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■夏の日の想い出・瑞々しい季節(8)

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その日の夕方のテレビ番組『そっくり・とっくり・びっくり』は凄い視聴率になったようである。番組は有名人のそっくりさんが出てきて、何か芸をしてみせ、タレント審査員さんたちに点数を付けてもらい、優勝者には豪華な賞品が当たるという仕組みである。(最後はダーツなのでうまく行けば海外旅行や宝石などがもらえるものの、ダイソーで買った『とっくり』になる場合もある)
 
なお出演者は美容整形などで似せているのではないことを、直前に美容外科の医師の診察を受けてチェックされることになっている。
 
この日は安倍総理のそっくりさんに始まって、女優・天見信子のそっくりさん、演歌歌手・吉野鉄心のそっくりさん、などと続く。途中、谷川海里のそっくりさんが出てきて、かなり上手い歌を披露したのがどうもチャンネルを替えられるの防止という感じもあった。そして最後に出てきたのが、事前にネットで情報が流れていた通り、アクアのそっくりさんである。
 
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その子は『ねらわれた学園』で高見沢みちる役をしたアクアが着ていたのと同じようなセーラー服を着て出てきた。
 
アクアの最新ヒット曲『眠る少年』を歌う。その歌い方がとっても可愛い。本家より可愛いくらいだが、まあ本家は男の子なので仕方無いところだ。
 
歌い終わった所で大きな拍手がある。歌はまあまあである。音痴ではないが、アイドル歌手として売るのにも辛い程度の歌である。
 
近寄って来た司会者の《先割れフォーク》のマツ也とスキ也が彼女を紹介する。
 
「秋田県から来た、尾崎マリヤちゃんである」
 
本人がお辞儀をし、また拍手がある。
 
「でも君、可愛いね!」
「歌もうまいし。俺、嫁さんにしたい」
「ありがとうございます。お嫁さんはパスで」
 
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「あんた、ハルラノ桜のそっくりさんだっけ?」
とマツ也から訊かれてスタジオが爆笑になる。本人は困ったような顔をしている。
 
スキ也が
「何言うてんねん?アクアちゃんのそっくりさんだよね?」
とフォローするので
 
「はい、そうです」
とその子は答える。
 
「その衣装はどうしたん?」
「通販で買いました。ほぼ同じような感じのを売ってるんです」
 

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そのあと少し会話してからマツ也が腕を組んで考えている。
 
「ところであんたの性別は?」
「男です」
 
「え〜〜〜〜〜〜!?」
という声がスタジオに響く。これは台本ではなく本当にスタジオ見学者や出演しているタレントさんたちを驚かせたようである。
 
「じゃ、あんた***付いてんの?」
とマツ也。***の部分は編集で消されていた。
 
「付いてます」
「声は女の子みたいな声やね?」
とスキ也。
 
「発声法ですよ。私、女声で歌った歌をたくさんkoebuとかニコ動に投稿してますよ」
 
「凄いね。去勢してる訳じゃないのね?」
「去勢しようかどうか随分迷った時期もあったんですけど」
「今からでも遅くないで」
「うーん。でも手術代高いんですよ」
「女装するのは好きなの?」
「好きです。よく女装外出してます」
「女の子になりたいんだっけ?」
「それは男のままでいたいんですよ」
 
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「あれ?マリヤというのは芸名?」
「本名です。本当は鞠矢、鞠つきの鞠に、弓矢の矢と書くんです」
 
「なるほど。漢字で見たら男名前だね」
「女装する時はカタカナにして。私けっこうカタカナのマリヤで通してるんですよね〜」
「この髪は?」
「すみません。ウィッグです。この長さで学校に行ったら叱られるので」
「自分は女になりたいから伸ばしますと宣言すれば?」
「それやると数年以内に性転換手術受けることになっちゃいそうで怖いです」
「受ければいいやん。女になったら嫁さんにしてやってもいいで」
 
「ほんとですか?」
 

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プロデューサーから「そのやりとりはやめろ」という指示があったようで話題を変える。
 
「でも歌がうまければいいのにね」
「すみませーん」
「この可愛さで歌もうまかったらアクアと入れ替わってもバレん」
「私、音楽の成績、いつも1とか2ばかりでした」
「まあ、この歌じゃ仕方無い」
「それを除けば本人より可愛い」
 
などといったやりとりがあった上で
「それでは採点を」
となる。
 
結果は審査員全員が10点をつけ満点で今日の優勝者となった。
 
それでダーツに挑戦する。今日のダーツの最高商品はフロリダ・デイズニーランドへの旅だったのだが、マツ也がマジックを持って来て
 
《タイへ性転換手術の旅》
 
と書き換えてしまう。
 
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「え〜!?」
と本人は困ったような様子。
 
「ここに当たったら、潔くタイに行って身体治してきなさい」
 
「うーん。じゃ当たったら潔く行ってきます」
「よし」
 
それでダーツを投げるが、ダーツは見事に《とっくり》に当たり、ダイソーで買ってきた100円の徳利を渡されていた。
 
「あんた未成年だっけ?」
「お父さんにあげます」
「だったらいいか」
「性転換手術代は大人になってから自分で稼いで貯金して」
「貯金してチョッキンしてもらう訳ね」
 
などと最後は使い古されたジョークで締めていた。
 

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「あんなそっくりの子が出てきたら、ボクお役ご免になっちゃうんじゃと、ひやひやしながら見てましたよ」
 
と翌日ちょうど§§プロからの書類をお使いで持って来てくれた西湖が言っていた。
 
「あの子、背が高いからね」
とPV撮影の現場に立ち会っていた私は言う。
 
「そうらしいです。聴いたら172cmあるんですって」
「だったら156cmのアクアのボディダブルにはなれない」
「そうですよね。でも去年の1月に『ときめき病院物語』の撮影が始まった時はアクアさんが155cm, ボクが153cmだったんです。今はアクアさんが156cmでボクが158cmで」
 
「2cmの差なら問題無いね」
「でもこれ以上ボクが成長しちゃうと代役は務められなくなっちゃいます。アクアさんは身長伸びないのかなあ」
 
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「アクアは去勢してるんだから、もう身長は伸びないと思うよ」
と政子が言う。
 
「アクアさん、いつの間に去勢したんですか?」
「西湖ちゃんも去勢するといいよ」
 
「えー?どうしよう。悩んじゃう・・・」
 
と西湖はマジで悩んでいたので、彼が帰った後で、私は事務所に電話して西湖がアクアの生殖器のことで誤解したような気がするので、早まったことをしないように気をつけてあげてと田所さんに伝えておいた。
 

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6月下旬に北海道のラベンダー畑を見に行ってチェリーツインの陽子・八雲に会った後東京に戻ると、私は八雲たちから言われた『夏の少年・冬の少女』をはじめ他にもいくつかの曲のスコアを起こしてくれないかと博美に電話して頼んでみた。すると
 
「やるやる!」
と言って彼女はマンションに飛んできた。
 
「いやあ、最近ヒマをもてあましていて」
「そんな気がした」
「結婚するからといって早く退職しすぎたかなあと反省している」
「いや、それは辞められる時に辞めておかないと、いざなると仕事の区切りが付かなくて辞められなくなっちゃう場合もあるから」
「そうだよね!」
 
博美は私や政子の大学時代の友人で、大学を出てから都内の企業に就職していたのだが、昨年末に彼氏からプロポーズされ、結婚することを決めてその準備のためこの3月いっぱいで会社を退職した。2年間お仕事をしたことになる。
 
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「Cubaseは使ったことあったっけ?」
「勉強する!フリーのMIDI入力ソフトなら使ったことあるんだけど、そういう本格的なのはやったこと無かった。ガイドブックとかあるかな?」
「ガイドブックよりここのサイト見ながら勉強した方がいい」
と言ってURLを教えてあげる。
 
「バンドスコアとかが読める人なら、使い方自体は3日もあれば覚えられると思うから、それで最初は適当な唱歌か何かをポップロックに編曲しながら入力してみるといいよ。実際に何度か試行錯誤しておかないと、なかなか要領がわからないんだよね」
 
「ああ、ソフトってそういうもんだろうね」
「最初は一週間くらいかけて作ったデータを全部廃棄して、新たに入力し直してみたいな試行錯誤をすることになると思う」
「やりそう、やりそう」
 
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「音はCubaseに内蔵されている楽器でかまわないから。作ってもらったMIDIをそのまま製品に残すわけじゃなくて、あらためて生バンドで演奏するから。実際、MIDI作りの時に、楽器の音にこだわりはじめると、それだけで一週間飛んでしまうからさ」
 
「ああ、ありがち」
 
「このスコア起こすのは7月いっぱいまでに仕上がればいいから」
「了解。頑張る!」
 
私はその場でCubaseの最新版をダウンロードしてアカウントを1個買い、博美の名前で登録して、取り敢えず手持ちのキーボードも1個貸した。
 
「少し慣れた所でキーボードは自分の好みのを買えばいいよ。その費用もこちらの経費で落とすから」
 
と言っておいた。
 

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アクアが出演(主演ではない)している『ときめき病院物語II』の放送は6月で前半が終了し、7月からは後半に入る。撮影の方は昨年はいろいろ予定外の事態が発生して8月いっぱいまで掛かったのだが、今年は順調に進んでいるので予定通り7月いっぱいでクランクアップの予定である。8月からは『時をかける少年』(仮題)の撮影が始まる予定である。
 
物語は昨年の放送ラストシーンで研修医前山(倉橋礼次郎)が新人看護師峰子(沢田峰子)に告白して「はい」と峰子が答え、ふたりがキスした所を受けて今シーズンではふたりが交際している前提で、今年転任してきた小児科医亜旗子(宮田黎子)が前山に横恋慕して何かと前山を誘惑しようとし、その亜旗子に、気の弱いレントゲン技師・津村(西城康晴)が憧れて結果的に便利に使われている、という状態で、この四角関係がメインストーリーである。
 
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一方でアクアをめぐる四角関係は昨年の状態のまま進行している。
 
院長の息子・佐斗志(アクア)は舞理奈(馬仲敦美)と曖昧な関係を続けており、舞理奈の兄の純一(岩本卓也)は佐斗志の妹の友利恵(アクア)と恋人同士である(昨年純一が友利恵にキスしてふたりは恋人宣言をした)。
 
そして7月1日の放送で、この若い方の4人の関係に重大な転回点が発生した。
 

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純一の両親が箱根の別荘に週末行くことにし、純一・舞理奈の兄妹も父と一緒にそこに行くのだが、院長一家も誘った。
 
病院の経営者という立場上あまり勤務地を離れたくないと思ったものの、副院長が「週末は私が詰めてますから大丈夫ですよ」と言ったので、佐斗志・友利恵と一緒に行くことにしていた。
 
ところが出かけようとしていた時に、大きな事故が発生して多数の怪我人が運び込まれてくる。佐斗志たちの両親はその対応のため旅行を中止する。しかし中高生の佐斗志と友利恵は別に患者対応には役に立たないし、私たちが面倒見ますよと純一の母が行ったので「じゃお願いします」ということで、2人だけ付いていくことになった。
 
そして別荘での夜。食事が終わり、入浴も終わり、もう寝ましょうと言っていったん部屋に入る。ここで部屋割は、純一の両親が1階の和室、純一と佐斗志の男組が2階の洋室A、舞理奈と友利恵の女組が2階の洋室Bである。
 
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ここでもう夜も12時近くになった時、純一が佐斗志に言うのである。
 
「僕は向こうの部屋で友利恵ちゃんと一緒に過ごしたい」
 
その言葉に対して佐斗志は少し考えてから答える。
 
「友利恵はまだ中学生なんだ。セックスはしないで欲しい」
「うん。セックスまではしない」
 
それで純一は友利恵の携帯に掛けて同意を得た上でそちらの部屋に移動する。
 
そして追い出されたかっこうになった舞理奈が純一の部屋に入ってきた。
 
「私、この部屋で寝ていい?」
と切ない目で見ながら言う舞理奈(馬仲敦美)に佐斗志(アクア)は焦りながら答える。
 
「僕は1階の居間のソファーで寝るから、舞理奈ちゃんがひとりでここを使ってよ」
「佐斗志君が居間で寝てたら、結果的にお兄ちゃんと友利恵ちゃんが一緒に寝たこともバレちゃうよ。だから今夜のことはこの4人の共犯だよ」
 
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「うん。じゃ、そっちのベッド使って。僕、こちらのベッドで寝るから」
「一緒のベッドじゃダメ?」
 
そう切ない表情で舞理奈が言ったところで画面はもうひとつの部屋の方に切り替わる。そちらでは純一と友利恵が見つめ合っているシーンから、やがて抱き合い、純一(岩本卓也)はそのまま友利恵(アクア)をベッドに押し倒した。
 
そこで「続く」の表示である。
 
 
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夏の日の想い出・瑞々しい季節(8)

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