこう本人としては、万一声変わりが来たらショックだろうなとは思ってますが。一応こんな感じで男の子っぽい声を出す練習はしました」
 
と言って、私は小学6年生頃から少し練習していた「男声」に途中から切り替えて話してみた。
 
「確かにちょっと男の子っぽい声だけど、聞きようによっては女の子の声に聞こえるね。だけど、君、身体測定を女子と一緒に受けてなかった?」
 
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「そうですね。私の身体をお医者さんがふつうに見ても女の子としか思わないと思いますよ。私、小学校の修学旅行では女湯に入ったし」
 
「そこまで女の子になっているならセーラー服を着てもいいような気がするなあ。お母さんかお父さんかと一緒に話し合える?」
 
「むしろ私自身が親と話すほうがよほど大事(おおごと)になります。そんなにきちんとした形でなくてもいいですけど。私みたいな傾向の子には、しばしば、女子制服で通学できなかったら自殺を考えちゃうような、深刻に悩んでる子もけっこういると思うのですが、私って、あんまりそういうので悩まないたちなんです。さすがにいつも学生服で居ろって言われると、参っちゃうと思うんですけど『学生服着ておいて欲しいけどセーラー服着てもいいよ』くらいの感じなら、まあ何とかやっていけると思うんですよね」
 
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「なるほどね。じゃ、君の名前はいったん男子の方に戻していい?」
「仕方ないですね」
「体育はどうだろう・・・・君、身体はかなり女の子になってるみたいだしな。取り敢えず、今のまま女子のほうで授業受ける? そもそも体育は選択科目だからね」
「そうですね。体育は女子と一緒に受けさせてもらえると嬉しいです。私、男子と一緒には着換えられないし」
「あぁ、そうだろうね!」
 
「身体測定も女子と一緒に受けてもらったほうが良さそうだなあ・・・あれ?そしたら、そもそも名前は女子の方に入れたままにしておいた方が面倒がないか?」
「小学6年生の時の担任の先生も、そんな感じで、私の名前、ずっと女子の方に入れてたんじゃないかと思います」
「そういうことか! なんか僕もそうしたくなってきたよ」
 
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女性の先生に確認してもらった方がいいことも多いのではないかと言われ、保健室の先生と少し話をすることになった。
 
「あなた、全然男の子のようには見えないけど!」と言われる。
 
身体を再度チェックさせて欲しいと言われたので制服を脱いで下着姿になった。
 
「なで肩だよね。身体のお肉の付き方が女の子の付き方だし。ウェストくびれてるし。そもそも、おっぱいあるよね。どうやって、これ作ったの?」
 
「腕立て伏せしたり、バストマッサージしたり、ツボ押ししたり、それから納豆や豆乳とかのイソフラボンの多い食品をよく食べたりして育てました。というか今でも成長過程です」
と私は言う。
 
「それだけでそんなに大きくなるとは思えないなあ。ねえ、ホルモン異常とかがあったりしないかな。一度病院で診てもらう必要無い?」
「先生秘密守れますか?」
「生徒のことについて私は守秘義務があるよ」
 
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「ごめんなさい。本当は女性ホルモン飲んでいます。それから毎月○○医院で血液検査その他してもらっています。血糖値とかのコントロールきちんとしないといけないので。逆に毎月検査されると思うと、きちんとカロリーコントロールもできるんですよね」
 
「なるほど、ちゃんと病院で管理してもらっているのなら問題無いね。ホルモン使っていることは君が内緒にしたいのなら、私も誰にも言わないよ。でも、そしたら、男の子機能の方は?」
 
「私、実は今まで一度も射精というもの自体、経験が無いんです。自慰での射精もないし、夢精の経験もありません。そもそも私の陰茎って、小学5年生の夏以降一度も勃起していません」
「その時期から女性ホルモン飲み始めたの?」
「飲み始めたのは小学6年生になってからです。飲み始める前に病院で検査されたんですが、その時点で既に睾丸の機能は停止していると言われました」
 
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「機能停止が先なのね」
「たぶん小学3年生の12月に停止したんだと思います。それを象徴するような夢を見たので」
「そっか。それで声変わりもしてないのね」
「はい、そうだと思います。でもお医者さんからは、ひょっとしたら声変わりは起きるかも知れないから、そうなった場合の心の準備だけはしておきなさいと言われています。睾丸が停止している筈なのに、私、足の毛やヒゲは生えるし」
「うん。人間の身体は複雑だからね」
 

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保健室の先生は、私の身体はほとんど女の子なので、体育などは女子と一緒に受けさせたほうがいいし、水泳の授業では女子用水着を着せる必要があること、着替えも男子とは絶対に一緒にさせないことという意見を述べてくれた。
 
結局、担任の先生、学年主任、校長、教頭、生活指導の先生、体育の主任、女子の体育の先生、そして保健室の先生、といったメンツで会議をしたようであった。
 
その結果、私は体育は女子と一緒にさせるのが妥当ということと、女子更衣室や女子トイレを使ってもいいということ、そして制服については一応学生服を原則とするものの、実際には私自身の自主性に任せるということになった。私の髪の長さについても女子の基準を準用してくれることになった。
 
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私の名前は名簿上男子のほうに移動すると言われた。しかし図書室の端末で生徒手帳をスキャンして表示される生徒情報での性別は女のままであった。そのあたりはどうも曖昧な状態になっているようであった。
 

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翌日、私は学生服で登校してきた。
 
「ハル、どうしたの?」
「うん。先生にバレちゃった」
「あらあ、残念だったね!」
 
などという話を朝したのであるが、私は昼休みにセーラー服に着替えてしまい、午後からの授業はそちらで受けた。
 
「あれ?そっちの服を着たの?」
「うん。こっち着てもいいって言われたし」
「ちょっと待って。それじゃ、どうして午前中は学生服だったのよ?」
「あ、それは気分の問題」
 
「男の子の気分だったの?」
「まさか!コスプレしてみたかっただけ」
「ハルの学生服ってコスプレなのか!?」
「もちろん。私は女の子だし。まあ、原則学生服って言われたこともあるしね」
「ああ、なるほど」
 
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そういう訳で私は「一応」学生服に戻ったが、けっこうセーラー服も着ていた。
 
また出席簿は結局訂正されなかったので、私は授業で点呼される時は、やはり女子の最後で呼ばれたし、体育の時間にはふつうに女子更衣室でみんなと一緒に着替え、女子のほうで体育に参加した。
 
トイレもふつうに女子トイレを使っていた。最初学生服で女子トイレに入って行った時は
「わ、男子が入ってきたかと思った」
などと言われたが、
「なーんだ、ハルちゃんだったのか」
で済んで、そのまま待ち行列に並んで、みんなとおしゃべりをしていた。また、そもそも休み時間などには女子の友人と一緒に連れ立ってトイレに行くことも多かった。
 
「ハルちゃんって、いつ頃から女子トイレ使うようになったの?」と麻紀。「6年生の途中からだよね」と好美。
「うん。なんか友だちと一緒にトイレに入ったりすると、そのまま自然に女子トイレに入ることになったし。男子から『お前向こう行けよ』って追い出されたりもしていたし。実は4年生頃から男子トイレ使う時も個室を使うようになってたのよね」と私。
 
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「ああ、立ってはしなくなったんだ」
「私の、縮んじゃったから。今はもう立ってできないよ。小さすぎてズボンの窓から出せないんだよね」
「へー」
「小さすぎてじゃなくて、付いてないから、じゃないの?」
「私も気になってるんだよねー。だって着換える時に見ていても、付いてるようには見えないんだもん」
「こないだショーツの上から縦筋が付いてるの、私見たよ。だから、私ハルには割れ目ちゃんがあると確信してるんだけど」
「今度、ハルをまた解剖してみようよ」
「あはは、怖いなあ」
 
トイレだけでなく、体育の時間に着換える時も、私はしばしば男子制服のまま、女子更衣室に入って着換えていたし、放課後にはふつうにミニスカの衣装を着て、チアリーダーの練習をしていた。
 
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「ねえ、先生に性別がバレたってのに、あまり実態が変わってないじゃん」
と環から指摘される。
 
「そうだねー。学生服を着るようになっただけかな」
「でも、けっこうセーラー服ででも授業受けてない?」
「私の調査によると、ハルが校内で学生服を着ている時間は全体の16%にすぎない」
「調査したのか!」
「1日中セーラー服着ている日もあるよね」
「ずっとセーラー服のままでいればいいのに」
「まあ、家を出るとき学生服のほうがスムーズに出て来れる問題はあるんだけどね」
「いや、そもそもこの状態で家族にカムアウトしてないってのが信じられん」
 
「でも、ハルの学生服姿って、男装している女学生にしか見えないね」
と菜月にも言われる。
 
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「そうかな?」
「そうそう。むしろ女の色気が強調される感じだよ」
「あ、そんな気がする!」
 
そんなことを友人たちに言われると、また学生服もいいよね、などと考えたりする私であった。
 
なお、髪の毛は女子の基準で中学生らしい髪にしてと言われたので、私は6月まで髪を切らずに伸ばし続け、夏前にはふつうの女子の髪の長さに復帰した。行きつけの美容室の人からそれなら女子中学生っぽい可愛い髪型にしてあげるね、といわれて調整してもらった。
 
「あ、ハルが凄く可愛いくなってる」
「ますます、男装女学生になったね」
「こういう髪型なら、もう学生服を着ていても誰も男の子とは思わないね」
 
などと友人たちからは言われた。また、私の生徒手帳の写真は、最初わざと私服で写った写真を貼っていたのだが、先生から制服の写真にしなさいと言われ「どちらの制服でもいいですか?」と聞いたら「いいよ」と言われたので、髪の長さが女の子的な長さまで戻った頃に、セーラー服を着ているところを友だちにデジカメで撮影してもらい、自分で印画紙にプリントして学校に提出し、あらためて割り印をしてもらった。
 
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生徒手帳の性別欄は女と印刷されたままだったので、私は取り敢えず1年生の間は生徒手帳の上ではパーフェクトな女子中学生になった。そしてそうなってしまうとセーラー服を着ていないと本人確認に支障が出るので、定期券を買いに行く時などはいつもセーラー服を着るか、私服の女の子の服を着て行っていた。定期券にも私は13歳・女と印刷されていた。
 
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桜色の日々・中学入学編(4)

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