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■夏の日の想い出・ラブコール(28)

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女子寮にやってきたさくらに、ゆりこは
 
「土日はこちらに泊まってもいいよ。そもそも君のために女子寮の部屋は用意していたし」
いったが、さくらも
 
「それもいいかなあ」
と言って、本当に女子寮2階のひとつだけ空いている部屋に泊まっていた。寝具や最低必要な日用品は、寮母の天羽さんが、あかり・ひかり姉妹に頼んで、部屋に入れていた。
 
「ちんちん、もう無いんでしょ?女子寮にそのまま住めば?」
と薬王みなみから言われるが
 
「まだついてるよー」
とさくらは言っていた。
 
「でもこないだ女子水着になってた時はお股には何も無いように見えたよ」
 
さくらは、あけぼのテレビの水泳教室の番組にも出て、女子水着で畳の上の水練をしていた。彼女はマジで泳げないらしい。小学校時代、男子水着になるのが嫌で、水泳の授業を全部見学で通したからという。男の娘にはこういう子が結構居る。
 
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「ちっちゃいから、アンダーショーツ穿けば目立たないんだよ。セレンさんやクロムさんだって、目立たないでしょ?」
 
「睾丸は取ってるよね?」
「それも18歳になるまではダメってお父ちゃんから言われてる」
「それでこっそり取ったんだ?」
「取ってないって」
 
でも胸が結構あるのはあらためて確認されていた。彼女も胸は本物であることを認めていた。男性能力が既に消失していることも認めていた。
 
「男性機能が無いのなら女子寮に住んでいいと思うなあ」
「まだ女子中学生する自信ないから」
「既に女子中学生になっている気がする」
 
(セクハラっぽいけど、本人はこういうこと言われて喜んでいる。女の子らしいと言われるのが嬉しいのである)
 
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それで9月30日から『12 monthes of I Love you』の制作を始めた。
 
実はアルバム『十二月(じゅうにづき)』のタイトル曲として用意していた曲なのだが、
 
「十二月(じゅうにづき)はきっちり十二曲で完結したほうがいいと思う」
 
というマリの意見で収録を見送った曲である。
 
スティービー・ワンダーの大ヒット曲『I just called to say I love you(僕は君に「好きだ」というためだけに電話したんだ)』(*4)を少し意識している。あの曲では季節のイベントを多数あげて、そういうイベントはあるけど、僕はイベントのためではなく、君に好きだと言うためだけに電話したんだと歌っている。
 
1月:新年
2月:ヴァレンタイン
3月:春の初め
4月:4月の雨
5月:花が咲く
6月:ジューンブライド
7月:暖かい7月
8月:名月
9月:秋の風・太陽が天秤座に入る
10月:落ち葉・ハロウィン
11月:鳥が南へ帰る・感謝祭
12月:クリスマス
 
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(*4)日本では全く意味不明の『心の愛』という邦題で発売された。洋楽の邦題には本当に、なぜだぁ?と思うものが多い。
 
メリー・ホプキン「懐かしき日々」→「悲しき天使」
(元々はロシア歌謡「長い道」。フランスでは「花の季節」というタイトルがつけられ、日本ではこのタイトルでも知られている)
 
ガゼボ「私はショパンが好き」→「雨だれはショパンの調べ」
 
バグルス「ビデオがラジオのスターを殺した」→「ラジオスターの悲劇」
(まあ意訳として許せる範囲?)
 
ミレイユ・マチュー「さよならを言わずに人は生きて行かない」→「悲しみのソレアード」
(ソレアードって“晴れ”(soleado)のこと??)
 
ニコレッタ「あなたを決して忘れることはできなかった」→「再会」
(まあ再会した時のセリフかも?)
 
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ミッシェル・ポルナレフ「おばあちゃんを殺したのは誰?」→「愛のコレクション」
(全く意味不明)
 
ビートルズ「君の手を取りたい」→「抱きしめたい」
(まあ、手を取ったら次は抱きしめてキスして***したいかも)
 
ビートルズ「ノルウェーの木材」→「ノルウェーの森」
 
(これは純粋な誤訳だろうと言われている。Norwegian Wood で単数形の wood には“森”という意味は無い。だいたい歌詞を読めば森なんてどこにも出て来てないことが分かる。彼女の家に行ったら壁とかが当時流行のノルウェー産松材でできていたという話である。でも結局彼女はさせてくれなくて主人公はバスルームで寝るハメになる(だから副題は「鳥は逃げた」)。この歌はレノンの浮気を皮肉ってポールが書いた歌で "Norwegian Wood" は実は "knowing she would" (彼女はやらせてくれるだろうと思って)の隠し言葉と言われている。“スケベ”を"Skip Beat" と表記したようなもの)
 
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フランク・ミルズ「オルゴール・ダンサー」→「愛のオルゴール」
(まだマシな部類?)
 
リチャード・クレイダーマン「アデリーヌのバラード」→「渚のアデリーヌ」
(なぜ渚?)
 
リチャード・クレイダーマン「子供の頃の想い出」→「愛しのクリスティーヌ」
(どこからクリスティーヌちゃんが・・・)
 
ビンボ・ジェット「エル・ビンボ」→「オリーブの首飾り」
(ビンボということばの意味は不明。メキシコにビンボという食品会社があるので、そこから取った??この食品会社の名前の由来も不明らしい:そういう単語は存在しないが「男の子」という意味かも?という説もある。それならEl Bimbo は The Boyという意味なのかも。どっちみちオリーブとも首飾りとも無関係)
 
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ポール・モーリア「アンナの歌」→「天使のセレナーデ」
(アンナとは「アンネの日記」で知られるアンネ・アランクのこと)
 
ポール・モーリア「ペネロペ」→「エーゲ海の真珠」
(ベネロペは単に女性名と思われる。モーリアには「フェリシダ」という作品もある。そちらの邦題は「海辺のフェリシダ」。なぜ“海辺”を付けたのかは不明)
 

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ローズ+リリーの今回の楽曲ては、メロディーを12個の楽器がリレーで演奏して行くという趣向をとっている。
 
1月:Trumpet
2月:Trombone
3月:Flute
4月:Clarinet
5月:Pipe Organ
6月:Ac.Guitar
7月:El.Guitar
8月:胡弓
9月:Violin
10月:Marimba
11月:18金鉄琴
12月:Piano
 
18金鉄琴(金琴?)は雨宮先生所有の楽器をお借りした。高価な楽器で、移動させるのが恐いので、先生の御自宅で録音している。弾いたのは月丘さんであるが、初めて見る楽器だし、高価なものという意識があるので緊張していた。
 
パイプオルガンは、北海道きららホールのオルガンの音色を録ったが、これは山森さん(今回唯一の参加)にHonda-Jetで丘珠空港に飛んでもらい、入れてきてもらった。ホールは6時間借りて、録音自体は1時間で終わったのだが、残りの時間、ひたすら弾きまくっていたらしい(高額の借り賃の元は取れたと思う)。
 
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胡弓は風帆伯母である(今回唯一の参加:出番はまだかと5回くらい電話してきた)。
 
愛知県内の知り合いの音響技術者に頼み、若山民謡教室(≒§§ミュージック東海研修所)内のスタジオで収録してもらった。
 

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MVでは、各々の季節の中で撮ったカップルの映像を12個並べている。これは実は『十二月』で使うつもりで、2018年の夏頃から2019年夏に掛けて全国で撮影している。出演しているのは全国各地で、そのご当地のモデルクラブなどに所属していた人たちである。今回、その各々のモデルクラブに連絡し、遅くなったが、あの映像を使っていいかと確認して、再利用することにした。ただ7月の映像を撮ったカップルの女性側がその後、歌手デビューしていたことが判明し、(先方は使っていいとは言っていたものの)その映像だけ今回、撮り直すことにした。
 
出演してくれたのは、西宮ネオンと奥さんで、奥さんはこういう映像には初登場になる(美人さんである)。撮影は、前回のビデオを撮ったのと同じ、八景島シーパラダイスで撮影している。
 
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「マーサは退院後、大輔さんと会った?」
と私は訊いてみた。政子はたまに出かけても、S3丁目駅近くにある自分のお店(マリベーカリー)でパンを買って、ついでにサワークリーム食パンで専務さんや滝沢小鞠ちゃんなどとおしゃべりしてくる程度である。
 
政子は1人で出かけさせるのは危ない。「気付いたら壁にぶつかってた。車が動かないんだけど、どうしよう?」とか「今釈迦堂パーキングエリアという所に居るんだけど、どうやって帰ればいいんだっけ」なんて電話が掛かってくる。それで、たいてい竜木マネージャーやハルちゃんなどに運転をお願いしている。彼女たちにはマリがデートするようだったら、そのまま連れて行ってあげてと頼んでいるが、実際には2〜3時間で戻ってくるので、デートまではしてないようである。
 
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「大輔とは会ってない。2度電話しただけ」
と政子は答える。
 
2度しか電話してないのは、男性に対して淡泊な政子らしい。政子は基本的に男性から言い寄られると受け入れるが、自分から男性に対してアクティブになることはない。結婚秒読みだったはずの松山君を横取りされたのも、そういう消極さがあったと思う(でも松山君とはいまだに時々会ってる気がするけど!?彼の子供の写真持ってるし)。
 
「会いに行かなくていいの?」
「会わない。もう別れたから」
「嘘!?」
「でも夏絵はもうしばらく預かる」
「そうなの?」
 
「良輔さんが退院したらたぶんしばらく実家で療養するだろうからさ。大輔の数倍、あの人危ないじゃん。だから年内くらい頼むとお母さんから言われた」
 
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「そういうことなら分かる。預かってあげた方がいい」
と私も言った。
 
なお大輔自身はもう自分のマンションに戻ったらしい。
 
「私と別れたから後はご自由にと言って、テンガ10箱とマールボロ10カートン贈ってあげた」
 
「それは割といい親切かも知れない」
と私は言った。
 
彼が感激して政子に再アタックしてきたりして!?
 
「ついでに丸山アイちゃんからもらった無痛去勢機(*5)も同封した。煩悩とおさらばしたかったら、これ使ってねと書いといた」
 
「危ないものを贈るなあ」
 
(*5)昨年アイが自己所有のマンションを退去売却して城崎綾香のマンションに同居することにした時、“ガラクタ整理”といって怪しげな発明品を知人に配ったもののひとつ。千里は
 
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「冬、去勢したくなったら、アイちゃん製のはやめといた方がいい。無痛って大嘘で切断した後で麻酔が打たれる不思議仕様だから。代わりに私の友人が作った奴をあげるよ。こちらは本当に無痛だから」
 
と言っていたが、私は睾丸は持ってないので不要と言って遠慮した。しかし切断した後で麻酔打つってなぜ??SMの人向けの仕様???
 

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私が大輔とのこと絡みで、松山君(政子の元彼)のことを考えていたら、その当の松山君から連絡があったので、私は驚いた。
 
人目につくのはまずいが、コロナの折、密閉された所では会いたくないので、結局私は彼と深夜の双葉SA(中央道)で密かに会ったのである。各々自分の車でここにアクセスする。ここはスマートICも併設されているし、上下線のSAの間を歩いて行き来することができる。
 
「本当は政子に頼もうかとも思ったんだけど、妻を裏切ることになる気がして」
と彼は前置きをした。
 
「実はお金を貸して欲しい」
 
私は驚いた。彼はお金に関しては堅実な人だ。そもそもこういうことを言ってくるような人ではない。
 
私は基本的には友人にはお金を貸さないポリシーである。お金の貸し借りは絶対に人間関係を破壊する。これまで貸したのは、事務所からの独立問題で困っていたXANFUSに貸したのと、友人の中絶費用が無くて困っているという桃香に貸したのくらいである。
 
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「理由を教えて欲しい」
「実は、妻が癌で」
「うっ」
 
「治療費に物凄いお金が掛かる。もう貯金も使い果たしてしまって。銀行やクレジット会社からも借りられるだけ借りたし。自分の親からも彼女の親からも200万くらいずつ借りてて」
 
「いつからそういうことになってるの?」
「去年の春頃から、何か調子悪いみたいではあったから、病院行ったら?と言ってたんだけど、病院行くのはコロナに感染するのが恐いと言って」
 
「うーん・・・」
「実際、いつも行っている近くの総合病院で院内感染のクラスターが発生して入院患者が30人も死んだんだよ」
「わぁ」
「コロナとは関係無い病気や怪我で入院していた人が大半だった。それでよけい病院に行くのを怖がったみたいで」
「それ、他の病院にでも行くべきだった」
 
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「今になってみればそう思う。今年の1月、仕事先で倒れて。それで職場の近くの大きな病院に運び込まれて。それで癌が分かった。かなり進行しててあちこち転移してて、余命半年と言われた。本人には言ってないけど」
 
「嘘!?」
 
「保険外の治療をしてもらってる。1回100万掛かる治療を毎月1回している。それでまだ何とか持ちこたえているのだと思う。それ以外にもかなり高価な薬を使っている。それでお金が無くなってしまって、子供たちの世話をベビーシッターさんに頼んでるし、それもお金が掛かって」
 
「子供は・・・4歳と2歳だったっけ?」
「よく覚えてるね!」
 
「その年齢ではお世話する人がいないと、どうにもならないね」
「そうなんだよ。放置して会社に行く訳にもいかないし」
 
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ということはかなり長時間、お世話を頼んでいることになる。保育料もかなり掛かっているだろう。保育所では送り迎えができないし。松山君の両親は東京だし、奥さんの実家は鹿児島県の離島・甑島(こしきしま)である。妹さんがいたはずだが、確か結婚して子供もいたはずだ(佐野君が言ってた)。動くことはできない。お母さんとかは長年島で暮らしている人だから、多分都会の生活は無理だ。しかもコロナリスクが高い。となるとベビーシッターさんというのが最も現実的だ。
 
「保険とか入ってなかったの?」
「保険の給付も使い切った。実は妻には保険があるから大丈夫と言っているんだけど。もうこの先、どうしようと思って」
 

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私は言った。
 
「明日にも取り敢えず1000万振り込む。それでクレカとかのローンをまず返済しなよ。それ返せないよ」
「うん。もう返せない気がしてた」
「足りなかったら、いくらでも貸すから。私にいつでも言って。それで奥さんに最高の治療をしてあげて。私への返済のことは考えないで。とにかく奥さんのことだけ、今は考えて」
 
「済まない。本当に済まない」
 
「あと、子供たちには充分食べさせて、本とかDVDとかおもちゃも買ってあげて。お母さんが入院してたら、凄く不安だろうし、おもちゃとかビデオがあればだいぶ気が紛れるよ」
 
「助かる。そしたら・・・もし可能だったら2000万貸してもらえたら。実はクレカの借金だけで1000万円超えてて」
 
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それ毎月の返済額が給料を上回ってないか?多分完全な自転車操業状態だ。
 
「じゃ明日2000万振り込むよ」
 
「ありがとう。本当に申し訳ない」
 
彼は泣いて感謝していた。このことは政子には言わないで欲しいと言うので、それも言わないことを約束した。
 
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夏の日の想い出・ラブコール(28)

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