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■春からの生活(13)

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(C)Eriko Kawaguchi 2018-01-03
 
ワルツが運転するロードスターは、圏央道から関越に乗り高崎まで北上後、北関東道で岩船まで移動してから東北道を南下する。途中、上里SAで焼きまんじゅう、佐野SAでラーメンと餃子を食べた。
 
佐野SAではラーメンを食べた後、屋根を閉めたままの車内でお茶を飲みながらかなり長時間話した。
 
正直な所、今日ワルツと色々話していて、女子高生生活するのも悪くない気がしてきた。
 
西湖はS学園に行くとしたら制服を注文しなきゃと言って、S学園の標準服を作っている衣料品店に連絡し、管理番号と確認のため氏名・携帯番号を伝えて、標準服を製作して欲しいと頼んだ。
 
「この後、どうする?おうちまで送って行ってもいいし、それとも事務所に来る?」
とワルツが訊く。
 
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「事務所に行って社長に報告します。それに自宅に行ってもひとりだし。両親も今の時間帯は公演中だから連絡取れないんですよ」
 
「じゃ、晩御飯でも食べてから事務所に行こうか」
「はい」
 
それで久喜白岡から再度圏央道に入って、西湖の自宅がある桶川市を通過し!、関越を南下して大泉で降りると、練馬区内の焼肉屋さんに行った。
 
「コスモス社長のおごりだからたくさん食べて」
「はい!でも今日はたくさんおごってもらっちゃった」
「若い内は、どんどんおごってもらうんだよ。その内、下の子たちに西湖ちゃんがおごってあげないといけなくなるけどね」
「頑張ります」
 
それでお腹いっぱいお肉を食べたら凄く気持ちが落ち着いた。
 
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「和紗さん、ボク、3年間女子高生で頑張ります」
「うん、頑張れ。でもボクじゃなくて、私と言った方がいいね」
「あ、それ気をつけます!」
 

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21時頃、新宿信濃町まで戻り、ワルツと一緒に事務所に行くと、コスモス、ゆりこ、桜野みちる、緑川志穂と今日は4人も残っていた。やはり上島先生の件の対応で忙しいんだろうなと思う。
 
それで西湖はコスモス社長に、S学園に通うことにしたことを報告。これまでたくさん配慮してもらったことを感謝しますと言った。
 
「そうか、大変かも知れないけど頑張ってね」
とコスモス社長は言った。
 
「ご両親には伝えたの?」
「まだです。両親は公演があるので、深夜でないと連絡がつかないんですよ」
 
「制服は注文した?」
「しました。今日までに注文しないといけなかったんですよ。開き直って3年間女子高生生活します」
 
と西湖は言う。
 
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「性転換しろとかって話ではないんでしょ?」
と川崎ゆりこ。
 
「その件では、むしろ向こうの先生に、最近は若い内に手術しちゃう子も多いけど、女性ホルモンで男性化を抑えておけば20歳すぎてから手術しても遅くないからね、って私を心配するように言ってくれたんですよ。もちろん私は女の子になるつもりはないから、女性ホルモンなんて飲みませんけどね」
 
「確かにそうだよね〜」
「今はわりと簡単に女性ホルモンが入手できるしね」
 
「でもうちの母なんて、日曜日に自宅に戻ってきた時、冗談でこんな書類を置いていったんですよ」
 
と言って、先日、母が置いていった『手術許可証』を通学用リュックから出して見せる。
 
「なあに?」
などと言って、みんな見ていたが、困惑するようにして顔を見合わせている。
 
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「ホントにこれ冗談なの?」
とワルツが言う。
 
「母は昔からこういう冗談かマジか分からないことするのが好きなんです」
 
「面白いお母さんかも」
と緑川志穂が言った。
 

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西湖がテーブルの上に手術許可証を封筒から出したまま放置し、別室で、4月以降の仕事の方針について、打合せていた時、事務所に1人の人物が入って来た。
 
その人物は何気なくテーブルの上にある書類を見ると、一瞬吹き出した。しかしちょっと首を傾げると、その中の1枚を自分のバッグに入れてしまった。
 
そして事務所内で少し作業をするとまた外に出て行った。
 
別室での打合せが終わって出てきた西湖はテーブルの上に放置していた許可証を封筒に戻すと、自分の通学用リュックに戻した。
 
「じゃ明日はオフということで。22日にS学園の行事予定表と現時点でのアクアの仕事予定表を見て、西湖ちゃんの詳細スケジュールを確認しようか」
「はい。よろしくお願いします」
 
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「じゃこれプレゼント。明日は気分転換にたっぷり遊んでおいでよ」
とコスモス社長が何か渡す。
 
「わ!?ディズニーランドのチケットですか?」
「お小遣いもあげるよ」
と言ってポチ袋まで渡される。
「すみませーん!」
 
「まあ、正直な所、気分転換して、スッキリした精神状態になってもらわないと仕事に差し支えるからね」
「分かりました!明日はたっぷり遊んできます」
「よしよし」
 

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帰宅してから夜中12時頃、母に電話した。
 
「ああ、結局S女学院に通うことにしたのね」
「いや、S女学院じゃなくてS学園ね」
「でも女子高なんでしょ?」
「女子高だけど、学校名には女子とか女とかは入ってないよ」
「だったらあんた将来履歴書に最終学歴を書く時もあまり恥ずかしくないね」
「ほんとだ!」
 
履歴書に「S女子学園高校卒業」などと書いてあったら、性転換したかと思われそう、と考えてから、それって男から女への性転換なのか、女から男への性転換なのか、一瞬悩んでみた。
 
「明日は休みだし、22日に学校に連絡して、お世話になることにしたことを伝えるよ」
「うん。それがいいね。色々配慮してもらっているみたいだしね。制服とかは?」
「今日の夕方までに連絡しないといけなかったんだよ。だから衣料品店に連絡して作ってもらうことにした」
「了解。手術はいつするの?」
「手術?」
「女子高に入るんだから、入学前に性転換手術するんでしょ?時間無いから早く病院予約しないと」
「手術なんて、しないよー!」
「しなくてもいいの?」
「むしろあまり焦って手術しないようにって言われたよ」
「なるほどね。じゃ卒業までに手術すればいいね」
 
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「お願いだから、こういう時に冗談はやめてくんない?」
 
と西湖はさすがに不快感を抑えきれずに言った。
 
「でもまあホント行き先が決まって良かった」
「うん。ボクもお昼にG高校の合格発表見た時はどうなることかと思った」
 
それであれこれ30分くらい話して電話を終えた。
 

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翌日。西湖はコスモス社長からチケットとお小遣いまでもらったので、ディズニーランドに行ってくることにした。
 
最近、女装ばっかりだったしなあと思い、西湖は男物のポロシャツとズボンを着てみる。
 
胸が目立つ・・・・。
 
ここで西湖は悩む。ブレストフォーム取り外そうか?でも外してしまうと、接着剤のかけらが残って、それが取れるのに数日掛かる。リムーバーを使うと全部取れるけど、これが結構肌に負担になるので、緊急の時以外は使わないようにしている。
 
入試が終わった以上、明日からはまたお仕事たくさんしないといけないし、そしたら女の子役をする時はまたブレストフォームを貼り付けないといけない。
 
結論。
 
ブレストフォームは貼り付けたままにする。
 
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となると、結局女装するしかない!?
 

それで西湖はライトブラウンのチュニックを着てライトグリーンの膝丈スカートを穿く。このあたりの服は、ファンから大量に女の子の服をプレゼントされて置き場に困った龍虎(アクア)からもらったものである。
 
膝丈スカートなので、ロングソックスを穿いた。セミロングのウィッグをつけて、眉もちゃんと切りそろえ、カラーリップを塗り、鏡に向かってニコッと微笑んでみると
 
「あ、可愛い」
 
と思ってしまった。
 
(アクアと違って西湖にはナルシシズム的傾向はあまり無い。多分)
 

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それで西湖は電車に乗ってディズニーランドに出かけて行った。チケットをタッチして中に入り、まずはスペースマウンテンのファストパスを取ってからホーンテッドマンションに行った。
 
この日西湖は、少し気が重いけど4月から「女子高生」になるのなら、もっと女の子っぽい行動が自然にできるようにならないといけないかなあ、などと考え、かなり女の子らしさを意識して行動していた。
 
それで午前中たっぷり遊んで、もうすぐお昼だから早めに食べておこうと思い、ワールドバザールのレストランに行く。早めに来たのに既に列が出来ている!仕方ないので並んでいたら
 
「ねえ、君」
という若い男性の声がする。
 
「はい?」
と言って振り向くと22-23歳くらいの男性2人だが、どちらも知らない顔である。
 
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「君、可愛いね。ひとり?」
 
へ?
 
「もし良かったら、一緒に食事しない?おごってあげるからさ」
 
なぜこの見ず知らずの男性は自分におごってあげるなどと言っているのだろうと西湖は一瞬考えたのだが、2秒ほど考えた所で分かった。
 
ボク、ナンパされてる〜〜〜!?
 
「いえ、私連れがあるので」
と西湖は答えたのだが、
 
「連れって男の子?それともお母さんが誰か?」
などと訊いてくるし、西湖が曖昧な答えをしていると、色々食い下がってくる。
 
これひょっとして逃げた方がいい?と思い始めた頃
 
「ごめーん。待った?」
という若い女の子の声がする。
 
そちらを見ると、丸山アイなので、びっくりする!
 
「あ、お姉さんと来てたの?何ならお姉さんも一緒に」
と男の子たちは言っているが
 
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「悪いけど、私もこの子も男の子だから」
などと丸山アイが言う。
 
「うっそー!?」
と男の子たちが驚いた隙に
 
「ここ混んでいるみたいだから、向こう行こうよ」
と言って、丸山アイは西湖の手を引き、その場から離れた。
 

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結局丸山アイは別のエリアの少し高そうなレストランに連れて行った。
 
「済みません。ああいう時、どうしたらいいか分からなかった」
と西湖は言った。
 
「まあ悪そうな人ではないと思ったら付き合ってもいいと思うよ」
とアイは言う。
 
「あ、そんなもんですか?」
「そのまま結婚してという訳じゃないだろうしね」
「それはさすがに嫌です」
「ただ見た目ではなかなか男の子って判断できないのが難しいよね」
「ああ、そうなんでしょうね」
 
西湖は少し疑問に感じていたことを訊いてみた。
 
「さっき『私もこの子も男の子』って言っておられましたよね。去年の厄払いツアーの時も、少し疑問を感じたんですが、ひょっとしてアイさんって男の人なんですか?」
 
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「ふふふ。西湖ちゃんってやっぱり結構霊感があるね」
とアイは言っている。
 
「へー」
 
アイは西湖の質問に直接は答えなかったが、そういう言い方をするということはやはり本来は男の子なのだろうか。
 
「“丸山アイ”は女の子だけど“高倉竜”は男の子なんだよね。10月のツアーの時は若干混じっていたよね」
とアイは言っている。
 
丸山アイと高倉竜が同一人物というのは知らなかったのだが、あのツアーの時に大宮万葉さんとコスモス社長が話していた言葉の端々から察した。
 
「あ、もしかしてアクアさんなんかが、男の子モードと女の子モードを切り替えるのと似たような感じかな?」
「そうそう。あの子もその切り替えがうまい」
 
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と言ってからアイは付け加えた。
 
「西湖ちゃんも男の子モードと女の子モードを結構うまく切り替えている」
 
「そうでしょうか?」
「今日の西湖ちゃんはどこからどう見ても女の子にしか見えないよ」
 
そんなこと言われて西湖は恥ずかしそうに頬を赤らめて俯いた。
 
「ほら、そんな仕草が女の子っぽい」
「あっ」
 

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