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■夏の日の想い出・超多忙年の夏(3)

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「それでさ。。。。今お腹の中にいる子の父親なんだけどね」
「うん」
「それが冬だって言ったら信じる?」
「え!?・・・・・・だって、私、生殖能力無い・・・・よね?」
私は言葉の途中で急に不安になり、質問みたいな形になった。
「あったら、びっくりだね」
「女の子同士でも妊娠するんだっけ?って、今、一瞬考えちゃった。
でも、私の子供なの?」
 
「そうなんだよね」
 
政子は妊娠の秘密を話してくれた。
 
「冬が去勢手術受ける前日、私たちホテルでHしたでしょ。8年前の6月」
「うん」
「あの時、Hしたあと冬が眠ってしまってから、私、自分のヴァギナの中の冬の精液をスポイトで吸い出したの」
「えー!?」
「あの時、私『これで妊娠したら奇跡の子だよね』と言ったでしょ」
「覚えてる」
「でも実際、あの時これで自分は妊娠する、という予感が凄くあったんだ」
「・・・・」
 
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「でもあの時点では妊娠できないじゃん。私もまだ大学1年で子供産むと学業に差し支えるし、それで子供産んだら絶対冬は認知したでしょ」
「もちろん」
「そしたら冬は戸籍を女性に変更できなくなっちゃう」
「それで・・・」
 
「可能な限り吸い出して、それをあの病院に持ち込んで、冷凍保存してもらったの。ついでに膣洗浄してもらって、事後避妊薬も処方してもらった」
「確かに、あそこは元々産婦人科だもんね。しかしよくそんな飛び込みで冷凍保存の依頼を受けてくれたね」
 
「男性側の同意があることが確認できない限り受けられないと随分言われたけど、事情があってこれが精子を保存できる唯一のチャンスだからと、必死でお願いして。受精させるまでには確実に相手の同意を取るからと言ったし」
「同意取ってないじゃん!」
「いいじゃん。冬も自分の遺伝子をつぐ子供、欲しくない?」
「・・・欲しい」
 
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「あの病院はあのあと潰れてしまったけど、冷凍精液は別の病院に引き継いでくれて、それを使ってちょうど8年後の6月同じ日に受精させたの。体外受精させた後、私の子宮に戻した。チャンスは1度だけだから受精卵2個入れてもらったんだけど、着床したのは1個だけ」
 
「分かった。その子、認知するね・・・・って、私、認知できるのかな?あれれ?」
「認知はしないで。できない気もするけど。これ私たち、ふたりだけの秘密にしよ」
「でも。。。。」
「認知しなくても、この子が冬の遺伝子を受け継ぐ子供だってことを覚えていてくれることと、この子をずっと可愛がってくれることだけ約束して欲しい」
「約束する。でもこの子には父親のこと、なんて言うつもり?」
「父親はいない。でも母は私と冬のふたりだって言うつもり」
「じゃ、マーサはお母ちゃん、私はママ、とかでは?」
 
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「千里んとこの京平君が、ママとお母ちゃんって呼び分けていたね」
 
「そうそう。でもあれは元ネタは昔あった少女漫画なんだって。夫婦が離婚して、旦那が別の女の人と結婚して、それで旦那のもとで育てられてた女の子が、自分の実の母親のことをお母ちゃんと呼んで、新しい母親のことはママと呼んでたんだよね。お母ちゃんにもママにも、ちゃんと可愛がってもらってたのだけど、子供としては何とかして呼び分けないと混乱するしね」
と私は説明する。
 
「その呼び分け、いいかも知れないな。この子に推奨しよう」
と言ってから、ふと悩むように言う。
 
「でも京平君は実の母の阿倍子さんのことをママと呼んでたよね?」
「京平の実の母は千里だもん」
「うっそー!?」
 
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「千里は戸籍が出生時男だったから、法的には子供を産んだことにできない。それで阿倍子さんを母親として届けたんだよ」
 
「ちょっと待って。ほんとに千里が産んだの?」
「あれは説明するととても複雑なんだけど、実はそう」
「だったら、冬にも子供が産めるね?」
「それは無理だよぉ」
 

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「マーサのお腹の中の子は、性別は分かってるの?」
 
「うん、女の子だよ。私、名前も決めちゃった。絶対この名前だと思うものを思いついちゃったの。それにしていい?」
「いいよ。産む人が決めていいと思う」
「あやめ、っていうの」
 
「あやめ・・・・・・」
「どうかした?」
「ううん。ちょっと昔不思議なことがあったなと思って」
 
私は8年前の9月に宇都宮のデパート(今ではもう潰れてビルも建て替えられ、まるごと大型書店になっていたが、8階に特設ステージがあり、今でもミニコンサートが頻繁に行われていた)で体験した、不思議な出来事のことを語った。
 
「当時は幽霊でも見たのかと思ったんだけどね。デパートって結構あるし」
「へー。それ、未来の冬自身とこの子とに出会ったんだね」
「今にして思えばそんな気がする」
「あやめちゃん、可愛かった?」
「可愛かった。きっと美人になると思った」
「そうなるといいね」
「私たちの子供なら、歌うまいよね、きっと」
「歌手になるかもね」
「あ、私たち既に親馬鹿」
「ふふふ」
 
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「あれ?そういえば」
「ん?」
「昔、占い師さんに運勢観てもらった時に、私、27歳の時に子供ができるって言われたんだった。20歳の時だよ、観てもらったの」
と私は言った。
 
「へー」
「その時は、私子供産めないからなあと思ったんだけど、まさかこういう展開になるとは」
「凄い占い師さんだね」
 
「ああ、でもマーサのお母さんからも、この子の父親のことで聞かれたんだけど」
「誰にも言わないよ、私。冬は当事者だし、私と冬の仲だから話しただけ」
「分かった。私もマーサから聞いたけど、言わないと答えることにする。でも不倫ではないと言って安心させておきたいな。お母さん、それを心配していたから」
「まあ、ふつう父親の名前を言えないていったら、不倫のこと考えるよね」
「それか、本人にも分からないケースとか」
「あはは。私、そこまでは乱れてないしな」
「あと、相手が宮様なんてケース」
「そういう方面のお付き合いは無いし」
 
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「上島先生では無いって直筆FAXまで出したのに、世間ではまだ上島先生を疑ってる書き込みとか見るね」
 
「私、上島先生の奥さんのアルトさんにも電話してお騒がせして申し訳ないが、天に誓って先生とは浮気などしてませんし、この子、上島先生の子供ではありませんから、って言ったよ。奥さんは笑ってたけどね。平気、平気。大きな声ではいえないけど、先生、隠し子が3人いて、みんな母親が別々だって」
 
「あ、隠し子の話は私も奥さんから聞いてた。ナイショよって」
「あの奥さんもおおらかだよね。でも夫の浮気を受け入れられるって凄い」
 
「以前は色々あったよね」
「あの時は本当にアルトさん泣いてたもんね」
 
それは2012年の春にアルトさんが1ヶ月ほどの長期の家出をした時のことである。上島先生とアルトさんの危機は以前にも1度あり、その時は雨宮先生と千里がうまくお膳立てして修復の機会をあげたらしい。
 
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「でも隠し子さんたち、今回の騒動で先生からの養育費の送金が止まって、困ってるんじゃない?」
「私が代わりに送ってる。ただし生活に最低必要な程度のお金だけど」
「え?」
「前に隠し子のこと聞いてたから、養育費の件心配してアルトさんに電話した。それで私が少額しか無理だけどそれでもよければ1年間送金したいと言ったら、送り先教えてくれた。先生に言っても絶対教えてくれないと思ったからアルトさんに連絡したんだけどね。でも後で先生本人から電話掛かってきて、ほんとに助かる。この恩は一生忘れないとか言ってた。でも、私がこれまで先生から受けてきたご恩にくらべれば大したことありませんと答えた。隠し子の母親たち3人からもお礼の手紙や電話もらった」
 
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「私がアルトさんに電話した時、ケイさんにもよろしくって言われたんだけど、そういうことがあってたからなのか」
「ふふふ」
 
「でも・・・冬って、ほんとに代役ついてるんだ」
「まあね」
 

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8月、私は、ある人物から
「内密に話がしたい」
という接触があったので、忙しい中、豊橋!で密会した。
(密会といっても変なことをした訳では無い)
 
「ごめんね。忙しいのに呼び出して」
と松山貴昭は言った。
 
「ううん。実はそちら揉めてないかと心配してた」
と私は言う。
 
「実は揉めてるんだよ!」
 
松山君の奥さん・露子さんは、政子とかなり熾烈な争いをした末に、政子が男性俳優から熱烈な求愛をされたのが報道され、松山君が動揺している隙を狙って、彼と婚約してしまった。
 
政子は一応松山君のことについては撤退することを彼に告げたものの、露子さんとしては、その後もずっと政子に対して警戒していたようである。
 
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それで、今回の報道が出て、しかも政子が父親の名前を明かさないというので露子さんは、それは松山君の子供なのではと疑っているというのである。
 
「どうしたらいいものかと思って」
と松山君は本当に困っているようである。
 
「奥さんに言いなよ。政子のお腹の中の子供のDNA判定をするからって。それで松山君との父子関係が科学的に否定されれば、露子さんも納得するでしょ?」
と私は言った。
 
「DNA鑑定って生まれてからだよね?」
「胎内にいる間でもできるよ」
「子宮内に針とか指して胎児の細胞を採取するの?」
「そんな恐ろしいことはしない。妊娠中は、胎児の細胞がお母さんの血中にも混じるから、それで鑑定できるんだよ」
 
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「そんなことができるんだ!」
「だから松山君は、口腔内の粘膜とかで、細胞を提供してもらえばいい」
「うん。それは今すればいい?」
 
「ちゃんと裁判所とかにも提出できる公式の鑑定をした方がいいと思う。鑑定会社に依頼するから、そこから連絡があったら、立会人さんと一緒に病院に行って、採取に応じてもらえばいい」
 
「分かった。その手続き進めてくれない?鑑定費用は僕が払う」
「了解」
 
それで鑑定の結果、松山君との父子関係は否定され、松山君の奥さんも松山君に疑って悪かったと言ったのである。
 

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ローズ+リリーのデビュー10周年全国ツアーはローズ+リリーが生まれた日である8月4日から始まり、メジャーデビュー日の9月27日まで全国24ヶ所で実施された。
 
産休前最後のコンサートになることから、コンサートが予定通り実施されることが発表されると、チケットは全会場とも即ソールドアウトした。ソールドアウトした後も問い合わせがあまりにも凄かったため、一部の会場で日程を追加したり、大きなキャパの会場に変更したりもした。それで20ヶ所の予定が結局24ヶ所になった。
 
そしてこのツアーにあわせて発売したシングル『お嫁さんにしてね』(今年春に発売したアルバム『郷愁』からのシングルカット)はローズ+リリー初の(公式)ダブルミリオン・シングルになったのであった。この曲は後に結婚式の定番ソングとしても定着していくことになる。この曲が発売された時にレコード会社が付けたキャッチフレーズは
 
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『婚約したケイ、出産するマリ、があなたに贈るラブソング』
 
というものであった。
 
そのキャッチフレーズを見て私と政子は「でも結婚が抜けてるね」と言って笑った。
 
★★レコードの町添専務は
「僕、7年前に君に27歳になったら結婚や出産してもいいと言ったけど、ふたりとも実行するんだから参ったね」
と笑っていた。
 
むろん商売人なので、町添さんはローズ+リリーにブライダルやベビーをテーマにしたミニアルバムの制作を打診し、私は笑って快諾した。シングルがダブル・ミリオンを達成した余勢で、このアルバムも発売前の予約が40万枚も入った。そして発売された後は「胎教にいい」なんて噂まで流れて、売れに売れた。
 
実際、妊娠中の政子がとても秀逸な歌詞を書いたので、私も刺激されて自分でもかなり良い出来の曲を付けることができた。氷川さんは
「このアルバム収録曲を全部シングルカットして発売したい」
などと言っていた。
 
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夏の日の想い出・超多忙年の夏(3)

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