【悪夢の城】パンケーキ

前頁次頁目次

1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 
 
千秋はあっけに取られた。目の前にあったのは広さ12畳くらいの見たこともない部屋である。
 
そして、その部屋の床には一面化粧用のパンケーキが敷き詰められているのだ。いい香りがする。上質のファンデという感じである。壁はふつうのアパートのような何の変哲もないクリーム色の壁。そして一番向こうに丸い窓があって、その向こうはまっくらである。窓にはガラスもなにもないようだ。
 
千秋はあまりのことに何も考えられずにたっぷりと3分はその部屋を見ていた。が、我に返ると、後ろを振り返った。
 
そんな。
 
今乗ってきたはずのエレベータの扉はない。そこもただの壁であった。どうして?
 
前を見る。窓の向こうには何も見えない。しかしこの部屋から出る道はその窓しかないようだ。千秋は靴のままパンケーキの床を踏みしめ、向こう側へ行き、窓をくぐり抜けた。
 
(1998.12.11 元々は1975年頃に見た夢)
 
前頁次頁目次

1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 
【悪夢の城】パンケーキ