【ジョイの診察室・フィギュアスケート】(1)

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カインドリー・ジョイはその日最初の患者を診察室に入れた。
 
小学2年生の男の子とその母親ということだった。
 
「この子、フィギュアスケートの教室に通っていて、才能あると言われているんですが、テレビの中継とか見ていて、****さんとか、****さんとかみたいなフィギュア・スケーターになりたいって言うんですよね」
 
「女子フィギュア選手ですか?」
 
「そうなんです。男子のフィギュアスケーターの演技を見せても、こういうのは好みじゃないって。それで今習っている教室でも、特に容認してもらって女子用のスカート付きの衣裳で練習しているんですが、その衣裳では大会に出られないと言われて。それで考えたんですが、やはり女子フィギュア・スケーターになるためには、女の子にならなければいけないのではという結論になったんですよ」
 
「なるほど。君、女子フィギュア・スケーターになりたいの?」
「うん。男子フィギュア・スケーターはいや。女子フィギュア・スケーターになりたい」
「そのためには、女の子になってもいいの?」
「ちんちん無くすのはちょっとさみしいけど、女の子になってもいい」
 
「じゃ手術して女の子にしましょうか」
 
それでジョイは彼を手術室に運び、可愛いおちんちんとタマタマを取り、代わりに女の子の割れ目ちゃん、クリトリス、ヴァギナを作ってあげた。
 
そして「この子はいまや女性であり、全ての場面において女性として扱われるべきである」という診断書を書いた。そして市役所に性別変更届けを出して女性の出生証明書をもらった。
 
それでスケート連盟は彼(いまや彼女)の女子部門への参加を認めてくれて、彼女はスカート付きの衣裳で華麗な演技をしている。
 
きっといつかオリンピックの舞台で、彼女の演技を見ることができるだろう。
 
 
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【ジョイの診察室・フィギュアスケート】(1)