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■春銀(10)

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6月の『北陸霊界探訪』の放送の時、青葉たちの友人・吉田邦生と、2019年2月頃まで番組の助手をしていた青山広紀の女装姿が画面に映り、視聴者が騒然としたのだが、吉田の場合は単純なミスであった。一方、青山の方はこういう事情があった。
 
青山広紀は大学を卒業したのに伴い、2019年春、石川県発祥の全国企業に就職し、金沢支店に配属されることになっていた。ただ、研修施設で研修を受けた時、性別が誤って(?)女性になっていたため、女子制服を支給されたり、泊まる部屋も女性の部屋が指定されていたりして焦ることになる。
 
最初同室になっていた藤尾歩の尽力で、何とか事務局で性別の登録を変更してもらい、男子の宿泊部屋にも入れてもらった。
 
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その後、全国の支店を巡る2ヶ月間の研修を終えて6月、やっと予定通り金沢支店に配属されるが、藤尾さんと同じ部署で、
 
「お互い色々縁がありそうね」
と言い合った。
 
2人が配属されたのは、太陽光発電事業課であるが、青山は初日いきなり
 
「君、なんで制服を着てないの?女子はちゃんと制服を着てもらわないと困る」
 
などと課長から言われて、またまた藤尾さんから
 
「この子、女顔だけど、間違いなく男子ですから」
と弁明してもらうハメになった。
 

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実はこの春、太陽光発電事業課には男子の配属予定は無く、女子2名が配属される予定だったらしい。それで課長は
 
「困るなあ」
と言ったものの、青山は
 
「電話を取ったりお茶を入れたりとか女子社員の仕事もしますから」
と言って
 
「だったらまあいいか」
と言ってもらった。
 
それで藤尾さんが他の女子社員とも話してくれて、青山は朝のお茶入れや茶碗洗いのローテーションに組み込んでもらったし、電話も積極的に取るようにした。青山はわりとハイトーンなのでお客様は青山が取り次いだ場合でも、どうも女子社員が取ったように思っていることが多いようだった。
 
「こないだ電話口に出た青山さんとかいう、おたくの女の子にも言ったのですが」
などとお客様が言うこともしばしばあった。
 
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また青山は、しばしばお使いの類いにもよく使われたが、青山としては新入社員はその手の仕事をするのが当然と思い、金沢市から周辺の白山市・津幡町・内灘町などまで、社用車のリーフ(電気自動車)に乗って飛び回っていた。これは屋根にソーラーパネルを載せた特別仕様車で、ソーラーのパワーをアピールすることも兼ねていた。
 
なお青山は、背広スーツ(下はズボン)で通勤し、勤務中は綿素材の作業服上下を着ていた。一方、藤尾さんたち女子社員は各々の私服(多くはレディススーツ)で通勤し、勤務中は女子制服を着ていた。
 
男子制服というのも存在するのだが、営業部門の男子社員はビジネススーツでそのまま勤務するので、実際問題として男子制服を着ているのは経理部門や情報部門の社員くらいである(これらの部門では、セキュリティ上、部外者が侵入しにくいように、制服着用を求められている)。男子社員の多くや女子社員でも機械のメンテを主にする人たちはだいたい作業服である。
 
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そして2019年8月、青山は課長から言われた。
 
「君、女子制服も持っていると言ってたね」
「はい。一応持っていますが」
「その上着だけでもいいから、勤務中着ておいてくれない?」
「どうしてですか?」
 
「いや、君よくお使いとかしてもらっているけど、相手先のいくつかの企業から、セキュリティ上、見ただけでうちの職員と分かる服装をしておいて欲しいと言われてさ」
 
「男子制服も持っていますから、それを着ましょうか?」
「それでもいいけど、来客があった時にお茶を出してもらった時、お客さんが『男性の方にお茶を入れてもらって申し訳無い』とか恐縮するからさあ」
 
「男が女子制服着てたら、今度は変に思われると思いますが」
「いや、ある所からの情報によると、君は女子制服を着てたら女子に見えるということだから誰も変には思わない」
 
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それって、あの子とかあの子とかの情報だな、と心当たりはある。研修の時に藤尾さんに女子制服姿は見せているが、その後、こちらの勤務になってからも何度かうまく乗せられて、女子制服を着てみせたことがある。
 
「まあいいですよ。じゃ女子制服の上だけ着てます」
「下まで女子制服でもいいけど」
「遠慮します」
 
それで青山は、勤務中、上半身はワイシャツの上に女子制服、下半身は通勤でも穿いているビジネスパンツを穿いているようになった。
 
藤尾さんたちからは
「下も女子制服着ればいいのに」
とか
「何でワイシャツなのよ。ブラウス着なよ」
などと言われたが!
 
「女子制服着たいんでしょ?」
「着たくないよ」
「遠慮しなくてもいいのに」
「みんなで課長に青山さんの女子制服着用を認めてあげてくださいと言ったのに」
 
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課長から女子制服着てと言われたのは、やはりこの子たちのせいか?
 
ちなみに女子制服の下はハーフパンツである。実際には多くの女子社員はタイツの上にそれを穿いている。素肌を出していると作業中に怪我しやすいからである。実際に会社側からも素肌を出さないように指示されている。
 

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そして2019年11月、青山も藤尾さんも、新設される新型ソーラーパネルの営業・保守部門に異動するという辞令をもらった。11月という時期に発足するのは、太陽光パネルの売上は、毎年3月が圧倒的に多いので、それに向けて営業しようという含みがあった(9月も多い。たぶん予算執行の関係)。
 
この新型ソーラーパネルというのは、表面の素子を雨雪から守る透明パネル部分が、レンズになっていて、光を素子に集めることで従来のパネルより画期的に大きな発電ができるという新開発のパネルである。K製作所ではこのパネルに“アマテラスパネル”という愛称を付け、1月から人気アイドルのアクアを起用したCMも流して大々的に宣伝することになっているらしい。
 
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(アクアが天照大神に扮するするらしい!?)
 
「へー!アクアちゃんを使うんですか。予算掛けてますね〜」
 
「アクアちゃんのCMって出演料がだいたい1本6000-7000万円ではないかと噂されているね」
「それでも彼女がCMした商品は確実に売上が上がるもん。企業としてはそのギャラを払う価値がありますよ」
 
「彼女、そのCMを今20本くらいやってるでしょ?」
「6000万を20本で12億かぁ。凄いな」
「でも彼女本人がもらえるのはたぶん3割くらいなのでは?」
「3割としても3億6千万」
「更に税金を半分払って1億8千万かな」
「結構減るね」
「でも億なんていいなあ」
 
「だけどジャンルがぶつからないように調整するの大変みたいですよ。ライバル社のCMに出る訳にはいかないから。新しいCMの話があった時は、今やってる、あるいは1年程度以内に出演したCMの企業と競合しないかチェック」
 
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青山は、みんなアクアのこと“彼女”と呼んでるけど、男の子じゃなかったんだっけ?などと考えていた。
 

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それで青山も藤尾も、12月2日(月)、新しい部署“アマテラスパネル事業部金沢営業所”に出勤していったのだが・・・
 
青山は戸惑った。
 
来ている社員が女子ばかりなのである。
 
青山が戸惑っていたら、その内40代くらいの女性から声を掛けられる。
 
「あら、あなた男性?ここは女子だけの部門と聞いたのに」
 
すると藤尾さんが言った。
「この子、戸籍上は男だから、これまで男みたいな服で勤務してたんです。でも心は女ですから」
 
ちょっと待て。
 
「あら、そうだったの?でもそういえば女性的な雰囲気あるわね」
 
この人はこの部門のリーダー(肩書きは副所長で課長補佐待遇)に就任することになる人で、米田さんといった。これまで富山支店で係長職にあったらしい。
 
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「身体も手術してるの?」
「まだ若いからこれから改造していくみたいですよ」
「へー。その内性転換手術するの?」
「30歳くらいまでに手術できたらいいなあと言ってますよ」
 
そんな手術受けたくない!
 
「でもあれ物凄く料金が高いんですよ。取り敢えず睾丸だけは除去したらしいですけどね」
 
そんなの除去してない!
 
「性転換手術って、睾丸取るだけじゃないの?」
「その後、おちんちんも取って、ヴァギナとか子宮を作るんですよ」
「へー。ヴァギナや子宮があれば、お嫁さんに行けるわね」
「ええ。全部手術終わったら、戸籍も女に変更できて、そしたら男性と結婚できるんですよ。でも今はまだ戸籍上男だったから、男性社員扱いだったんだけど、この部門に異動するのと同時に女性社員扱いになったみたいです」
 
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え?そうなの?僕、女性社員扱いなの??
 
「そうだったんだ!でも睾丸無いなら、女性に準じて扱ってもいいわね」
「そうでしょう?睾丸か無かったら、おちんちんも機能しないから、まだ付いていても無いのと同じなんですよ。立っておしっこができる程度ですけど、まあ彼女は男装してても小便器とか使いませんけどね」
 
「あ、そうよね」
「実際問題として女の下着を着けてたら立ってはできないみたいですよ」
「だったらほんと女と同じね」
「ええ。ですから、よろしくお願いします」
と藤尾さんが言ったので、青山も成り行き上
「よろしくお願いします」
と挨拶することになる。
 
「うん、よろしくー」
 

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そういう訳で、青山は、この部署に女性社員として配属されてしまったのである!
 
実は製品名が『アマテラスパネル』なので、女神である天照大神(あまてらすおおみかみ)にちなんで、女性社員で営業部隊を作ろうということになったらしい。その時、女性だけで構成した場合に、実際のパネル取り付けとか、配線工事などの際に不安があるいう声があり
 
「だったら男の娘を使おう」
という話が急浮上。
 
それで青山に白羽の矢が立ったという裏事情があった。
 
青山は危険物取扱い、第二種電気工事士などの資格も持っているし、運転免許も大学に在学中に大型免許を取っている(実は『北陸霊界探訪』のおかげ)。そして何よりも一応ふつうの男性なみ(?)の腕力もあるから、ボルトなどをしっかり締めることができる。
 
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他にも女性指向のある男性社員2名が女装勤務を条件にこの部門に配属されていた。そのふたりは今日既にレディススーツでお化粧までして出て来ている。
 
(つまりこの日、男の格好をしていたのは青山だけ)
 

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アマテラスパネル事業部金沢営業所の所長に就任した磯谷さん(東京本社の課長から転任)が挨拶をし、男性の多い職場なら鏡割りでもするところをサイダーで乾杯して営業開始となる。
 
最初にこの部門専用の制服が配られる。全国のアマテラスパネル事業部共通の制服だが、金沢営業所と横浜営業所・福岡営業車の3ヶ所が女性スタッフのみでの構成らしい。
 
青山は所長から
「あなたのことは聞いている。ここは女性ばかりの部門だし、あなたのことを変に思う人はいないから、安心して女性として勤務してね」
などと言われ、女性用Lの制服を渡された。
 
太陽神をイメージした黄色い上下の制服で、上はジャケット、下は膝丈スカートである。
 
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「ハーフパンツじゃなくてスカートなんですね」
という声があがる。
 
「実際には今までもハーフパンツの下にタイツを履いていたと思うけど、これも下にタイツを履いて勤務するの推奨。肌は出さないようにしてね。怪我しやすいから」
 
「なるほどー」
 

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